2015.06.25
日本のビジネスは“破壊的なチャンス”に直面している|Box CEO アーロン・レヴィの提言

日本のビジネスは“破壊的なチャンス”に直面している|Box CEO アーロン・レヴィの提言

STARTUP Xのキックオフイベントにて開催された、米国Box社 アーロン・レヴィ氏のトークセッションをレポート。20歳で創業、米国フォーチュン500のうちの90%の企業で導入されているBoxを生み出したレヴィ氏の語る、日本ビジネスが直面している“破壊的なチャンス”とは?

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テクノロジーは、イノベーションの真ん中にある。

私からは、今、大きな破壊的なチャンスが目の前にあるということをお話ししたいと思います。

ビジネスの破壊的なチャンス、エンタープライズに今フォーカスが当たっています。今日、私がお話ししたいのは、そういった全てのビジネスで起こっている大きな変化です。一緒に仕事をしている日本のビジネスが、今、伸びてきています。みなさんご存じのDeNA、SEGA、サンリオ…。第一三共もそうです。セブン・イレブンでも仕事が始まりました。こういった大手企業がBoxのお客さまになっています。

でも、残念なのは、まだ任天堂に売り込めていないこと。任天堂の人を知っている方、コネのある方、ぜひ教えてください(笑)。任天堂に行きたいし、売り込みたい。いろいろ考えていることや教えてあげたいことがあるんです。日本で一緒に仕事をできる企業は、たくさんあるので、非常に楽しみにしています。東京で、非常に大きな事業展開を計画しているところです。

さて、問題は私たちのテクノロジーを使っている多くの企業が、なぜ情報技術に大きな投資をしてイノベーションを起こそうとしているのかです。ここで考えなければならないのは、さまざまな変化。事業分野で変化があるから、トレンドが生まれます。つまり、テクノロジーは、イノベーションの真ん中にあるわけです。

新しいテクノロジーは、企業やビジネスを変える。

さまざまな会社・業種で起きているイノベーションに対して、私たちは責任を持たなくてはなりません。新しい世代のスタッフは、当然テクノロジーへの期待感があります。「速い」、「カンタンに使いたい」、「安価に使いたい」、「複雑ではいけない」、「最大規模のエンタープライズだけのものではいけない」などがあるわけです。そういった人たちは、新しい仕事の進め方をしています。

そして、新しい職場があります。新しいコラボレーションが始まっているのです。たとえば、Slackがそうです。Slackとは、新しいコミュニケーション・テクノロジーのこと。これによって、エンタープライズ間でカンタンにチャットができるようになります。Slack以外にもクールなテクノロジーがあります。zendeskも、そしてBoxも。職場の効率をもっと上げようという動きです。そして、もっと迅速に情報共有するための新しい方法が生まれつつある。新しいテクノロジーが導入されれば企業は変わるのです。

破壊的な変化が、ビジネスに起こっていることも強調したいと思います。たとえば、Uber。Uberの誕生は、非常に破壊的な影響をもたらしました。アメリカでは、みんなが従来買っていた車のトレンドはなくなり、オンデマンドの輸送へと移行していきました。たとえば、自動車を持たない場合、ロボットが自動車を運転している自走車の状態になった場合は、どうなるのか。まず、自動車の事故がなくなります。ロボットのほうが、我々よりも運転が上手だからです。自分が自動車を所有していないのであれば、自動車の保険も必要なくなります。また、保険業界に対しても影響が出てきますよね。

最初はタクシー業界の破壊的な存在として生まれた産業が、より一層広がっていく。将来的には自動車を所有しない、そして将来的には自動車保険もないという世界になる。ということは、実際のビジネスでは、“通行”に投資をするような企業は少なくなるわけです。小売、ヘルスケア、交通運輸、ライフサイエンス、製薬など、どの業界であっても、新しいビジネスモデルが生まれてきています。それは、テクノロジーがあるから。テクノロジーによって、レガシーのビジネス、そしてレガシーの業界に対して大きな影響が出てきているのです。

デジタルエンタープライズの内と外。

Box-Aaron-Levie


起業家であれば、トレンドを有効活用し、それによって破壊的な行為を生み出していくことができます。でも、大企業にとっては脅威です。突然表れた起業家が、どんどん自分たちのビジネスを奪取しているからです。そのとき、大企業は自分がトレンドを活用していない、どういったカタチでトレンドに対応していいのかがわからない、というような状況だけは避けなければなりません。

ほとんどの企業は、これらのチャンスをとらえられていません。また、「新しいビジネスモデルを考えてみてください」と言われても、既に20年、50年、あるいは、100年間もビジネスをやっている企業というのは、速やかに対応できないわけです。創業以来積み重ねてきたカルチャーがあることで、新しい破壊的な行為に反応できないということはないでしょうか。

実際に、大量生産・大量消費の時代では非常によかったわけなんですけど、今はデジタル時代。ということは、そこから抜け出さなければいけない。さらに、新たなセキュリティの脅威もあります。ハッカーが、たくさん攻撃をしてくるということもあるでしょう。クレイジーな時代になってきており、あらゆる企業がデジタル化をしなければいけないわけです。

では、デジタル化というのは、どういう意味なのか。デジタルエンタープライズとは、何なのかを考えましょう。デジタルエンタープライズの特徴として、社内でコラボレーションが進み、よりフラットになっていくといえます。オンデマンドで情報へのアクセスが図られ、より速やかに物事が動くでしょう。意思決定も速やかに、そしてヒエラルキーも小さくなる、コラボレーションも共有もリアルタイムに行なわれる。これが、デジタルエンタープライズの内側です。

デジタルエンタープライズを外側からみると、接続性の高い製品を有しているという特徴があります。Nestをご存じの方、いらっしゃいますか。サーモスタットなんですけど、所有しているのはGoogle。不思議ですよね。ですが、こういったことは、世界で起きているんです。検索エンジンの会社が、家電に参入するということでより接続性の高いインテリジェントな製品をつくることができるわけです。レガシーや消費材の会社以上に、です。

Uberも他の交通会社とは、異なるビジネスモデルを持っています。売ってるのは、製品ではなくてサービス。Uberを買うのではない、Uberをオンデマンドのサービスとして活用しているわけです。ということは、製品的なビジネスが、突然、サービスビジネスに転換しなければいけなくなるでしょう。何か、モノを売っていた会社が、今やサービスを提供しなければならないということは、非常に大きなトランジションになり、ビジネスモデルの変革につながるのです。

デジタルエンタープライズの条件とは。

Box-Aaron-Levie


デジタルエンタープライズになるためには、自分たちが使っているテクノロジーが、産業革命の時代のものであってはいけません。ソフトウェアとしても、ある特定の機能をデジタル化していくということになります。よりデジタルな体験を提供できるようにしていく。そして、ビジネスプロセスもデジタル化しなければいけないわけです。

また、多くのエンタープライズ・ソフトウェアは、非常に具体的なITの慣習に向けてつくられております。コンシューマー向けにつくられたものではありません。というわけで、コンシューマー向けのデザインが必要です。エンタープライズ・ソフトウェアをつくっているのであれば、コンシューマー体験もすばらしいものでなければならないのです。

そして、インテリジェントなソフトウェアでなければいけません。Facebookの場合には、自分のニュースフィードが出てきますね。ニュースフィードは、機械学習を使って、おそらくみなさんが見たいと思う情報を出しているわけです。その裏では、アルゴリズムが走っています。パーソナル化された体験を皆さんに向けて提供できるようにしていくわけです。しかし、今現在ほとんどのビジネスソフトウェアは、機械学習を使っておりません。テクノロジーにインテリジェントな部分をもたらしていけば自動化できます。コンピュータを使って、よりスマートに機能を使っていくことができるわけです。これも、非常に重要です。

最後にセキュリティです。ハッカーは、あらゆる方向から攻撃をしてくるため、初めからセキュアでなければならないわけです。エンタープライズ・ソフトウェアをつくっている場合、コンシューマー・ソフトウェアを使っている場合、セキュリティは最初から考えておかなければいけないポイントなんです。そして、相互接続も重要です。テクノロジーは、個人、チーム、企業のためだけではありません。みなさんと、あらゆる人々をつなげるためのものなんです。そのため、より一層相互接続されたソフトウェアが必要になります。これによって、ネットワーキングがされていくのです。

これは、どんな意味をもたらすでしょうか。いろいろな業界で快適な変化が生まれています。たとえば、教育・出版。出版するのに教科書をつくるわけですが、まず卸に売って、その卸売業者や書店が学生にその教科書を販売するのが慣例です。しかし、iPadがあれば、先生や学生に、直接リアルタイムでコンテンツを渡すことができます。つまり、中抜きを実現できるわけです。

破壊的なテクノロジー・エンタープライズには、どんな業界でも、無限のチャンスがあります。新しいデジタル化への道は始まったばかりなんです。以上です。ありがとうございました。


文 = 田中嘉人
編集 = 松尾彰大


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