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終電で帰宅して、深夜3時まで勉強していたーー独学で切り開いた、デザイナーへの道のり

2018-10-25

終電で帰宅して、深夜3時まで勉強していたーー独学で切り開いた、デザイナーへの道のり

海外でも注目のスタートアップスタジオ『All Turtles(※)』で日本人初のデザイナーとして働く鈴木智大さん。過去には出版社で雑用をこなすなど、デザインと全く違う職種も経験してきた苦労人。彼はなぜデザインの第一線で活躍できるまでになったのか。そこにあったのは「インプット・学びへの執念」だ。

【連載】ぼくらの新人時代
「新人時代をどう過ごしていましたか?」テック業界のトップランナーたちに、こんな質問を投げかけてみる新企画がスタート。その名も、「ぼくらの新人時代」。知識もスキルも経験も、なにもない新人時代。彼ら彼女らは”何者でもない自分”とどう向き合い、いかにして自分の現状と未来を定め、どんなスタンスで学んできたのか。そこには私たちにとって重要な学びが詰まっていた。

(※)Evernote元CEOが立ち上げたスタートアップスタジオ

「たった5名の編プロ」が原点だった

ー All Turtlesといえば、かなり注目されるスタートアップスタジオの一つだと思います。かなりキラキラしたキャリアを歩まれてきたと想像していたのですが…


ぜんぜん違うんですよね(笑)最初に働いたのは、雑誌編集プロダクション。ダンス雑誌のフリーペーパーを制作していました。スタッフは5人だけ。ちょうど20歳の頃です。大学を中退して働きはじめて。美大や専門学校の人たちが学校で学んでいる間、僕は実務で学んでいかなくちゃいけないと思っていました。

ただ、当時はデザインだけでなく、記事も書いていたし、写真も撮っていたし。今だからお話できるのですが、週3~4日は徹夜するのがあたり前でした。

とにかく毎日、先輩からのダメ出しの連続。かなり厳しかったです。「デザインにメリハリがない」とか「伝えたいことが伝わってない」とか。

フィードバックされている内容は分かるし、直さなきゃいけないと思うんですけどね。具体的にどの部分がダメなのか。どう直したらいいのか全然分かりませんでした。

鈴木智大さんの写真

【プロフィール】鈴木智大(すずき・ともひろ) All Turtles UXデザイナー
DTP制作会社、新聞社を経て、モバイルアプリやWebサービスを開発するナナメウエへ。数々のアプリのデザインを手がける。2014年2月からSTANDARDの創業メンバーとして3年半勤めた後フリーランスに。2018年4月からEvernote元CEOが立ち上げたスタートアップスタジオAll Turtlesへ。本社のあるサンフランシスコと日本を行き来しながら、STANDARDでも引き続きパートナーとして携わっている。

深夜3時までデザインの勉強。ずっと強迫観念があった。

ー そういった中、どうスキルを磨いていったのでしょうか?


終電で帰れる時は、深夜3時くらいまでデザインの勉強をするようにしていました。土日も必ず1日は勉強時間にあてる。とにかく早く結果を出したかったんですよね。

じつは1社目はあまりにしんどくて、会社を逃げ出してしまって。2社目は、デザインとは全く関係のない仕事だったのですが、デザインを勉強する習慣だけは継続していました。

鈴木智大さんの写真


ー いつかデザインの仕事に戻るつもりだったのでしょうか?

それは意識していましたね。そのために、とにかく習慣として、インプットとアウトプットすることを続けていました。転職した後も、デザイナー向けポートフォリオサービス『JAYPEG』に作ったものを投稿して。たとえば、Illustratorを使って、当時流行っていたスキューモフィックなデザインをひたすら投稿していく。もうただ楽しかったというのもあるんですよね。「やりたい」「楽しい」を原動力にすることが最も効率的なので。

ただ不思議なもので。発信をし続けていると、いろいろ話がもらえたんです。『10倍ラクをするイラストレーター仕事術』という本を執筆させてもらえたのも、『JAYPEG』での発信がきっかけです。当時、『JAYPEG』で一番ライク数を稼いでいて。それで現STANDARD代表の鈴木健一さんから「一緒に会社をやりませんか?」と声をかけてもらうことができました。

+++鈴木さんが新人時代に利用していたポートフォリオサービス『JAYPEG』


ー かなりストイックな勉強法&アウトプットにも感じる思うのですが…根っこの部分でいうと、何がそうさせたのでしょうか。


もしかしたら過去に挫折した経験が大きかったかもしれません。僕はデザイナーになるまではずっとブレイクダンスをやっていて。首を怪我して途中で辞めたんですよね。

当時のチームメイトの中には、その後世界一になってるメンバーもいたり、めちゃくちゃ頑張っているんですよ。フィールドは違うけれど、僕もデザイナーの道で結果を出したい。そうじゃないと、これまで一緒にやってきた仲間に申し訳ないなって。

もうひとつ、“早く結果を出す”ということでいえば、人生は思ったより短いという感覚が強い。僕が上京してから立て続けに身内が亡くなってしまった。生きている時間を、密度を濃くしなければ、何者にもなれないまま終わってしまうんじゃないか。そんな強迫観念的に近いものがあるのかもしれません。

毎年「勉強する分野」をアップデートしていく

鈴木智大さんの写真

ー 「実務が忙しくてインプットや挑戦の時間がつくれない」というのは新人にありがちだと思います。


とにかく作業を効率化し、仕事を早く終わらせる。繰り返し行なっている作業を自動化する。そしてバッファをつくる。ここに尽きると思っています。

デザインツールのショートカットを覚えたり、よく使うデザインをテンプレ化して効率化する。当時身につけた仕事の仕方は、いまでも糧になっています。

自分のタイプ的にも飽き性なところがあって、全く同じ仕事っていうのはたぶん続けられない。だから、毎年「勉強する分野」も変えています。新しいチャレンジができるように、常に自分流のスキルの上げ方を習得していく。

2012~2015年は「アプリのUX」について深掘りしたし、2016年は「とにかく本を読みまくる」という年で。2017年からは英語を猛勉強しています。

デザインだけでなく、英語も、プログラミングも、学びの本質は変わらないはず。どのくらいの時間を費やせば、どのレベルに到達できるか。学習するための土台を感覚として掴んでおけば、どんなことにも応用できるはずです。

鈴木智大さんの写真

(おわり)



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