2017.11.08
情報過多時代をサバイブせよ。「調べるお」こと大柴貴紀に訊く、超調査術!

情報過多時代をサバイブせよ。「調べるお」こと大柴貴紀に訊く、超調査術!

人気ブログ『インターネット界隈の事を調べるお』の運営者である大柴貴紀さん(East Ventures)を徹底取材! なぜ、調べるんですか? これからの時代に必須となる「調べる力」の本質って何ですか? 「調べるお」流の調査術を紐解きます!

教えて、調べるおさん。どうやって調べているんですか?

みなさん、一度はこのブログを見たことがあるのではないだろうか。

インターネット界隈の事を調べるお」ブログ

毎回、わかりやすい図が添えられた、役立つ「インターネット界隈」の情報が発信されている。掲載本数は月2本ほどと多くはない。じつに5年半以上も運営され、多くの人たちに愛されている人気ブログだ。

書いているのは「調べるお」こと大柴貴紀さん。大柴さんによれば、このブログ運営によって人生も大きく変わったのだとか。

…教えて、大柴さん!

これからの時代に欠かせない「調べる力」の本質ってなんですか!?


[プロフィール]大柴貴紀|East Ventures フェロー
忍者システムズ(現サムライファクトリー)のWebデザイナー、取締役、監査役、SEO事業をメインとする子会社社長などを歴任し、現在は非常勤取締役。また、2014年よりEast Ventures フェローを務める。BASE、CAMPFIRE、スタートアウツなどを約20社ほどを手伝っている。2012年よりブログ「インターネット界隈の事を調べるお」を運営。1976年生まれ。

「調べるお」は誰でもできる?

― インターネット界隈で愛される「調べるお」ブログですが、どのように運営しているのか気になります。ネタ探しとか大変じゃないですか?


それが全然大変だと感じたことはないんですよね。とくにインターネット界隈で仕事をしていると、情報っていくらでも入ってくるじゃないですか。むしろ情報過多なくらいです。昔からRSSリーダを使ったりもしないですし、巡回サイトみたいのもないし…そもそも本さえほとんど読みません。

すべての情報を大量に受け取っていたら、関係のないこともなんとなく気になって時間ももったいない。受け身でいればいるほど、情報過多になってしまうと思います。むしろ情報は遮断するくらいでちょうどいい。

だから、基本はTwitterを流し読みするだけ。記事なり、ニュースなり、世の中の流れは、だいたいTweetから感じられますよね。ちょっと詳しく調べてみたいと思ったら、それがもう「ネタ」になるんです。

「インプット量を増やさないとアウトプットできない」っていう認識をみんな持っていると思うんですけど、そうじゃないんですよね。

Facebookとか、Twitterとか、RSSで情報をたくさん拾うことができますが、拾ってもそれは所詮「点」のまま。「あのスタートアップが資金調達したんだなぁ」と思うだけで、広がりも深まりもない。だから、各情報である「点」を調べて、つないでいくことが大切で。すでに世の中にある情報しか扱っていないので、特殊な能力ではないと思っています。


爆速ブログ

2012年の6月にヤフーの経営体制が変わった。「爆速」という言葉が話題になっていた。毎日のようにプレスリリースがネットに流れていたことを、多くの人が目にしていただろう。大柴さんは「みんなが見ていたプレスリリースを、カテゴリ分けし、整理しただけ」だと話す。|爆速が速すぎて見えなかったので調べてみた。より


― 確かにシェアしたり、ブックマークしたり、「点」のままにして、満足していることが多い気がします。


ニュースや記事をストックしたところで、「積ん読」にしているだけ。ほとんど読み返さすことってないですよね(笑)。ぼくの場合、情報を蓄えることで知った気になって満足してしまう。気分がよくなってるだけなんですよね。「俺、詳しいぞ」みたいな。


調べるお 大柴貴紀


― もう少し「点と点」の話を。たとえば、テーマが「仮想通貨」だったとして、どのようにつなげたらいいのか…やはり迷いそうです。


つなげるとき、大きな点をつなげようとすると大変なんです。たとえば、「仮想通貨」ってじつは大きな点なんですよね。ビッグワードといってもいいかもしれません。「仮想通貨」といっても、ブロックチェーンのほうにいくのか、ビットコインなどの種類を調べるのか。パターンはいくつもあります。

僕は歴史が好きなのですが、日本史や世界史に似ていて。たとえば、人物名とか、起こった事件とか、単語だけ丸暗記するってつらいもの。だけど、「この事件をきっかけに、玉突き事故みたいにアレが起こって…」とつなげていくとすごくおもしろい。

そういう意味で一番わかりやすいのは、相関図かもしれません。たとえば、マリーアントワネットにおけるハプスブルク家の人物相関図と、エンジェル投資家と出資先をまとめた図は、点をつなげるという意味で同じ作業なのかも。「調べるお」ブログを始めた初期にバズッた記事が相関図でした。

作業は2時間くらい。自分のためのストック

― とはいえ、5年半も続けられているってすごいと思います。続けるコツは?


ブログ更新を義務にしないことですね。義務にするとやっぱつらいじゃないですか。気持ちとしては、日記みたいな感覚で書いています。じつは日記を高2から書いていて。それがウェブに置き換わっただけ。日記も書きたいことがある時だけしか書かない。タスクじゃないんです。10月は書いてなかったですし…(笑)。無理やり今日書くこともできますけど、不毛かなって思っちゃいます。それやっちゃうと5年半なんて続いてないかな、と。

あとは完成度70%でもいいから早く出すこともコツだと思います。熱が冷めないうちにやる。ちょっとでも気になるニュース、小さい「点」をみつけたら、すぐにその場で調べて書くようにしています。


― 具体的なつくり方としては?


Googleで検索しながら、どんな記事にするか頭の中でなんとなく形を作っていく。そのあとイラストレーターを立ち上げ、下描きもなくつくります。ポンポンポンポンって(笑)。図1枚で8割〜9割が伝わることを目標にしています。


― ちなみに1記事あたりどのくらいの時間でつくってますか?


図作成を含めた調査で1〜2時間。記事作成は10分でやってますね。


― めちゃくちゃ早いですね!


迷いがないから早くつくれるんだと思います。どうやってどこまで調べようかな、なんて思わない。「これ調べたい」と思った時に書いてるだけなんですよね。


調べるお 大柴貴紀

「調べる力」は前提となる能力

― 次に「調べるお こと 大柴さんが思う、調べる力とは?」を伺ってみたいです。


それでいうと、単に情報を仕入れるという意味では、検索したり、調べたりすれば、ある程度のことはわかる時代ですよね。上場企業の決算とか、だれでも見れるもの。だから、そういった意味での「調べる力」は前提条件に近いものだと考えています。

逆に持っていないとマズイ。「知らない」っていうのは通じない世界になっていますよね。会社に入ったり、社会に出ていくと「知っている」という前提で物事進むケースも結構ある。

当然、「調べる力」があっても成功するわけではありません。ただ、持ってないとおそらく同じ土俵で勝負していくことはむずかしいと思います。

なので、「調べるお」ブログは書いた段階で満足して終わっているので駄目なパターンですね(笑)。


― では「情報収集ができる」の先にいくために大切なこととは?


点と点をつなげただけではまだ仮説。そこから本当の勝負が始まるかと思っています。社会人になってビジネスやっていくとなると、そこから導き出す仮説なり、答えなり、出さないといけない。プラスアルファで行動力も必要だし、色んなものが必要になってくる。掛け合わせが必要不可欠です。

ちなみに優秀な起業家とかめちゃくちゃ物事に詳しいんですよね。彼らは気になる情報だけでなくさまざまな情報を深掘って調べています。さらにそこから仮説を導き出し、アクションに落としこんでいる。すごいなと思います。

いつでも引き出せるよう、頭の中をインデックス化

― 最後に「調べるお」ブログによって得られているものについて教えてください。


頭の片隅に情報がストックされ、パッと事象がつながったとき、引き出せるようになったかもしれません。じつは「インターネット界隈の事を調べるお」で書いた記事ってざっくりとしか覚えていないんですよね。いつ書いたかは忘れてしまっても、調べた内容は覚えているんです。

たとえば、受験勉強で「記憶」が得意な人っていますよね。あれってじつはパターン認識して覚えているのだと思います。覚える量が多くても、タグや関連付けをして、パターン認識する。頭の中でインデックス化しているといってもいい。優秀な経営者と話すとやっぱそういうのあるんだなって思い知らされるんですよね。ぼくはそこまでできてないですけど。

「インターネット界隈の事を調べるお」レベルで調べることは誰でもできると思うんです。そこから考察をして、抽象化して、頭に入れていかないといけない。そういった応用ができるようにしていけば、キャリアのプラスになっていくと思います。


調べるお 大柴貴紀


文 = 大塚康平


特集記事

リモートワーク時代の戦い方

新型コロナウイルスの影響によって進むリモートワーク。とくにテック企業でいち早く導入され、日々アップデートされている。リモートワークが当たり前となるなかで、いかに働き方を変え、さらに組織として戦っていくか。各社の取り組み、工夫、リモートワークのやり方などに迫ります。

AFTER 2020

時代は平成から令和へ。そして訪れる「2020年以降」の世界。2020年からの「10年」をいかに生きていくか。より具体的に起こすべきアクションのヒントを探る連載企画です。お話を伺うのは、常に時代・社会の変化を捉え、スタートアップと共に"一歩先”を見据えて歩まれてきた投資家のみなさんや、未来を切り拓く有志者のみなさん。それぞれが抱く「これから10年間で現実的に起こり得ること」と「新しい生き方」の思索に

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから