トップクリエイターがアイデアを生み出すヒント大公開!アートディレクター・プランナーとして活躍している佐藤ねじさんをお招きし、ライフイズテックスクールに通う中高生18名にアイデア教室を開催しました。ねじ先生による特別講義、そして白熱のアイデアソン...大盛況に終わった当日のレポートをお届けします。
もしも一流クリエイターが、一日だけ子どもたちの先生になったら?第一線で活躍する彼らの授業は、きっと子どもたちの好奇心を刺激する大きなきっかけを届けられるはず。
Web業界の「これから」をもっと盛り上げていくため、こどもたちとクリエイターをつなぐ機会をつくりたい。
そんな思いを実現するために、CAREER HACKとLIFE is Tech!SCHOOLのコラボが実現したこの企画。
2016年12月に中学生、高校生たち総勢18名が集まり、アートディレクターの佐藤ねじさんが特別授業「ねじ先生のアイデア発想教室」を開きました。
ハイブリッド黒板アプリ『Kocri』、『しゃべる名刺』や『レシートレター』など、大人も子どもも楽しめるようなユニークな作品を数多く生み出してきたねじさん。一体おもしろいアイデアをどのように考えているのでしょうか?
「いつも思うんですけど、おもしろい人とおもしろくない人がいるんじゃなくて、誰もがみんなおもしろいんです」
そう語ったねじさんの真意とは?あっという間に終わった4時間の授業。当日のレポートをお届けします。
自己紹介も兼ねて、まずはねじさんが手がけてきた作品を紹介。
「たとえば、iOSアプリ開発者の堤修一さんのために制作した『しゃべる名刺』。当時、iPhone5を使っている頃で、ちょうど名刺の画面と同じサイズだったんです。iPhoneの上に名刺をおいて使ってみたらどうなるんだろう? そう考えて、デザインを考えました。」
名刺に穴が空いていて、iPhoneの上に乗せると、ちょうどそこに専用のアプリが当てはまります。名刺の各所をタップすると、堤さんがいろんなことをしゃべり出すようになっています。
こちらは、佐藤ねじさんが運営するグッズのアイデア提案サイトで発表した『本能寺ストーブ』。本能寺のように見立てられたストーブのスイッチを押すと、炎の中に織田信長の姿が…。このアイデアはtwitterで6万ツイートを超えて話題になりました。
もうひとつ「中学生」をテーマにした事例として紹介されたのは『中二設定』。iPhoneの設定画面のデザインで、自分の「中二設定」を見える化するアプリです。
「『中学生』と『iPhone』を掛け合わせて着想したアイデアで、たとえば、『いま、俺は唯我独尊モードをONにした…』と、ひとりで中二病を楽しむことができます。」
数々のユニークなアイデアに子どもたちも大爆笑。
「みんなの中には、もしかすると、まだ中学生だから、大人よりおもしろいものがつくれるわけがないなんて、思っている人もいるかもしれません。でも、その答えはNOです。
いつも思うんですけど、おもしろい人とおもしろくない人がいるんじゃなくて、誰もがみんなおもしろいんです。なぜならば、自分にしかない情報があるから。たとえば、僕だったら、『佐藤』で、『A型』で、『親父が公務員』で、『名古屋出身』で、『34歳』です。もうそれだけで、自分にしかない情報があって、オリジナリティがある。中高生のみなさんにしかない情報、みなさんにしかみれない視点が必ずあるんです。」
「アイデアは基本的に、なにかとなにかの組み合わせです。『しゃべる名刺』だったら、『名刺』と『iPhone』の組み合わせ。世の中には、いろんなものやサービスがあるけれど、どんなものも分解できるんです。ただ、なんでも組み合わせればいいのではありません。
ポイントは、組み合わせのパターンをたくさんつくること。そしてひとつひとつの要素を細かく、具体的にすること。まずは、自分の好みでいいから、どんどん要素を書き出して、組み合わせて考えてみると、アイデアが出やすくなります。」
休憩を挟んで、第2部はいよいよアイデアソン!
考える時間は40分。2~5名ほど人数でチームを組み、メンバー同士相談しながら、アイデアを考えていきます。考えたアイデアは最後にみんなの前で発表。ねじさんとライフイズテックのCOOが審査員になり、グランプリが決められます。
お題は・・・
“自分以外の誰かのためのアプリ・サービスを考えて下さい。”
アイデアを考える前に、ねじさんからお題のポイントについてお話がありました。
「みなさんに意識してほしいポイントが2つあります。1つ目は、自分以外の誰かを設定してください。特に、自分がよく知っている人・モノを対象にして具体的に考えること。そして、2つ目は、その人(モノ)が困っていること、望んでいることをたくさん洗い出してください。」
ねじさんも各チームを周り、相談に入ります。
考えたアイデアはみんなの前でプレゼン!
こちらは、片想いしている人のためにアイデアを考えました。「片想い」、「毒舌AI」、「音声機能」、を組み合わせた、『片想い大作戦』。スマホが代わりに告白してくれたり、恋の悩みを毒舌AIに相談できるチャット機能をつけました。
他にも、ねじさんの悩みを解決するアプリを考えたチーム、
AIが幸せになるソフトを考えたチームなど、オリジナリティ溢れるさまざまなアイデアが出ました。
グランプリを受賞したのは、勉強応援アプリ「メルシー」。
彼女たちが考えたのは、自分たちの勉強を応援してくれるアプリ。どこの場所が集中できるのかをみんなで共有できる機能や、好きなキャラに電話で相談できる機能を考えました。
アプリ名の『メルシー』には、フランス語で”ありがとう”の意味が込められています。アプリを使うことで、勉強に関する悩みが解決されて、アプリに『ありがとう』と伝えたくなるから。評価されたポイントは「自分たちが本当にほしい、等身大のアイデアを具体的なイメージに落とし込んでいる点、名前の由来をしっかりと考えている点」でした。
授業の後も、ねじさんの周りに自然と子どもたちが集まり、いつのまにか質問会がスタート。アイデアソンのより詳しいフィードバックを聞いていたり、いま制作しているアプリのアイデアを相談したりと、子どもたちの質問が続いていました。
日々サービス・プロダクトが生まれ、イノベーター・クリエイターたちの手によってどんどん進化していくWEB・IT業界。しかし、中学生や高校生にとって、彼らの存在やWEBのシゴトは少し遠いものかもしれません。
今回の企画は、「ものづくりの楽しさ」、「クリエイターの生き方・働き方」に触れる機会をつくりたい。若い世代のWEB業界への職種理解を進め、業界全体を盛り上げていけるような取り組みをしていきたい。そんな想いから、子どもたちとクリエイターをつなぐ企画が実現しました。
授業後のアンケートにはこんなことばが。
いままで、自分はアイデア、発想があまり出せないと決めつけている感じになっていたけれど、今日授業を受けてみて、そんなことないと、気づくことができました。これからアイデアを練っていきたいと思います。ありがとうございました!!(高1・男子)
ねじさんの講演はとっても新鮮で、アイデアの大切さを教えてくれました。アイデアの作り方は、1つずつ、カンタンなことからはじまるんだなと驚きました。今日の講演で学んだことを活かしていきたいです。(中2・女子)
感想を見ていると、多くの子どもたちが「アイデアを考えるのが苦手だと思っていた」と書いていました。
ねじさんが手がけてきた作品にふれ、ユニークなアイデアを出すヒントを学んだことで、「こんなおもしろいものをつくってみたい」と思ってもらえたり、勉強のモチベーションに、微力ながらつなげられたのではないかと思います。
そしてなにより、子どもたちが楽しそうにWebやアプリのアイデア出す姿に、私自身がとても良い刺激をもらうことができました。
今回ご紹介したねじさんのアイデア発想法は、子どもたちだけでなく、皆さんにとっても日々の仕事の中で役立つはず。
CAREER HACKとしても、ぜひ、こういった機会をどんどん生み出し、子どもたちをはじめ、たくさんの人達がWEB・IT業界で働く楽しさを届けていければと思います。
どうぞお楽しみに!
(おわり)
文 = 野村愛
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