2019.03.22
木村憲仁がコーチングサービス『mento』を2週間で生み出すまで。300名が即申込み!

木村憲仁がコーチングサービス『mento』を2週間で生み出すまで。300名が即申込み!

着想からたった2週間でコーチングサービス『mento』を公開した、木村憲仁さん。公開までのスピードを支えたのは「身近な人の課題を解決したい」という真っ直ぐな思いだった。

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2週間のスピード開発のウラ側|『mento』木村憲仁

苦悩した半年間を経て、直感を信じ、わずか2週間でサービスの事前登録を開始。

こうして生まれたのがコーチングサービス『mento』だ。

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公開3日で300名が申込み。現在本格的なサービスリリースを前にクローズドで検証を重ねつつ、事前登録者数を着実に増やしている。サービスを手がける木村憲仁さんはこう語る。


「キャリアに悩む20代後半から30代の申し込みが多く、コーチをされている方からも50名以上からお問い合わせしていただいて、改めてニーズを認識しました」


当然、事前の入念な調査などを行なう時間はなかったと振り返る。


「『これだ!』という自分の直感を頼りに、突き進んでいった感じだったんですよね。気付いたら時間を忘れ、プロダクトをつくることだけに集中していました」


無我夢中で走り抜けた2週間、そして、サービス公開後の学びについて伺った。

コーチングを受けた原体験がきっかけに

ー 着想から2週間というスピード開発。一体なぜ実現できたのでしょうか?


「とにかく早くつくって公開したい」という気持ちだけで…気づいたらがむしゃらに、突っ走っていましたね(笑)

じつは昨年末、僕自身もコーチングを受けて。「自分の本当にやりたいこと」と向き合った経験がすごく大きかったと思います。

自分はどうありたいのか?本当は何をしたいのか?コーチから質問をされ、最初はうまく答えられず、数日間考え込んで。ふと思い浮かんだのが、”身近な人の課題を解決し、力になりたい”だったんです。

もうひとつ、コーチングを受けたいと思ったとき「コーチを探すのって本当に面倒臭かったな」と思い出した。検索をかけても、イマイチ情報がまとまっていない。どの人が自分に合うのか分からない。いちユーザーとして「良いコーチと出会えるサービス」が欲しいなと。

そして人の悩みには様々だけれど、誰しもが落ち込んだり人生上手くいかないときはあるし、そんなとき人と話してスピーディーかつ前向きに解決できるサービスは絶対に需要がある。そう考えたら「自分がやるべきことはこれだ!」と思いました。

あとは無我夢中で。コーチングについて情報発信しているこばかなさんに連絡を取ってお話を伺ったり、コーチングの基礎を学ぶためにスクールに通ったり。

最短でサービスを公開できるように準備を進めていました。

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【プロフィール】木村憲仁(きむらのりひと)株式会社ウゴク代表取締役
1990年生まれ。大学卒業後、株式会社リクルートホールディングスに新卒入社。リクルートマーケティングパートナーズのUXデザイン部門にて、カーセンサーを4年半担当。2018年10月に退職して起業、人生を賭けるテーマを探す中でコーチングに出会う。2019年1月にパーソナルコーチングサービス「mento」を発表。

まるで出口のないトンネル。迷走した半年間

ー自分の心に素直に向き合った経験が、アイデアに結びついたのですね。


そうですね、今だからお話できるのですが、アイデアを思いつくまでの半年間はかなり迷走していました。

もともとは業界の課題が見えている「中古車領域」で起業しようと、前職を退職する前から準備を進めていたんです。でも、いざ始めてみると、なかなか気持ちが前に進まない。だんだん朝起きられなくなり、仲間との会議も腰が重くなっていっていきました。

とはいえ、すでに人を巻き込んでいる。弱音を吐いてはいられないと責任も感じて。振り返ると、自分をごまかしながら開発や提携交渉を続けていました。

そんなある日、仲間がチームを離れることになって。すごくショックだったけど、それ以上に自分が「このビジネスを一緒にやったら、こんな人が幸せになってこんな世の中になる」と明確にビジョンを伝えられなかった。問題の根本は「自分」だと思い知らされました。

精神的にもかなり落ち込んでいて、自分の力だけで解決できるイメージが湧かず悩んでいるときに、ふと以前から気になっていた、コーチングを受けてみようと思ったんです。最初は「なんか怪しいんだよなぁ」と半信半疑だったんですけど(笑)先にコーチングを経験していた奥さんの後押しがあったことも大きかったです。

実際にコーチングを受けてみると、コーチからの質問で自分の頭の中でもやもやと考えていることを引き出してもらえて、冷静に自分を見つめ直すことができました。

中古車の事業は、本当に自分がやりたいことじゃないのかもしれない。そう考え直し、1週間後には、事業を一旦クローズ。事業準備を一緒に進めていた仲間に相談し、取引先にも頭を下げて。

振り返ってみると、「やりがいを感じること」と「ビジネスとしての成功」を天秤にかけてビジネスを優先した結果、本当に自分がやりたいことに蓋をしてしまっていたのだと思います。

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事前登録開始後1ヶ月で、コーチ50人にヒアリング

ー 事前にヒアリングやマーケット調査はどんなふうにされていたのですか?


じつは、公開前の段階ではユーザーヒアリングも市場分析も全くしていません。簡単なビジネスモデルやサービスの形は僕の頭の中にありましたが、コーチのニーズがあるのかはまだ確信が持てていない状態でした。ただ、いくら調べても結論はでないので、スベることも覚悟しつつ直感に従ってまずは世に問うてみようと。

ただ、リリース後すぐに50人以上のコーチの方からお問い合わせをいただいて。ひとりひとりと面談し、どんな人がいるのか?mentoは誰をコーチとすべきか?を学びつつ、サービスモデルにレビューをいただきながらブラッシュアップしていきました。

本業にされている方もいれば、兼業されている方、趣味の方、本当にさまざまなコーチがいる。大きな発見は「コーチ一本で食べていけるようになるのは非常に難しい」ということ。たとえば、プロのコーチになるためにスクールに行きスキルを身につけても、いざビジネスをスタートすると集客できず苦戦したり。あとは会社員の方だとやめてプロコーチになりたくても副業禁止でなかなかお金を稼ぎながら経験がつめなかったり。コーチ側の状況を知れた。

その上でコーチの評価軸、価格設定、コーチングを受けたいユーザーのみなさんとどうマッチしやすくするか。質の高いコーチングが受けられるサービスを目指し、コーチのみなさんにもフィードバックをもらいながら、改善を続けています。

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「劣等感」を感じてしまいやすい時代に

ーいま世の中としても、コーチングが注目されてきていると思います。そうした背景を、木村さんはどう捉えていますか?


『嫌われる勇気』や、漫画『君たちはどう生きるか』がロングセラーになっている理由と同じで、やっぱり「インターネット」が影響している部分は大きいと思っています。

情報が濁流のようにあふれかえっていて、なおかつSNSが普及したことで世の中がフラットになっていて。テレビに出ている人も著名な人も一つのアカウントとして自分と横並びになりますよね。きらびやかで理想化されている姿が四六時中目に入り続けてくる。

無意識のうちに自分の目の前の現実と「すごい誰か」を比較し、劣等感を強めてしまいやすい世の中になっている気がして。

だからこそ『嫌われる勇気』で人気となったアドラー心理学の「すべての悩みは他者との比較から生まれる」という考え方や『君たちはどう生きるか』で伝えている、「外ではなく自分の中から、自分が良いと思ったものを選択していくべきだ」というメッセージが、これだけ多くの人に支持されたのだろうなと考えています。

つまり、今を生きる人たちは外からの強い刺激に惑わされない「ぶれない自分がほしい」と願う無意識のニーズをもっているということです。コーチングはコーチとの対話を通し内省を深め、自分の価値観や真に欲しいものを明らかにし行動を変えていくアプローチ。だからこそ、その考え方に触れて感化されたり、コーチングに注目する人が増えている、と僕は理解しています。

『mento』でいうと、今はテーマやユーザー層をあえて狭めないようにしていて。いまは会社員の方のキャリア・生き方や起業家のビジネスの悩みを扱うことが多いですが、今後増えていくフリーランスや海外在住で働く方、企業の「組織のコーチング」などビジネスの文脈はもちろん、夫婦関係、子育て、就活、いろいろな方の力になっていきたい。

コーチング自体が比較的万能で、どんな悩みや目標達成も導くことができる。だからこそひとりひとりに合ったコーチとの出会いを生み出し、その可能性を日本中へ広め、誰しもが自己肯定感を高く生きられる世の中をつくっていきます。

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文 = 菊池百合子
編集 = 野村愛


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