2020.03.17
スワイプしまくっても、ビビッとこない...マッチング迷子だった私が「声で恋するアプリ」をつくった話

スワイプしまくっても、ビビッとこない...マッチング迷子だった私が「声で恋するアプリ」をつくった話

3分間の「声」で気になる人とつながれるアプリ『koely(コエリー)』。仕掛けたのは、CAmotion(サイバーエージェント子会社)代表の村岡紗綾さん(25)。Z世代をドキドキさせる「声」からはじまるエモい体験とはーー。

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マッチングアプリ『koely』とは?
・3分間の通話でスタートするマッチングアプリ
・「いまの気分」や「トークテーマ」で「相手」を直感で選択
・8秒後に自動で通話開始
・通話後、メッセージで相手とやりとりができる
・通話をしなくても双方が「気になる」ボタンを押せばマッチングが成立
・監視体制を強化(※)
(※)年齢確認必須、24時間365日の監視体制、悪質ユーザーへの通報機能、通話文字起こし機能など

エモい体験でつながる『koely』

ーもともと『koely』をつくろうと思ったきっかけは?

学生時代にいろんなマッチングアプリを使っていたんですけど、異性の写真をフリックしてマッチングするという体験が無機質だと感じていました。マッチングアプリは本来出会いの可能性を広げ、ユーザーさんをドキドキさせるもの。でも、ぜんぜんビビッとこない。

もし会話できれば相手のことを知って、信頼できるんじゃないか。そう考えて、通話ができるマッチングアプリをつくることにしました。

また、最近だと電話をしながらゲームをしたり、電話で占い師さんに話を聞いてもらったり、通話サービスが増えていて。そういったサービスに馴染みのあるZ世代たちなら、知らない人と電話することに抵抗がないんじゃないかと思いました。

また、私たちはマッチングアプリという言葉に対する偏見をなくしたいと思っているんですよね。いまってあまりにも出会うことに固執しているプラットフォームが多い気がして。私自身、マッチングアプリを使っているときに、緊張しすぎてしまうことが何度もありました。会わなくてもエモい体験ができるのも大切なんだと思います。

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利用ハードルを下げる

ー『koely』の特徴としてプロフィールがシンプルですよね。「あだ名」「居住地」「年齢」、あとはランダムに表示される「トークテーマ」を設定するくらい。

何よりも話すきっかけを増やしたくて。フィルタリングの要素を減らしました。また「会ったら付き合わないといけない」みたいなプレッシャーもできるだけ無くしたくて。「出会いのプラットフォーム感」を薄められないか、と。「いますぐ付き合いたい」とか「いますぐ結婚したい」みたいな人以外も、ラフに使えるようにしたかったんです。

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ー「トークテーマ」設定の狙いは?

ユーザーさんの会話のハードルをできるだけ下げたいと思ったからですね。トピックがないと「3分間、何を話せばいいんだろう」と悩む人もいる。たとえば、「あのドラマの最終回観た?」とか「話題の映画の感想について話そう」とか、時事ネタや毎日変わるものを用意すれば、話すネタに困りません。

ー「トークテーマ」は『koely』が用意している?

そうですね。こちらで「最近イベント中止になることが多くて悲しいね」と問いかけるようなトークテーマにしたり。最寄駅から家に着くまでの間とか、仕事後の誰もいないオフィスとか、そういうところで気軽に使えるような、そんな親近感を心がけて設定しています。

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モックをつくって、LINEで検証

ーはじめの通話時間を3分に設定した理由はあるのでしょうか?

気軽だし、相手のことを知るには十分な時間だと思ったからです。知らない人と1時間だと重いけど、3分ならハードルは高くない。それに、相性がよければ逆に3分間の通話では時間が足りない、と思うんですね。

それを検証するために、実際に開発に着手することになってからは、モックをつくってLINEで2週間〜1ヶ月ほど検証を行ないました。友人やその友人の男女をそれぞれ10人ずつ用意して、プロフィール画像だけでマッチングしてもらい3分間話してもらう。

その結果、やはり会話が盛り上がると「3分だと短い。もっと話したい」という人がいて、3分という時間に決めました。

その検証のなかで「やっぱり画像だけだと相手のことがわからないから、さすがに年齢やその人の気持ちは知りたいよね」とフィードバックがあり、簡易的なプロフィールやその人のテンションがわかる機能をつけることにしました。

ー「相手のプロフィールを見て8秒経つと自動で通話」も衝撃でした。勝手につながる(笑)

「この人に電話しようかな、どうしようかな」と迷っているうちに「あ、つながっちゃった!」という体験ですよね(笑)そのほうがユーザーさんの背中を押せると思ったんです。

KPIは、ユーザーさんが信頼できる人に出会えた数

ーマッチングアプリはユーザーの目的がどうしても「出会い」になりがち。『koely』も最終的にはパートナーとの出会いがゴールに?

もちろん、パートナーをつくることがゴールのユーザーさんもいていいのですが、恋活に限定したサービスにしたくはないんですよね。

いわゆる「出会い」をゴールにすると、身構えてしまう人もいる。恋活に限定しなければ、「とりあえず1回喋ってみよう」と気軽に電話ができると思うんです。異性の気の合う友だちを探す、疲れた仕事のあとにちょっと誰かとお喋りする。そういうユーザーさんにもたくさん使ってほしい。

私自身、いろんなマッチングアプリを使っているときに「この人と会っても緊張しないだろうか、大丈夫だろうか」って思いながらサービスを使っていました。そんな不安を『koely』のユーザーさんには与えたくはないんです。

なので、私たちが指標にしているのはカップルの成立数ではなく、ユーザーさんが信頼できる人に出会えた数、です。通話を通じて「この人なら会ってもいいかな」「この人となら仲良くできるかもな」と思える体験を多くの人に届けたいですね。


文 = 田尻亨太
編集 = 白石勝也


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