2016.10.19
来たるAI時代、僕らにしかできないことがある。NAKED 村松亮太郎×サニーサイドアップ 次原悦子

来たるAI時代、僕らにしかできないことがある。NAKED 村松亮太郎×サニーサイドアップ 次原悦子

村松亮太郎氏(NAKED)と次原悦子氏(サニーサイドアップ)が対談!AIやロボット技術が発展する近未来、残っていく仕事とは?これからの時代のキャリア形成に迫る。

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「人間がやらなくてもいい仕事」が増えたとき、人は何ができるのか?

※8月に東京ミッドタウン・ホールにて体感型アートイベント『FLOWER BY NAKED 魅惑の楽園』が開催されました。開催期間中に特別企画として行われたトークイベントよりお届けします。


技術の発達に伴い機械が人間の仕事を奪ってしまうことは、歴史を振り返っても珍しいことではない。昨今ではAIやロボット技術の発達により、“消えゆく仕事”と“残っていく仕事”に注目が集まるようになってきた。このままテクノロジーが進化を遂げていくと、多くの人が仕事を奪われてしまうのだろうか。

NAKED代表の村松亮太郎氏はこう語っている。

今までの仕事がAIに代替される流れは絶対的に止められない。そういう時代になってくと、「人に何ができるか」がテーマとして浮き彫りになってきます。だから私は”あえて”この問題をポジティブに捉えています。人の力が大きく取り沙汰される今だからこそ、みんな一人ひとりが持っている「力」がどう発揮されていくかが大事なんです。(村松氏)

これに加えて、サニーサイドアップ代表取締役の次原悦子氏は、コミュニケーションやクリエイティブを必要とする”人間らしい仕事”が無くなることはないと語る。

今は本当に豊かになりました。テクノロジーの進化速度も昔の比ではありません。このままAI技術が発達すれば、単調な仕事や機械の方が正確に完了する仕事はどんどんAIに取って代わられ、仕事を失う人がでてくることも事実だと思います。 ただ、人間らしいクリエイティブやコミュニケーションを必要とする仕事だけは、どんな時代もなくなる事はないでしょう。人が力を発揮することで、新しい市場や、新しい仕事も生まれてきますからね。


サニーサイドアップにおけるコミュニケーションの仕事は、まさにその最たるもの。色々と知られてないものを伝えるために、アイディアを生み出し、そのアイディアを伝え、メディアとリレーションを築く。本当に多くの人が関わって、一つのブームを起こしているんです。それが人の力だと思います。(次原氏)

また、これからの時代、働くためには「楽しむこと」も必要だと村松氏は話した。

色んな事がシステム化されていく中で、ただ食べるために働いていると、働くことや生きることの意味を問われたときに、自分が何者なのかわからなくなってしまいます。だからこそ、日ごろからコミュニケーションを発揮して、仕事を楽しまないと意味がありません。自分に何ができるかを自分で発見して、熱を持って本気で楽しむことがこれからの時代には必要だと思います。(村松氏)

縦割りが起きないように、組織表はあえて“曖昧”

左:村松亮太郎氏、右:次原悦子氏

業務は分けるのが基本。そんな従来の価値観こそ見直される必要性があるのではないかと村松氏は言う。

NAKEDの組織表は色相環なんですよ。要は全部曖昧。サッカーと一緒で、どこからどこまでが、誰々の仕事という風には決まっていません。なんとなく「この辺、お前得意だったよね」という感じで、ゾーンを区切らず仕事をしています。もちろん、ポジションチェンジも自由。一つの場所に固定することなく、混ざりながら作っていくのがNAKED流です。


「じゃあどうすればいいの」「だったらこっちのほうがいいよね」と、一生懸命やろうとするコミュニケーションが大事なんです。一人ひとりの守備範囲を限定してしまうと、業務の縦割り化が起きてしまうので、仕事の幅は曖昧にしてあります。(村松氏)

このようにチームで一つのものをつくるのがNAKED流。仲間と一緒に話しながらつくるので「みんなの作品」と誇りを持てるのだそう。

みんなが集まることで発見があったり、実現できることが増えたりします。結局、仕事は一人ではできないんですよね。プロのスポーツ選手でも、マッサージする人みたいに支えている人がいるわけじゃないですか。ただ、自分を肯定するような自分らしさじゃなくて、自分の良い所を見つけ出して発揮していくところに、自分だけのクリエイティビティがある。伝えようとする努力や伝える能力が大切だと思います。(村松氏)

一方、次原氏はこのようにも語っている。

PR会社としてスタートしましたが、スポーツ選手のマネジメントでも、サニーサイドアップは成長してきました。特に印象に残っているのが、トライアスロン選手。トライアスロンは、水泳、バイク、ランニングという三つの競技で成り立っています。ある競技では二流なのに、トライアスロンになると一流になる選手はたくさんいる。こういったことがクリエイティブやコミュニケーションの世界にも存在すると考えています。(次原氏)

「自分の長所に気づき、強みを発揮していくことが大切」という考え方は、両者同じのようだ。

悩むことはある。でも、悩んでいても良いことはない。

仕事においてモチベーションは要素であるが、高く維持し続けることはとても難しいこと。クリエイティブやコミュニケーションにこだわる村松氏と次原氏はモチベーションについてどう考えているのだろうか。

村松氏はこう語る。

僕はモチベーションが上下することがあまりないんですよ。なんだかんだ言っても「やることをやる」。結果的に「やる」ということには変わりないですから。初めてのプロジェクションマッピングが東京駅で行った『TOKYO HIKARI VISION』だったんです。まさか僕たちが東京駅でプロジェクションマッピングをするとは想像もしていませんでした。何が起きるかなんて誰にもわからないんです。ネガティブに考えて何かが解決できるなら、ネガティブに考えるかもしれませんが、それで好転する事は一つもありません。(村松氏)

悩むことを悩んでしまっているから、モチベーションが下がる。そこには何も良いことはない。次原氏もこのように語った。

基本的に何も考えていません。結構いい加減に生きているんですよ。悩んでいる事は大体悩まなくてもいい事ですよね。「明日雨降ったらどうしよう」というのは、どうにもできないですし。まさか10年前に今のような高度なテクノロジーが生まれるなんて、誰も想像しなかったでしょう。私は創業して32年間、来月のお給料がもらえるかも分からない状況で未来のことを考えたことはなかったです。考えても仕方ないと思っていましたから。先を見なかったことが今「何も考えないで進む」ということに繋がっているのではないでしょうか。(次原氏)

どんなにテクノロジーが進化しても、コミュニケーションとクリエイティブの価値は変わらない。人と人の気持ちをつなぎ、新しい価値を創造する。そんな“人間らしさ”を伸ばしていくことが、これからのキャリア形成においても重要と言えるだろう。

(おわり)


文 = 田尻亨太
編集 = 大塚康平


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