2014.03.05
「毎日の暮らしを見つめよう」イメージソースが日常の“ちょっと不便”をデザインで解決するワケ。

「毎日の暮らしを見つめよう」イメージソースが日常の“ちょっと不便”をデザインで解決するワケ。

インタラクティブデザインの草分け的存在であるイメージソース。彼らはとてもユニークな取り組みをしている。日常生活で見つけた「不便だな」と思うものを、デザインの力で解決する、という試みだ。なぜ日常を見つめ直すのか。そしてクライアントワークの外でクリエイティブを探究する理由とは?代表の小池氏に話を伺った。

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▼小池博史氏のインタビュー第1弾
イメージソース小池博史に訊く「明日のクリエイティブ」|生活に息づくデザインの発想。

「じっくり関係をつくるデザイン」はどうすれば生み出せるのか。

WEB、インスタレーション、映像、スマートフォンアプリ、書籍…さまざまな「場」で独自のクリエイティブを探究してきたイメージソース。1998年の設立以来、「クリエイティブ」と括られる世界において、常に第一線を走り続けてきたパイオニアといえるだろう。

イメージソース代表の小池博史氏曰く、これからの時代は「じっくりと関係をつくるコミュニケーション」が求められていくのではないか?と語ってくれた。

その「じっくりと関係をつくるコミュニケーション」はどうすれば生み出していくことができるのか。次世代を生きるクリエイターは何を大切にすべきか。小池博史氏と共に考えてみたい。

新たな表現の可能性を、クライアントワークの外で探る。

― 2013年にイメージソースが開催した『オープンラボ』が非常に印象的でした。自主制作の作品を発表する展示ですよね。


そうですね。僕自身、昔からメディアアートやインスタレーションなど、リアルで発表できる作品が好きでリサーチ&デベロップメントを続けてきたという背景があります。そういった作品をちゃんと仕事につながるようにしたいという思いもあって。

出展したメンバーたちが自分の作品を自分で説明する、という良い機会にもなります。会社の枠をこえたチームで仕事をすることも多いから、外から作品を見にきてくれた時に「この人ってこんな考え方で仕事してるんだ」「この人と一緒に仕事するんだ」と交流の場にもなりました。


― イメージソースはクライアントワークと自主制作、両方に力点を置いているんですね。「表現」を探究するという部分においてすごくシームレスな印象があります。


それはあるかもしれませんね。今年も新たな試みをスタートさせていて…暮らしのなかで見つけた「ちょっと不便なもの」を、デザインし直して便利にしよう、という取り組みなんですよ。


― それはおもしろいですね!具体的にはどんな取り組みなんですか?


日常生活で見つけた「ちょっとした不便」についてディスカッションして解決できそうな課題を、リサーチ&デベロップメントしてみるということですね。まず、エクセルのシートにメンバーが気になったことを書き溜めていって、全員で共有します。「パスポートをなくすのをなんとかしたい」「エレベーターをリモートで呼びたい」など「ちょっと不便だと思う」ことなら何でも良いんです。


ゴールを自分たちで見つけていく。

― そういった取り組みはクライアントワークに活きるものでしょうか?


どうでしょう…直接的に活かせるかわかりませんが、そこで得た発見やインスピレーションは自分のものになりますし、クリエイターは自分自身身近なところの課題を解決していけると自信につながりますね。

どうしてもクライアントワークだけだと、きちんと役割分担をして進めていく、というやり方になってしまうことが多いんです。そうすると流れ作業になりやすいし、やっているほうも楽しくない。疲弊する部分も出てきてしまいます。そういった意味でも、プロトタイプの制作や自主作品の制作は大切だと思います。


― 具体的にはどういった部分が大事になると?


試して、つくって、試して…その繰り返しでゴールを自分たちで見つけていく。与えられたゴールに向かうのではなくて、自分たちで考えることで、課題を捉える能力も、それを解決する能力も培われますよね。

また、つくりはじめる前に徹底的に意見を交わすことで、広い視点から好奇心を持てるようになる気もします。デザイナーでも「このデザインはプログラム上でも成立するか」とプログラミングを意識したり、エンジニアもより良いアウトプットにするためにどの技術を使うべきか?と考えたり。自分の専門領域以外にも幅広く興味を持てたほうが成長の余地は大きいように感じますね。

「考えるチカラ」が育つ土壌。

― イメージソースは、PARTYの清水幹太さんをはじめ、業界のトップクリエイターを輩出していますよね。その秘密はどこにあるのでしょう?


特別なことをやっているつもりはないのですが、「まずは、つくってみる」という部分はあるのかもしれません。時間が許す限り、デザインやプロダクトの試作品をつくるし、勉強も継続していく。出来たものをみんなで使ってみて、ゴールに向けてチューニングをしながら進めていく。こういうやり方は非効率ですが、効率よくできるように気をつけていきたいと思っています。


― そういった「つくるチカラ」を持つクリエイターが育つ土壌があるのかもしれませんね。その土壌づくりのために、小池さんが心がけていることはあるのでしょうか。


関係あるかどうかわかりませんが、個人でいろいろと活動するメンバーも多くて、そういった活動に対してはオープンかもしれません。

やっぱり仕事以外でもインスピレーションを得ることは大事ですよね。たとえば、プロレベルで音楽活動していたり、自分たちの企画で本を出版したり、VJとしてクラブで活動したり…気が付いたら、社外活動でも注目されるような社員がいて。


― 独立するような人材が育っていくというか。


…本音でいえば、外に出ていってしまう人が多いと、会社としては困るし、個人的にすごく悲しい(笑)。もちろん、個人の活動は応援したいし、サポートもしているのですが…悩ましいところですよね。



ただ、僕が勝手に思っているのは、イメージソースにせよ、グループ会社にせよ、いろいろな個性や感性が集まるプラットフォームのような「場」になっていければ良いなという思いはあって。広い視点からいろいろなクリエイティブが発信できる場にしたい。集まるメンバーたちがお互いに刺激しあって、新しいクリエイティブの可能性を発見する。そんな未来に近づいていけるといいですね。


― これからの時代を生き抜く上で、クリエイターはいかに自立心を養うか。非常に示唆に富んだお話を伺えたと思います。本日はありがとうございました!


(おわり)


[取材]白石勝也 [文]黒川恵太


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