2020.02.05
良い上司に出会えなくても大丈夫? 自分で自分をマネジメントする方法|木村憲仁

良い上司に出会えなくても大丈夫? 自分で自分をマネジメントする方法|木村憲仁

「新人たちのリアルな悩み」に答えてもらう今企画。第1回目は、コーチングサービス『mento』の木村憲仁さんが登場。「良い上司に出会えていない」といった悩みにどう答える?

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全3本立てでお送りいたします。
[1]サイトリニューアルで社内外から100件も猛反発が! リクルートPdM時代に学んだ「現場を知る」大切さ
[2]良い上司に出会えなくても大丈夫? 自分で自分をマネジメントする方法|木村憲仁
[3]タフな仕事を楽しくにのりこえる!コーチングサービス『mento』木村憲仁流 ココロの健康法

小さな仕事で、期待値を超えよう

Q. 職場での信頼の築き方に悩んでいます。入社1年目や、転職したばかりの方とかも共通する悩みかなと思うんですが、どうやって組織の信頼を得ていったらいいのでしょうか。

仕事を渡された時に、“どれだけ期待値を超えるか”。例えば、新卒だと、言葉は悪いですけど、本当に大したことのない仕事を一番最初に渡される。

自分で言えば、リクルートに新卒で入ってすぐに「スマホサイトでアプリをダウンロードするバナーの改善をしてください」という仕事を渡されました。サイトの一番上にアプリダウンロード導線みたいなのを付けるサービスが当時多くて。

最初から作られたままの状態を、「ちょっと見直しておいて」という、ざっくりとした仕事だったんです。インパクトが全然無い。やれる幅も少ない。「こんなの誰でもいいじゃん」、「デザイナーの人にとりあえず任せちゃえばいいじゃん」みたいな仕事。でも一応色んな事例を調べて、「うちのサービスはこうした方がいいと思います」みたいな感じで、オーバースペックぐらいに1回アウトプットしておく。

そうすると安心してもらえるんです。ちゃんと考えて仕事するタイプだなと。それから、信頼して渡せるなと思ってもらえました。

目安は最初の3ヶ月でどれだけ期待を超えられるかだと思っています。周りが興味関心を持っている持続期間に出来るだけ、期待値を超える。最初にできた印象ってかなり根強いものがあって、そのあと多少チョンボしても許されたりするものです。

あと、信頼している人から信頼している人へ情報伝達が大事。具体的には、上司に実績をアピールことでしょうか。すると、アピールしておいた上司が周りに勝手に言ってくれるんですよ。周囲って、「新しく入ってきたやつどうなの?」って絶対聞くので、「何かいい感じだよ」と伝えてもらう。一言目がそれになると印象変わる。

【プロフィール】木村憲仁(きむらのりひと)|株式会社ウゴク代表取締役。1990年生まれ。大学卒業後、株式会社リクルートホールディングスに新卒入社。リクルートマーケティングパートナーズのUXデザイン部門にて、カーセンサーを4年半担当。2018年10月に退職して起業、人生を賭けるテーマを探す中でコーチングに出会う。2019年1月にパーソナルコーチングサービス「mento」を発表。

「やりたい」か「やりたくないか」で先に考えてもいい

Q. 上司から仕事を頼まれた時、「自分にできるんだろうか」と考えてしまって、すぐに「やります!」とは行動できない。「できるんじゃないか」という期待を込めたメッセージなのは分かっているんですが......。

自分は考える暇なく仕事が多かったですね。(笑)やれるかなとか考えている間があまり無かった。「やります」「はいよろしく」、みたいにミッションシートに書かれている感じだったので割と間髪入れずって感じでした。

1個基準として、それが自分にとって新しい経験となるのかはものすごく意識していましたね。

同じ事をやっているだけなのが耐えられないので、今まで経験した事のない軸で意味を見出せるかどうか。それが、自分のパフォーマンスが著しく変わるのだけは分かっていました。

仕事を振られた時に、やれるかやれないかよりは、「やりたい」か「やりたくないか」で先に考えてました。

なので、「やる?」って言われて、「んー」っていう顔をしたことも何度もあります(笑)どちらかというと、やりたい、やりたくない、の軸で反応していました。

Q. 任された仕事に関して、「できないです」というのも気が引けてしまいます。不安な時に、素直にどう思っているのか伝えられなくて......。

多分、本人の興味関心が無いことを頑張ろうとしちゃってるみたいな事も全然あると思っています。結構会社とか周囲に求められる事って強いし、出来ない事だと、「より出来るようにならなければ!」と焦るマインドって強いと思うんですよね。

人って知らず知らずの間に、自分をダメな奴に仕上げるのが上手。すごい引いてみると別に、「それ、その人がやらなくてもいい仕事じゃない?」みたいなものでも、結構会社員とかで働いていると容易に「やらなければならない」とか、「任されたからやり切るべき」とか、そういうマインドになりがち。

一歩引いて考えてみて、自分がやりたいと思わないんだったら、率直に「あまり気分が乗らないんですよね」と伝えてみる事から始めてみてもいいんじゃないでしょうか。

「評価されるためにまずはこれをやり切らねば」みたいな感じで、不得手な事とか、やりたくないと本当は思っている事に内面でめちゃくちゃ苦しめられている。

「そもそもこれ自分やりたいんだっけ」、やりたいんだったら「何でやりたいんだっけ」。やりたくないんだったら、いかにしてやらない方法を考えるかみたいな方に頭を振った方がハッピーなのかなと僕自身は思います。

Q.既存事業にアサインされてやる気が失われています。正直、新規事業の仕事をやってみたと思っているので辞めようかなって。

そういう人って、騙されたつもりで色んな人のアドバイスを聞いてみるのもいいのかなと思っています。自分の例だと、新卒でリクルートに入って先輩に「カーセンサーの事業がいいよ」って言われた。「中古車でしょ?」みたいな(笑)全然ピンとこないな、みたいな気持ちで行ったわけです。

そもそも「新規事業がいいです!」みたいな事を言いながら行ったにも関わらず、「古参の事業を見てくれ」って言われて、「んーサラリーマンってこういう事だよな」とか思いながら、自分が選んだ道なので、巻かれてみるかと思って。

入社前面談で、「カーセンサーかゼクシィかどっちがいい?」って言われて、「どっちでもいいなー」みたいな。どっちでもいいけど「ゼクシィって感じじゃないな俺」、みたいな事は思ったんですけど(笑)

その時しきりに言われたのが、先輩達は、「カーセンサーはすごくやりやすくて、いい環境で成長出来るよ」みたいな事を言ってたんですよね。

「ふーん」みたいな感じだったんですけど、中の人達の感覚の方が概ね正しくて、色んな人に話を聞いて騙されたつもりで飛び込んでみる方がいいのかなって思いますね。

新規事業って、「スタートアップでも出来るじゃん」と思うし、大企業の新規事業って思っているよりも、政治力が必要です。経験の浅い若手に出来る事じゃない。

下手にそこに自分のこだわりを持ち込まない。サラリーマンとか大企業で働くという事を選ぶのであれば、一旦染まってみるみた方が結果成長するんじゃないかなと思いますけどね。

その上で自分の意思を持つとしたら、成長している事業を選びますね。やっぱり個人の努力ではどうしようもない事もあって、下がっているトレンドでもがいてもチャレンジの機会は少なく成功体験得づらいもの。なのでもしリクルートにもう一度入り直すなら「一番成長している事業がいいです」と言うと思います。

少なくとも現状に満足していなかったり、自分で打開策が見えないんだったら、自分以上に周りの人の方が見えていることもある。周囲の意見に乗ってみるのも全然いいことだと思いますね。

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「良い上司」と出会えなくても大丈夫

Q. 良い上司に出会えてないと感じています。かといって、自分でどんどん仕事をやっていくスキルもありません。この状況、どう打開したらいいのでしょうか?

コーチ付けてください(笑)半分冗談で半分本気なんですけど、最後はやっぱり自分だと思うので、人の力を使っていかに自分がご機嫌に仕事が出来る状況を作り出すか。だと思うんですよね。

人間は意思が弱いじゃないですか、環境にめちゃくちゃ左右される。自分を律することが出来ないとか、あるいは他の人と比較して、あの人すごいけど自分なんてみたいなマインドになってしまうと結構しんどい。ネガティブループに入って、抜け出せなくなる。

なので、相対化されない自己というか、自分の中で本心からどうありたいのかみたいな事に対して向き合う術を自分の中に持っていることが重要。

それがもしかしたら、人によっては日記を書くかもしれないし、友達に相談するかもしれない。いくつかやり方はあると思うんですけど、常に外じゃなくて中に目を向け続けるみたいなのは全ての起点なんじゃないかなと思います。

Q.新規プロジェクトにアサインされてリーダーになりたいと思っても、ある程度の月日は我慢しなければいけないものでしょうか。リーダー向きな素質や、心構えってありますか?

組織って、キャリアは長くても異動してきて専門性が無い先輩とか、スキルはあるんだけれどもモチベーションがあまり高くない先輩とか、多分それぞれ欠けた人がいます。

けれど、専門性があればそれを任せてもらえるわけでもなくて、一言で言うと明確な意思を持った上で、この場所で成果を残したいと思っているという話と、それを実行するためのスキルをもっているか。この両輪で評価されるものだと思っています。

自分の場合はちょうどリーダー職だった方が産休に入って席が空いていたタイミングでPdMリードになりました。なので、タイミングはめちゃくちゃラッキー。それは前提としてあって、あと他に数人いる中で選んでもらった。その時はスキルというよりも覚悟というか、意思を持って成果を出すぞという腹を括っている感じがしたんだと思います。

ただ別に最初から出来ると思われていたわけではなくて、苦労するんだろうなみたいな。ある種、崖から突き落とすぐらいの感覚で、「やってみろよ」ってメッセージだと思っていました。

新人とか新しくその環境に入った人って、実態以上に伸びしろへの期待というのがあると思うんですけど、それがレバレッジかけられるポイントだと思うんですよね。そこを上手く使わせてもらったと思います。

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編集 = 白石勝也
写真 = 長谷川純菜
取材 / 文 = 黒川安莉


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