2019.03.05
ペイミーくんに聞く、きどらないツイートのススメ

ペイミーくんに聞く、きどらないツイートのススメ

Twitter上に突如現れ、“愛されるキャラクター”として少しずつ認知を広げている「ペイミーくん」。スタートアップやウェブサービスにとって、Twitterアカウントの運用は大切なこと。どんなことに気をつけたら良い?寄稿記事としてお届けします。

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「ペイミーくん」って?
給与即日払いサービス「Payme」の公式Twitterアカウント。推定27歳(ツイッターのプロフィール欄によると、誕生日が1991年11月20日のため)。会社のことやサービスの情報よりも、なんでもない日常のツイートが大半を占める。積極的にTwitter上でリプライを飛ばしてコミュニケーションをとり、特にウェブ界隈で顔が広い。スローガンは「日本の給料を、もっと自由に。」

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もくじ

はじめに
Twitter運用で心がけている3つのこと
①コミュニケーションの接点となる話題をつぶやく
②まずは名前を覚えてもらう
③オフラインでの関係構築を大切に
おわりに

はじめに

往年の名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』のラストシーン。主人公マーティーとタイムトラベルを共にしてきたドク博士が、マーティーとその恋人ジェニファーに向かって、こう説く。


It means your future hasn't been written yet. No one's has. Your future is whatever you make it !〈君たちの未来はまだ白紙ってことさ。誰だってそう。未来は自分で切り拓いていくものなんだ!〉


Twitterも同じだと思うんですよね。「フォロワーを○日で○○人増やす方法」なんてタイトルでノウハウが紹介されたりするけど、実際のところ一朝一夕で増えるものでもないし、増えたところで実はそんなに変化ってなかったり。

それに答えがわかってるものを続けるのって、なんだか攻略本を見ながらRPGをプレイするみたいで、すごく味気なくない? 結局は自分で試行錯誤してみて、これは反応あった、これは反応なかったと自分で知識を蓄積していく方がよっぽど楽しいと思うのです(楽しくなかったらごめん!) 。

ペイミーくんにしてもそう。完全に仕事と割り切るのであれば、まったくもって割りに合わない。365日フル稼働だし、場合によっては炎上リスクも抱えているわけだし(静かな生活よ、さようなら)。ということで、基本的には好き勝手に運用させてもらっています。1日に投稿するツイートの本数も投稿する時間も決まってないし、特別なツールも使ってない。だから、「ペイミーくんのSNS活用術を教えてください!」と相談されると、正直困った。だって、メソッドも何もないから。

ということで、うんうん悩みながら捻り出してみました。THE GUILDの深津貴之さんがつい先日書いたnoteの方が100万倍ためになるんじゃないかという思いが多分にありつつも、こうやって寄稿の機会をもらえるのはすごく光栄なことなので、今の段階で考えていることについて書いてみます! 

Twitter運用で心がけている3つのこと

①コミュニケーションの接点となる話題をつぶやく

ペイミーが提供している給与即日払いサービス「Payme」は、平たく言うとB2B2Cという形態を取っています。企業にサービスを導入してもらい、それを従業員へ提供する仕組みです。だから、本来的にPRすべきは企業側になります。

けれど、Paymeは従業員に使ってもらって、はじめてサービスとしての本当の役割を果たせると思っているので、PRをするうえでは“従業員に使ってもらうには”に重きを置いています。

その手段のひとつがTwitterですが、変な話、サービスの話は極力しないように心がけています。そもそも日常においても、興味のないことを延々と一方的に話されることほど苦痛なことはないと思うんです。「つまらん、お前の話はつまらん!」って大滝秀治さんが殺虫剤のCMで言ってましたよね。覚えてない? それと同じで、一方的にサービスや企業のことを黙々とツイートされても、耳を貸してくれるのってよほどのお人好しか、よほどの物好きくらい。“できるセールス担当は聞き上手”なんてよく言われていますが、質問されたときに答えるくらいのスタンスの方が気持ちいいはずなんです。

とはいえ、何も発信しないままでは認知してもらえません。そこで、音楽や映画のことなど、人とコミュニケーションを取るうえで接点となる話題を多くツイートするようにしています。ラジオと同様に、Twitterも基本的には1対nではなく、1対1のコミュニケーションと捉えたわけです。



②まずは名前を覚えてもらう

Twitter運用の目標としてまず掲げたのは、名前を覚えてもらうことでした。

かつてペイミーくんの置かれた状況を売れないバンドに例えたことがあるのですが、まずはたくさんの人に名前を覚えてもらう。“ペイミーという会社や、Paymeというサービスのことは知らないけれど、ペイミーくんという存在は知っている”この状況をつくり出していくことで、サービスや会社のことをもっと詳しく知りたいと思う人が現れると考えたんです。



そのいい例が、2018年11月に公開された映画『ボヘミアン・ラプソディ』。イギリスの伝説的ロックバンド・クイーンと、その中心的人物だったリード・ヴォーカル、フレディ・マーキュリーの生涯を描いたエンターテインメント大作です。この映画は驚異的なヒットを記録し、先頃に発表された第91回アカデミー賞では、フレディ・マーキュリー役を務めたラミ・マレックが主演男優賞を受賞するなど4部門を制覇しました。このフィーバーは、まだしばらく続きそうです。

正直な話、この映画がこれほどのヒットを記録すると公開前の段階で思っていた人はそこまでいなかったはず。だって、そもそもネタが古い! 彼らの黄金期は、今から40年ほど前のこと。現役で彼らを追っていたファンの中には、還暦を迎えている人も少なくないでしょう。ところが蓋を開けてみると、世代を問わず多くの人が映画館に足を伸ばしました。そして、「クイーン、恐るべし!」となったわけです。

このヒットの背景のひとつとして考えられるのが歌の力。「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」といった名曲は、クイーンと同じ時代を生きた人々のみならず、その下の世代にも確かに届いていたわけです。“クイーンやフレディ・マーキュリーのことは詳しく知らないけれど、曲はどこかで聴いたことがある”映画を観に行った人の大半がそんな感じだったのではないでしょうか。

ここでとにかく大切なのは、“なんだかよくわからないけど知っている”という状況ができていたこと。“知っている”と“知らない”では、心の壁の高さは恐ろしく変わります。街歩きの番組で、芸能人が地元の人々とフレンドリーに会話するシーンをよく見かけますが、彼らが知られていない存在だったら、きっとあんなふうに歓迎されないよね。

ちなみに最近は、さらに認知を広げるためにペイミーくんの名刺をつくって、会った人に何枚か渡すようにしているんだけど、これが意外と好評。人によってはSNSに写真を載せてくれたり、知人に配ったりしてくれて、そこから名前を覚えてもらう機会も多くなっています。



③オフラインでの関係構築を大切に

とはいえ、現在のペイミーくんのフォロワー数は3500ほど。この数字を会った人に話すと、意外と少ないといった反応をもらうことが多いので、もしかしたら数字以上に「ペイミーくん」という名前を聞く機会があるのかもしれません。と、白々しく言ってみたのですが、これにもあるカラクリが。

ペイミーくんをフォローしてくれている人の中には、フォロワー数が数万単位だったり、言動に注目が集まる人も少なくありません。簡単に言うと、彼らとのやりとりを通して、ペイミーくんの名前を知ってもらう機会をつくっているわけです。

具体的には、彼らと深くコミュニケーションを取るために、気になる人には直に会うようにしています。もちろん、なかには本業が忙しい人も多いので、きちんとタイミングを見計らって。

向こうからしたら、「ただ会いたかったから」という理由がいちばん困るはず。場合によっては、本当にただお茶をして終わりになってしまうことも少なくありません。わざわざ時間を費やすのだからこそ、“なぜ会うのか”を明確にしておく必要があるわけです。

そこで最近は、うまく取材を絡めるようにしています。「ペイミーくんマガジン」というふざけた名前のWebマガジンをnoteで運営しているのですが、そこでのインタビュー取材にかこつけて会うようにしています。

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ちなみに、現在までに登場してくれた人はすべてTwitter経由で知り合い、出演を快諾してもらっています。しかも、このインタビュー連載が各所で好評を得ていることもあり、会いたい人に会える確率も高まりました。最&高!

おわりに

でも、結局はやってみるしかない

ここで紹介したことは、ペイミーくんが実践していることだけど、これをそのまま転用してもうまくいくとは限りません(たぶん、うまくいかない)。Twitterのアカウントをキャラクターに変えただけでは結果は出ないし、結局はやってみてそれぞれに答えを探していくしかないんだよね。とはいえ、すぐに導き出されるものでもないので、一喜一憂しながらTwitterを楽しんでみたらいいんじゃないかな? 


編集後記

ペイミーくんにフォローされたとき、「わ!あのペイミーくんにフォローされた!うれしい!」と、なぜだかとても嬉しくなったのを覚えています。特にスタートアップ・ウェブ界隈で、着実にその名を知られ、愛される存在になりつつあるペイミーくん。もしかしたらその理由は「かわいいイラストにあるのでは?」と思い、ペイミーくんに尋ねてみたけれど、「それはヒミツです!」とあっさり返されてしまいました(笑)実在するのか、しないのか。本当は1人なのか、複数人いるのか・・・。その正体は謎に包まれていますが、そんなミステリアスなところもなんだか惹かれる理由なのかも。今後もペイミーくんに注目していきたいです。


文 = 寄稿


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