2018.05.31
言葉を曖昧に使うの、やめませんか? ツイッターを使った“言葉の筋トレ”のススメ

言葉を曖昧に使うの、やめませんか? ツイッターを使った“言葉の筋トレ”のススメ

こんなお題に「モテたい(目的)」「5kg痩せる(目標)」「毎朝走る(手段)」と例をもとに解説してくれた平野友規さん。ツイッターの「#本当は良くわからないまま使っている用語を整える」というハッシュタグで密かな話題となっている人物。彼にツイッターでできる“言葉の筋トレ”についてを伺いました。

言葉は、武器になる

上司に相談する。

企画書をつくる。

クライアントにプレゼンする。

そんな時、私たちは必ず「言葉」を使っています。たとえば、「その言葉、どういう意味で使っていますか?」とツッコミがあった時、説明できないと恥ずかしいもの。

「なんとなく言葉を使うのではなくて、自分なりに言葉をちゃんと定義しておく。説明できるようにしておく。そのためには、事前の準備と訓練が大切です」

こう解説してくれたのが、デザイナーの平野友規さんです。

彼の習慣は、気になる言葉を、イラストや図を使ってスライド一枚にまとめること。意味を辞書で引き、解釈を加え、わかりやすくまとめています。

それを「#本当は良くわからないまま使っている用語を整える」というハッシュタグでツイッターに投稿。そのシリーズが密かな話題となっているのです。

彼が実践する“言葉の筋トレ”は、誰でもすぐマネできるもの。彼のユニークな取り組みをヒントに、みなさんで言葉の筋力を鍛えていきましょう!

なんとなく言葉を使うと振り回される

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ー平野さんが習慣にされている、「#本当は良くわからないまま使っている用語を整える」について、まずは教えてください。


この取り組みの目的は、本当は言葉の意味を良く分らないまま使ってしまっている言葉を自分なりにちゃんと定義するためです。

たとえば、「問題」と「課題」。

日本語だと、どちらも「題」という文字が使われていて、見た目も響きも似ているし、混同して使ってしまいがちな言葉の一つですよね。

そういった曖昧にして使っている言葉を自分でちゃんと調べてみる。そして、スライド一枚にまとめることで、情報を整理し理解を深めています。

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ーそもそも、なぜこの取り組みをはじめようと?


言葉を曖昧にしているがゆえに、言葉に振り回される、そんな経験が私自身、何度かあったからです。たとえば、先ほどの「問題」と「課題」を例にお話すると、本来であれば、こんなふうに違いがあります。


・問題は、解決すべき「事柄・状況」のこと(例:肥満である)

・課題は、解決するための「活動・取り組み」のこと(例:運動をする)


それなのに、混同して使ってしまったら、いま課題の話をしているのか?問題の話をしているのか?議論は平行線をたどってしまう。

僕自身だけでなく、同僚や知人のデザイナーのプレゼン資料でも「課題」と「問題」は使い分けられてないことも多くて。これは情報発信していったほうがいいのではと思いました。

特にいま、デザイナーはプロセスを言語化し、言葉を使って第三者に説明していくことが求められています。言葉に無自覚でいるのは、すごく怖いこと。一緒に仕事をしていく人と認識がズレてしまう可能性もあります。自分のなかでもあやふやなままだと中途半端なアウトプットにつながってしまいます。

だからこそ、言葉を自分の道具にする。その言葉の意味を分かっていることではじめて、コントロール可能な状態できると捉えています。

言葉には責任が伴う

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― なぜ、そこまで「言葉の力」が重視されるのでしょうか。


そこにはプロとしての責任があるからだと思います。僕の場合、クライアントのコンサルティングから携わることが多いですが、「今回はこの手法でいきましょう」と言い切る場面も少なくありません。

たとえば、表現方法の一つ、「ナラティブという手法をつかっていきましょう」とクライアントに伝えたとします。「ストーリーテリングと何が違うんですか」と聞かれて、もし答えられなかったら、大恥ですし、お金も責任も取れなくなってしまいますよね。

よく分からない言葉を使って仕事をしていくって、クライアントに対する詐欺行為に近いことなんじゃないかと僕は思っています。

だからこそ、仕事で使う言葉はちゃんとわかって使ったほうがいい。怪しい言葉はちゃんと調べるようにしています。

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言葉を通して、職種の壁は越えられる

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ーとくにデザイナーであれば「ビジュアル」で伝えられたら、それでいいのでは?


たしかにビジュアルは、デザイナーとしても扱いやすいし、他の職種の人にもパッとみて、イメージとして伝わります。ただ、「どこまでお互いが理解し合えているか」はわかりづらい。ビジュアルを言葉で補足することで、相手と議論できると思います。

いま「越境」がキーワードになっているくらい、さまざまな職種の人たちに説明をしていく場面が多くあります。みんなが同じ方向を向いて仕事を進めていくためにも、しっかり言葉を使っていく。ここは必要不可欠です。

言葉を知る4つのステップ

ー具体的に、どう“言葉の筋トレ”をしていくといいでしょうか。


何よりも大切なのが、自分で言葉を「定義」すること。僕が言葉を定義するときに大切にしている、4つのポイントに絞ってご紹介いたします。


【1】 英英辞典・漢字の成り立ちを調べる

言葉の意味を調べるときは、英英辞典を見るようにしています。なぜなら、そっちのほうがわかりやすく書いてあるから。

日本語の辞書だと、ずっと言い換えが続くため混乱してしまいます。たとえば、「目的とは、〜する目標である」とあったりして。で「目標」を調べると「〜する目的である」とか。…どっちだよみたいな。お互いがお互いの言葉を使ってしまうので、わけがわからなくなってしまいます。

また、それぞれ漢字の成り立ちを調べて、原理的なほうを採用すると、より意味が捉えやすくなります。

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【2】調べすぎない

だいたい、「これで人に説明できるな」と思えたら調べるのをやめるようにしています。調べすぎるとダメですね。際限なく調べて泥沼にハマってしまいます。時間もあっという間にすぎてしまう。

『ISSUEからはじめよ』という本にも同じようなことが書いてあって、0〜70くらいまではいいけど、70%を100%にするところはもっと時間がかかるし、わかっていたのに、深みにハマってわけがわからなくなる。

それと、調べている時に気づいたことをメモしてます。ここでなんとなく、説明できるなと思ったらスライドをつくる工程に入ります。

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【3】スライド一枚にする

スライド一枚にすると、自ずと情報の取捨選択がされていきます。以前はEvernoteに書いていたんですけど、無限に書けてしまうので、膨大な量を載せてしまう。スライド一枚にすることで、本当に大切なことしか書かなくなりました。

また、言葉を比較しながら、「こういうことだったのかな」と、自分のなかでその差異を見つけようとしていますね。比較項目を何にするのか、共通しているものと差異は何なのか、意識してつくっています。

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【4】「やまとことば」になるまで分解する

大学の先生の受け売りですが、小学校で習ったレベルの漢字、そして「ひらがな」で表現する。表現できるまで、ひたすら“文字を開いていく”。もちろん全てのスライドがそうなっているわけではないのですが、かなり意識はしています。

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ーかなり細かいですね。最後につづけるコツについて教えてください。

まず「わかる」ということが楽しいです。楽しんでやることが一番大切なことだと思います。あとは発信をすることで反響が得られるのもうれしい。そこから習慣にしていくことで自然と続けられると思います。また、見せ方やまとめ方にも個性が出るはず。ぜひツイッターでやってみた方は、僕にも教えてください!


文 = 野村愛


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