ARで映画やゲーム、アニメの世界観を現実と同化させる、ARクリエイター「青絵」さん。作品をつくりはじめてわずか5ヶ月でスナップチャット公認ARクリエイターに!TwitterでAR作品を投稿し続ける彼はいったい何者?
ARを自在に駆使し、CGのような動画を生み出すクリエイター、それが青絵さんだ。『ジョジョ』っぽい、スタンドのようなARを出現させ、現実と同化させた動画も話題となった。
Twitterのプロフィールには「スナップチャットの公認ARクリエイター」とあるが…。
一体、彼は何者なのだろう。
彼の素顔とともに「AR表現の可能性」に迫った。
憧れのジョジョのような『スタンド』を手に入れた
— 青絵 (@aoepng) 2019年5月13日
カメラが顔を認識するとキャラが背後に出現し、顔を動かせば同じ方角に構える。
口を開き雄叫びを上げればキャラが反応し、炎の攻撃を繰り出します
キャラ・エフェクト・効果音すべてリアルタイムで動く AR(拡張現実)を作りました。 pic.twitter.com/vNcJPhFai7
[プロフィール] 青絵 (あおえ)@aoepng
大学で建築を学び建築事務所へ就職。「アイデア」に力点を置いて働きたいとプロモーション関係の仕事へ転職。2019年6月よりソーシャルゲームなどを手がける事業会社にジョイン。SNSに関する新規事業でARを活用した施策を担当する。
――「スナップチャットの公認ARクリエイター」という肩書き、はじめて知ったのですが、どのようなものなのでしょうか?
いま全世界で80人くらいの方が公認のARクリエイターとして活動していて。現在日本では私1人だけです。時期としては、2018年10月から活動させていただいています。
――それってかなりすごいことなのでは…?
そうだといいんですけどね(笑)公認であることで、世界トップクラスのARクリエイター達と専用のコミュニティを介して情報交換を行えるのは大変ありがたいです。あとスナップチャットにARの新しい機能が出るときはベータ版に先に触らせてもらえたり、将来的に追加したいAR機能などを本社のスタッフとディスカッションしたりもします。スナップチャットを通してARがこの先どういう風になっていくのかを少し先に知ることができる。ただ、契約金などは特にないです(笑)
――どのような経緯で、公認ARクリエイターに?
もともと、2018年の5月くらいからARについて勉強して、自分でも手を動かし始めて。本当に最初は手探りの状態だったのですが、とにかく作ってはTwitterに投稿していました。どっぷり浸かり始めたのが2018年の7月頃。コンスタントに作品をあげるようになり、アメリカの公認クリエイターがTwitterで連絡をくれたんです。「君が面白い作品つくるから推薦するよ」と言ってくれて、本社の方からも「クールですね!」とお声がけいただけました。
Kawaii Little fish pic.twitter.com/C3R0bUmqvD
— 青絵 (@aoepng) 2018年9月5日
――注目されるように心がけていたことはあったのでしょうか?
最初は自分の知識アップも兼ねて、ARが用いられている世界中のおもしろい事例をリサーチしては紹介し、自分が作った作品を1週間に1回、もしくは2週間に1回は投稿するようにしていました。この頃はまだ、ARというと技術的な話ばかりで、見ていて楽しく未来にワクワク出来るようなTwitter投稿が少なかった。自分なりの視点でARを紹介していくことで「こういった活用方法があるのか!」というコメントが多く付いた印象です。
その後は紹介できる海外の事例が食傷気味になってきたこともあり、2~3日に1回自分が作った作品を投稿することを心がけました。
常に考えていたのは、フォロワーさんが見て楽しめるものなのか。ARで新しいことに挑戦してみたいと思う企業さんの目に止まるものか。
はじめの頃は何となく作ってTwitterにアップしていたのですが「このままだとダメだな」って。ARは注目されているけど、ただ作ってもダメ。テクノロジーを追求するだけでなく、おもしろい見せ方をしたいと思っていたのでこのあたりは試行錯誤でした。
――青絵さんが作りたいものを作っているわけではない?
そうですね。私が作りたいものを作っているというよりも、これまで投稿して反響が集まったものを参考に次の作品を作るようにしています。たぶん私が作りたいものを作ったところで絶対にバズらないと思うんですよ。
あとは、あたり前ですが、1ヶ月に1ツイートだけじゃ全く盛り上がらない。Twitterでフォローしてくださった方を楽しませるには、頻度高く作品を出し続けることが大事だと思っています。
最近は新しい仕事がはじまったので頻度は落ち着いてしまっていますが、2~3日に1度は自分が作ったものを投稿していました。時間をかけて完璧な作品をつくるより、時間を区切り、その段階で出来上がったものを投稿すると決めています。
――すごい量のアウトプットになりますよね…継続する上で心がけてきたこととは?
ARでしか出来ないことを1つだけ伝える、ここは意識しているところかもしれないです。複雑になればなるほどARのおもしろさを伝えられなくなってしまうんですよね。
これは大学時代の経験が活きているのかもしれません。建築のコンペに作品を出した時、友達から「君の作品は幕の内弁当だよね」って言われて…ちょっとしたコンプレックスです(笑)
コンペの世界って尖ったアイデアで勝負するのが定石。たとえば、ハンバーグ弁当のメインは誰の目から見てもハンバーグですよね。でも、幕の内弁当には鮭やエビフライ、シュウマイや煮物と、いろいろな要素が詰まっていて、おいしいけど何がメインかわからない。あれもこれもと詰め込みたくなる気持ちをグッと抑えて、幕の内じゃなくてハンバーグで勝負しなくちゃいけない。
――最後に、青絵さんが思うARだからこその魅力について伺わせてください。
言葉を交わさなくてもコミュニケーションを助長することができる、ここが魅力なのだと思います。
「あなたの作品は面白い!」とメッセージをくれた海外の女性がいて。彼女は英語を話し、私は日本語を話す。そこには言葉の壁があったはずですが、Snapchatのフィルター1つが私たちをつなげてくれて、世界が一気に広がりました。
ARのフィルターは作者だけでなくどんなユーザーでも自分も遊ぶができる。私に感想を送ってくれた彼女も自分で遊んだ様子を動画で送ってくれて。これは普通の映像作品とは違う部分だと思います。
ただ、だからといって、ARに過度な期待をしているかといえばそうでもないんです。もちろん広まったらうれしいけれど、ARが世の中に根付くかどうかわからないし、時代の流れには逆らえない。そういった意味でいうと、私にとってARはあくまでアイデアを表現するツールなのかもしれない。なので、ARに限らず、アウトプットするカタチやプラットフォームを変化させながら、ずっと面白いものを企画しつづけたいです。
同時にARで試してみたいアイデアも、まだまだたくさんあります。幸い、企業さんからお声をかけていただけていて。個人の趣味から派生してプロジェクトになってきたのはうれしい。そのプロジェクトをまずは成功させる。ここに挑戦していきたいと思います。
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