5月10日に開催された「Japan VR Summit」レポートをお届け。Session I「VRがもたらす大変革」に登壇したのは、Oculus、HTC、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのキーマンたち。彼らは「VRがもたらす大変革」をどう語ったのか?
2012年、Oculus RiftがKickstarterに登場してから4年。今まさに市場が大きく立ち上がろうとしている。そのような中で開催されたのが今回の「Japan VR Summit」(グリー社&一般社団法人VRコンソーシアム主催)だ。
今回お届けするのは、Session I「VRがもたらす大変革」のセッションレポート。登壇したのはOculus社の池田輝和氏、HTC社のRaymond Pao氏、そしてPlayStation VRが注目されるソニー・インタラクティブエンタテインメントの吉田修平氏。新製品の発売などを控えた各社、業界のトップランナーたちは市場をどう見ているのか。そして、今後、VRがもたらす大変革をどう語ったのか?
セッションは藤井直敬氏よりVRにおける歴史的な背景の説明からスタートした。
続いて各社における製品紹介や特徴、そして開発背景などに展開。特に今回のレポートでは、セッション終盤、モデレーターである藤井氏より投げかけられた「VRが普及することでどういった世界になっていくのか?どういう世界をつくりたいか?」という問いへの回答をご紹介する。
[モデレーター]
藤井直敬氏(一般社団法人VRコンソーシアム代表理事)
[スピーカー]
池田輝和氏(Oculus)
Raymond Pao氏(HTC)
吉田修平氏(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)
ヘッドマウントディスプレイなどデバイスとしては「メガネ」と同じレベルにしたいと考えています。一人に一台が持つような状態。そして、世界数十億人が持ち、常にVRにつながり、生活していく。その時はもう「バーチャル」とさえ呼んでいないかもしれません。世界が拡張するイメージですね。
いま、みなさんがスマホをつかってLINEなどで連絡を取り合うことはバーチャルではないですよね。行動の仕方、生活様式が変化し、順応していくと思っています。その時にどれだけの便利なサービスが提供できるか。使いやすく、生きていきやすいサービスやアプリケーションがつくれているか。ここが大事だと思いっています。
VR(バーチャル・リアリティ)というものは、みなさんのイマジネーションが全てです。さまざまな物理的制約をこの現実の世界では感じているわけですが、みなさん自身がイマジネーションを発揮し、想像しさえすれば、その世界(VR)で実現ができるのです。
私たちとしては、みなさんに、ぜひこの新しいテクノロジーに参加をしていただきたい。それはコンテンツ面、技術面、消費する側としても参加することができます。早くに参加すればするほど、さらに楽しむことができるはずです。
「フォトグラメトリー」という技術があるのですが、たくさん写真を撮影し、デジタルによってVRでその空間をカンタンに作り出すことができます。私は旅行が好きなので、世界中の観光地、たとえば、いろいろなビル、教会のなかなど、デジタイズされて、いつでも、どこへでも好きなところへいけるようになったらいいなと思いますね。
あとはバーチャル・リアリティのなかでデジタルのキャラクター、アバターなど存在感がすごくあるもの。距離感などすぐ目の前にいる感じが強く、すごく楽しいです。ですから、遠くにいる人と、バーチャル・リアリティで本当に会っているような感覚で話ができるようになるはずです。また、世の中にいる人、アーティストやタレントなどデジタイズされて、AIやアンドロイドなどの研究にもつながりますが、会って話ができるとか、自分の先祖にあえるとか、孫に会えるとか、そういう世界になると思います。
セッションの最後は、藤井氏より「VRは物理的な制限がなくなるということ。時間と空間というどうしようもなかったもの、僕らの認知、世の中の感じ方を超えることができる」と締めくくられた。VRのムーブメントと同時に、その普及によって人々の生活が今後どう変化していくのか。今後も注目していきたい。
文 = CAREER HACK
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