バスキュールとPARTYが新たな学校をつくる。その名も『BAPA』。目的はデザインとプログラミング、両方のスキルを備えた次世代クリエイターの育成だ。去る12月26日、渋谷ヒカリエで開催されたBAPA説明会から開校の狙いを探る。
これからの時代、エンジニアにせよ、クリエイターにせよ、デザインとプログラミング両方のスキルが必要とされる。しかし現実には両方を学べる場所が少ない。ならばつくってしまおう、と生まれたのが「BAPA(Both Art and Programming Academy)」だ。
主催はインタラクティブ・クリエイティブ・カンパニー『バスキュール』とクリエイティブ・ラボ『PARTY』。世界で活躍する最高のクリエイターを講師に迎えた未来の学校といえるだろう。
開校の背景にあるのは、
クリエイティブの可能性を広げたいという熱意か。
それとも、次代を担うクリエイターへの危機感か。
新世代に求められる能力と考え方とは?
デザインとプログラミングの融合によって創り出される未来とは?
去る12月26日、
渋谷ヒカリエで行なわれた説明会を通じて、
BAPA開校の経緯とその狙いを探る。
「基本的にはモノをつくる学校。アイデアだけを考え、その先を他人に任せるのではなく、アイデアを考えフィニッシュまでできる人を育てたい」(PARTY 伊藤氏)
「BAPAは自分に化学変化を起こせる場所。その機会を提供したい」(バスキュール 朴氏)
「教えることで、ぼくらも教えてもらうことがある」(PARTY 中村氏)
このように各氏は開校への想いを語った。
また、BAPAが提供するのはティップスではない。朴氏は「教科書で学べることは勝手に学べばいい」「BAPAでは場所や機会を提供する」と強調。「追い込んで更なる才能を開花させる」といった狙いも語ってくれた。
また、伊藤氏が重ねて提起していたのは、文系や理系といった選択の問題。「分岐してしまった道をもう一度ひとつにする」といった考えを覗かせた。
BAPAの特徴として挙げられるのが「グループワーク形式」で進められるということ。「デザインとプログラミングが一人で出来る人」を育てようというのに、なぜグループワークなのか。もちろん、エンジニアやデザイナーの中には「グループワークが嫌い」という人もいるだろう。特にひとりで全て出来るタイプであれば尚更だ。
こういった疑問に対する各氏の見解をまとめた。
「一人でフィニッシュできる仕事なんてない」(PARTY 伊藤氏)
「一人だと限界が見えてくる。やってみるとチームワークの素晴らしさに気づく瞬間がくる。優秀な人ほど一人でやりがちだが、チームでやってみるチャンスを与えたい」(PARTY 中村氏)
「もちろん一人で出来る天才がいればそれはそれでいいが、デザイナーとプログラマで共通言語が生まれて他のエッセンスを知り、互いの感性を尊重できたらいい」(バスキュール 原氏)
「皆でつくるとはどういうことか。より高いレベルに到達するのが、どう大変か。自分という素材に自信がある人たちが集まり、よりジャンプできる場所にしたい」(バスキュール 朴氏)
説明会の最後には、「基本はグループワークだが、どうしても一人でやりたいという人がいればそれはそれでいいのかも」といった意見も飛び出した。型にはめたやり方を強要するわけではなく、あくまでも“化学反応”を起こさせる、ここに狙いがあるのだろう。
「卵を描き、その卵をうごかしてください」
一見すると何でもないお題にみえるが、どんな狙いがあるのか。
説明会で語られた意図をご紹介しよう。
「難しすぎるお題だと似たりよったりのアウトプットになることも多い。簡易なお題で人によって作り方が変わるものがよかった。卵は子どもでも描ける。じゃあどう卵を表現するか。動かすにしてもトンチ的に“動かす”を伝えられるし、アート、デザイン、プログラミングやデバイスで動かすこともできる。一番ベーシックなものとしてお題にした」(PARTY 中村氏)
「子どもでもできることなのに、自分のポテンシャルをここに込められる。何をもって俺はすごいとアピールできるか。抽象的なお題のほうがいいかな、と。何でもあり。壮大な企画書でもいいし。まさかのコピー1発とか(笑)」(バスキュール 原氏)
「何かが欠けているから学校に来たいはず。私たちが望んでいる理想の人物像は世の中にいないと思っているから、生み出したいと思っている。自分の欠落感を隠そうとしなくていい」(PARTY 伊藤氏)
「バスキュールでも毎日ダメ出ししている。隠そうとするとバレる。おれはコレを持っているぜを出してほしい」(バスキュール 朴氏)
そして、お題パートの最後には、中村氏より「なぜインタラクティブが面白いのか。私たちがデジタルといっている意味を考えてほしい。描いてくれ、動かしてくれ、には色々な意味がある。その向こう側を見せてほしい」とヒントも出された。
エンジニア、プログラマ、ディレクター、デザイナー、プランナー…自分が何者か名乗った瞬間、もしかしたら「できることの幅」を決めてしまっているのかもしれない。
そんな「できることの幅」を一人ひとりが圧倒的に拡張できたら、一体どんなクリエイティブが生まれるのか。世の中はどう変わっていくのか。そんな未来への期待をBAPAは感じさせてくれる。
「学校」という形をとっているが、バスキュールとPARTYにおける新しい実験であり、プロジェクトのスタートと言い換えることができるのかもしれない。
広告やクリエイティブの業界に興味がない、という方ももちろんいるだろう。しかし、今やあらゆる領域でデザインとプログラミング、そしてクリエイティブの重要性が語られているなか、決して無視はできないはずだ。たとえば、10年後、BAPAから誕生したクリエイターたちが新しいルールを作り、世の中をより面白くする、そんな未来が待っているかもしれない。
※入学審査課題の〆切は、2014年2月7日の24時まで。デザイナーだけでなく、エンジニアの応募も歓迎しているそうです。年末年始の休みでアイデアを練り、ウデ試しも兼ねて応募をしてみてはいかがでしょうか。
[BAPA概要]
http://bapa.ac/
https://www.facebook.com/bapa.info
[受講内容]
期間:2014年3月中旬~(約3ヶ月間)
回数:全10回(予定)
時間:隔週水曜日 19:00~21:00
会場:バスキュール(神谷町) / パーティー(代官山)
人数:30名
受講条件:29歳以下の学生、社会人
受講料:88,000円(バパ価格)
※受講料免除の特待生制度あり
(現在募集は終了しております)
編集 = 白石勝也
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