2018.12.12
24歳で『AbemaTV』デザインチームのリーダーに。エゴを捨てて見えた、チームではたらく意義

24歳で『AbemaTV』デザインチームのリーダーに。エゴを捨てて見えた、チームではたらく意義

『AbemaTV』開発本部デザインチームのリーダーである松本俊介さん。じつは新卒入社4年目、26歳のホープ。ただ、「新人時代はひとりよがりで痛いデザイナーだった」と振り返る。なぜ彼が『AbemaTV』立ち上げの立役者に? 彼に訪れた変化とは? そこには「エゴ」を捨て去った先に見えた「チームでのアウトプット」があった。

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異例の大抜擢で、調子に乗っていた

今回お話を伺ったのは『AbemaTV』デザインチームのリーダーである松本俊介さん。『AbemaTV』立ち上げプロジェクトにアサインされた1年目の頃から振り返ってお話が伺えた。

150人近くいる同期のなかで『AbemaTV』の立ち上げに参加させてもらえることになりました。少し舞い上がっていた部分もあったと思います。

どこかで自分のことを「デキる」と思っていたかもしれません。もちろん表に出すことはないですが、他の同期とはちょっと違うぞ、と(笑)

ただ、『AbemaTV』のプロジェクトにアサインされてすぐ壁にぶつかりました。入社後の研修がおわってすぐ参加させてもらったのですが、ぜんぜん上手くいかない。

当然、デザインのクオリティに対するフィードバックはあるのですが、僕としては「どう考えても良いデザインなのに、なんで誰にも理解されないんだ」ということも多くて。心のどこかで「みんな、わかっていない」とさえ感じていました。

自分が良いと信じたものが理解されない。これって想像以上に辛いものですよね。悔しさというか、どこにもぶつけられないもどかしさというか。生意気を言って反発したこともありました。ここだけの話…家で泣いたこともありましたね(笑)

おそらく「デキる自分」という自負、プライドがあっただけに、それが粉々に砕かれて辛かったのだと思います。自分の「エゴ」に気づくまで精神的にも結構きつかったです。

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[プロフィール]松本俊介|AbemaTVデザインチームリーダー
2015年、美術大学を卒業後、新卒でサイバーエージェントに入社。研修期間を終えてすぐ『AbemaTV』の立ち上げに参画。現在は、同サービスのiOS・Androidデザインを手がけながら、チームリーダーを担う。全社内での受賞歴を持ち、社外で登壇を行なうなど社内外から評価されている。同世代のなかでも一目置かれる存在だ。

「エゴ」を捨てる。

2年目に入るくらいの頃、ようやく冷静に自分のことが見れるようになってきました。

新人時代は「自分」が強すぎた。相手を受け入れようとしない、なのに自分の意見は押し付けようとする。一方的に自分のデザイン論を吠える。カンタンにいえば、ひとりよがりで”痛いデザイナー”だったと思います。

ただ、どうすれば同じ失敗を繰り返さずに済むか、ここは常に考えていました。

デキる先輩デザイナーたちの仕事を盗み見ていくと、フィードバックをもらい、ブラッシュアップを繰り返していた。今ではあたり前だと思いますが、当時の僕は、意見をもらうのが得意じゃなかった……。というか、どこか迎合しているようでイヤだったのかもしれません。

ただ、フィードバックを反映しつつ、さらに自分のアイデアや意志をプラスさせ、着地をさせていく。そうすることでデザインは研ぎ澄まされ、より良いものになっていく。この進め方がいかに強いか、実践から感じとることができるようになっていきました。

とにかくフィードバックをもらっては作り直す。『AbemaTV』立ち上げでは、気づいたら100案以上のモックをつくっていたことも。いろいろな人たちから違う角度でフィードバックをもらうので、毎回別パターンの引き出しが増えていきました。

あと…負けず嫌いなんですよ。だから、ツッコまれた時により良いデザインを打ち返せるよう、自分なりの準備をしておく。UIデザインは言語化しやすい分野だと思ってるので、頭の中を常に整理していつでも話せるようにしています。逆に他人へのフィードバックをする際は瞬間的に言語化が追いつかないことも。今後成長したいところです。

デザインもコミュニケーションも好きだったのですが、「コミュニケーション」がとにかく下手だった。働いてみるとあたり前ですが、一人でできる仕事はない。ここはずっと向き合っていくところだと思います。

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答えは自分の「外」にある

あとはいかにフィードバックをもらい続けられるか。「場」も大事だと思っていたので、社内のSlackに「UI広場」というチャンネルをつくりました。

デザイナーだけの内輪にするのではなく、エンジニアやディレクターも自由に入ってきてOK。フィードバックしあったり、情報交換をしていく。今だと120名くらいのコミュニティになっています。

みんなで意見を戦わせるって、それを見ているだけでもすごく勉強になるんですよね。デザイナーとエンジニアで見ている観点が違うのはもちろん、異業種の人だったり、ベテランだったり。みんながどんなデザインを良しとしているのか、「目」を増やしていくようにしました。

また、とくにリーダーを任せてもらうようになってからは、まわりをよく観察するようになったと思います。シンプルに、チームの状態が把握できていないと落ち着かない。チームの状況には、常にアンテナを張るようにしています。

とくに『AbemaTV』は多くのデバイスに対応しているので、自分が担当している領域だけに集中していると『AbemaTV』全体のバランスが崩れてしまう。

複数人で良いプロダクトをデザインしていく。だからこそ、全体での違和感にすぐに気づきたいし、気づくべきだと捉えています。

…ちょっと病的なくらい、神経質だったり、不安症だったりするのかもしれません。Slackも常に見ていないと気が済まないし、常に周りの声を耳に入れておきたいのでイヤホンもできないし(笑)裏を返すとメンバーに判断を任せきれておらず、タブーだとよく言われる「マイクロマネジメント」をしてしまっています。自由度の高い発想を活かせる環境を作りつつ、守るべきところは守っていく。ここは今後の課題だと思っています。

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文 = おかだもえか
編集 = 大塚康平


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