2014.03.26
授業を100%インターネット化する「学校の仮想化」とは?|スクー森代表が描く「教育×技術」の未来像

授業を100%インターネット化する「学校の仮想化」とは?|スクー森代表が描く「教育×技術」の未来像

株式会社スクー代表取締役社長の森 健志郎氏を迎え『日本国内すべての小学校で、授業が100%インターネット化されるには?』というテーマで開催された第13回CAREER HACK MTG。出題にあたって、森氏は「教育×技術」の未来をどのように考えていたのか?ベストアイデアの発表とともに、その真意に迫る。

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「教育×技術」の未来とは

海外ではKhan Academy、Courseraに代表されるような「EdTech」と呼ばれる「教育×技術」分野への注目が高まっており、日本国内でも同様の動きが起こっている。

国内のEdTech関連のスタートアップの中で特に注目を集めているのが、先日東京大学と提携を発表したことでも話題になったオンライン動画学習サービスを手掛けるスクーだ。CAREER HACKでは「教育×技術」分野の未来を読者の皆さんと一緒に考えるべく、ユーザー参加型アイデア投稿コンテンツ「CAREER HACK MTG」で森氏に以下のような出題をいただいた。


日本国内すべての小学校で、授業が100%インターネット化されるには?


今回の出題意図を振り返りながら、森氏に選ばれたベスト・アイデア賞を紹介していきたい。

100%のイノベーションは不可能。だからこそ問いたい。

アイデアを審査するスクー代表 森氏



― 早速ですが、今回の出題に込めた狙いを聞かせてください。


テクノロジーの発達とともに、学習体験の大きな部分はどんどんインターネット化していきます。とはいえ教育という分野においては、まだまだ大きなイノベーションが起きていません。

今起こっているイノベーションの多くが積み上げ型のスタイルで、教育におけるオペレーション効率を改善するという部分に留まっています。例えば「電子黒板」は黒板に書くのが煩わしいから、10%便利にするために「電子化」してみようという発想から生まれました。こうした積み上げ型とは逆の視点からイノベーションを考えてみると面白いんじゃないかなって。

出題内容と矛盾をするようですが、どんな分野のイノベーションにおいても100%転換ということは起こっていません。例えば「乗り物」。技術革新によって、自動車、電車、そして飛行機と新しい乗り物が登場しているにも関わらず、未だに「馬車」という乗り物は存在しています。メールだってこんなに便利で身近になり、誰でも使えるようになったのに、まだ手紙を書くという文化が存在しています。

どの歴史を見てもイノベーションによってAからBに100%転換するということは基本的に起こっていない。だからこそ「100%」と振り切った時に、もしかしたら、めちゃくちゃ面白いアイデアが出るんじゃないかなっていう好奇心もあって、このような出題をさせていただくことにしました。


― 100%はありえない。だからこそ出題したいと。それでは、ベスト・アイデア賞の発表をお願いします。


授業を100%インターネットにする“学校の仮想化”

▼ ベスト・アイデア賞



100%に一番近づけられるんじゃないかなと感じました。ネット上に構築された3D仮想空間「セカンドライフ」や映画「サマーウォーズ」の世界観のように、人間が全部、仮想世界に住むようになったら、すべてのものが強制的にインターネット化されるんじゃないかなと思っていて。そういえばスクー立ち上げ時の頃、ブレストで学校の「仮想世界化」みたいなことをよく議論していましたね。今でも意識としてはあります。

こちらのアイデアは「各校の仮想世界」とありましたが、全世界を横断的にクラス化した「仮想学校」にするともっと面白いかもしれないと感じました。仮想学校上に無数に点在するクラスがシャッフルされて、相性のいい学生の統計データも取れて、化学反応が起きそうな組み合わせを生み出すこともでき、生徒ごとの最適な「学びの体験」を生み出すこともできるんじゃないでしょうか。

言葉の壁も、受講する生徒の母国語に最適化してリアルタイムで自動翻訳することでほとんど違和感なく会話することも可能になるでしょう。こういったことができるのは時間的、物理的制約を超えて価値を生み出せる「インターネット」ならではの強み。

スクーの価値とかにもなると思うんですけど、距離制約を超えて、例えばモノ作りの授業とかをやったら、自分の近くには“回路”に興味がある人が全くいないけど、日本中で集まったら1000人くらいはいるんじゃないかなと。そうした人同士が出会えて、コミュニケーションが取れるという「体験」は素晴らしいものになると思っています。




― そのために「地道にがんばる」と。


そういうことですね(笑)学校の仮想化が実現できたら、「世の中から卒業をなくす」というスクーのビジョンも達成できるのかもしれません。沢山のアイデア投稿をいただき、ありがとうございました。

現在、第14回が絶賛開催中!!



第14回のCAREER HACK MTGには、オウンドメディアのキュレーションサイト「somewrite」を運営するサムライト株式会社 代表取締役の柴田泰成氏を迎え、絶賛開催中だ。

彼がこれまでWEBマーケティングや新規事業において行なってきた、何度もターゲッティングして「無理やり振り向かせる広告手法」に疑問を感じたことがきっかけで、広告の新しいカタチを読者の皆さんと一緒に考える機会を用意してもらった。

「広告」に携わる方だけでなく、沢山の方のアイデアを通してオンライン広告の未来を一緒に考えていきたい。投稿回数には制限がないので、アイデアを思いついたら、どんどん投稿してほしい。(※投稿にはfacebookもしくはtwitterのアカウントが必要)出題意図については柴田氏のブログにも記載してくれている。

なお、投稿締切は今月末3月31日まで。ベスト・アイデア賞の受賞者には、指先の細かな動きや手を振ることでウェブブラウズしたり、音楽を奏でたり、ゲームを楽しむことができる話題のガジェット「Leap Motion™コントローラー」をプレゼント。



編集 = CAREER HACK


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