2018.09.06
「量」は、自分を裏切らないーー新人だった私に伝えたいこと|河原香奈子

「量」は、自分を裏切らないーー新人だった私に伝えたいこと|河原香奈子

デザイナーの河原香奈子さんに「新人時代に気をつけていたことは?」と質問すると「量をこなすことを恐れないこと」と教えてくれた。できそうで意外とできない、新人時代の「あたり前」の身につけ方とは-。

まずは「当たり前」を|BANK 河原香奈子

デザイナーの河原香奈子さん。

彼女が手がけたデザインはこのムービーでおなじみの方もいるのではないでしょうか。

即現金化アプリ『CASH』、後払い専用の旅行アプリ『TRAVEL Now』などを手がけるBANK社でデザイナーとして働く彼女。

どうやらはじめから売れっ子のデザイナーだったわけではないみたい。


「当時の上司やクライアントからは『全然ダメ』と言われることも多くて。そして先輩が私のデザインを手直しする。悔しい気持ちと、やるせなさばっかりでした」


もし、あの頃の自分にアドバイスができるなら?


「どんな案件でもこなしていくこと」


と、晴れやかに答えてくれた彼女。

その新人時代に迫ってみようと思います。


【プロフィール】株式会社バンク デザイナー/執行役員 河原香奈子 多摩美術大学卒業後、制作会社などを経て、2013年に株式会社ブラケットに入社。誰でも簡単にオンラインストアがつくれる「STORES.jp」のリードデザイナーをつとめたのち、2017年より株式会社バンクの創業メンバーとして、即時買取りアプリ「CASH」や後払い専用旅行代理店アプリ「TRAVEL Now」の立ち上げに携わる。現在は会社のブランディングや、各プロダクトのクオリティに責任を持つデザイナー/執行役員をつとめる。 Twitter @kanakt

いつも先輩が手直し。「やるせなさ」しかなかった新人時代

河原香奈子さんの写真

学生時代から、制作会社やデザイン事務所で受託の仕事をしていました。

はじめて仕事としてデザインをすることになったとき、作業に対する時間の見積もりを立てることや、期待されているクオリティで、締切に間に合わせることがすごく難しかった。

どのくらいの時間をかけていいのか、どこまでこだわるか、ぜんぜんわかっていなくて。かといって、時間をかけても、できあがったものもなんだかイマイチ。先輩が手直しする。ときには、夜通し直してクライアントに提出するということもありました。

先輩だって忙しいのに…ああ、自分はなにをやってるんだろう…と、申し訳なさとやるせなさでいっぱい。

いま振り返ってみると、デザイナーとしての基礎体力がほとんどなかったんだと思います。当たり前のことが当たり前にできない。ベースができていませんでした。

「量をこなす」の先に見えてきたこと

河原香奈子さんの写真

私にできることといえば、「とにかく数をこなす」こと。どんな案件でもやろう、仕事を断らないようにしよう。そう自分の中で必須のルールにしていました。

インプットを増やすことも大切だと思うのですが、それと並行して、とにかく自分で手を動かしていかないと、自分の身にならないと思っていたんです。

たとえば、受託の案件だけでなく自社のプロジェクトにも手を上げて入れてもらう。休日は友人や知り合いの手伝いをする。休日返上で「手を動かすこと」にこだわっていました。

そのためにも弱点を克服しなきゃいけなくて。たとえば、見積もりにしても、毎朝必ず「作業の見積もりを立てること」をやっていく。

その見積もりに対して、どこまで正確だったか、振り返りもセットでやる。といっても、何にどのくらい時間がかかったのか、ちゃんと書き出すっていうカンタンなことなんですけどね(笑)

ただ、やってよかった。そうするうちに、作業に対して、どのくらいの時間がかかわるか、掴めるようになっていって。先輩や上司にフィードバックをもらう時間も、ちゃんと事前に確保できるようになっていきました。

即レス、即対応

河原香奈子さんの写真

そうこうしていくなかで、仕事にも優先順位をつけるっていうことがすごく大切なんだとわかって。

けっこう陥りがちなのが、「すぐできそうなことを後回しにする」ということ。じつはコレって凄く非効率なんです。細かいタスクがどんどん後ろに積み上がってしまうから。すぐできることは、すぐにその場でやってしまう。

たとえば、メールで「文字修正をお願いします」とか「画像の差し替え、お願いします」とか、ちょこちょこ依頼をもらうことってありますよね。「あとでやろう」ではなく、即対応する。そうすると「早い!」と感謝をしてもらえるし、タスクがつみあがるストレスを感じなくていいからおすすめですね。対応が速すぎて驚かれたこともあって(笑)クオリティももちろん大切なのですが、意外とこうしたスピードも「また河原さんにお願いしたい」と言ってもらえた進め方のひとつだった気がします。

たとえば、時間がかかる作業の時も、依頼してくれた方には、すぐにレスを返す。相手はレスがないと不安だと思うので、「ボールを受け取ったこと」を伝えるのも大切だと思います。

1年で最も調子が悪い日にも合格点を

河原香奈子さんの写真

高校時代の美術の先生がすごく良いことを言っていたんです。「プロは一番調子が悪い日でも合格点を出す」と。今でも私のなかで大切な言葉です。

ただ、「どんな日にも合格点を出す」ってけっこう大変(笑)モチベーションや気分、体調にも、アウトプットが左右されないようにする。

そのためにも、お話してきたような「基本」がすべてなんだろうなって。「見積もりを立てる」「相手のスケジュールを押さえる」「ボールを素早く打ち返す」とか。あとは、少し余裕があるときのインプットを怠らないことも意識しています。

携わった仕事って、自分の「一部」になるものですよね。でも、忙しい時ってついササッとつくっちゃったりして。見る人がみればすぐ見抜かれる。「手を抜いてるでしょ」と言われてグサッときたり。

うまくできたか、できなかったか、じつは自分が一番よく分かっていると思うんです。自分を戒める気持ちを忘れず、最後まで粘り強くこだわりたい。デザイナーとしてのベースができていれば、新たな分野や表現にチャレンジすることもできる。だからやっぱり「基本」が大切なのだと思います。

(おわり)


文 = 野村愛


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