2019.08.23
『b-monster』急成長を紐解く7つのキーワード|暗闇ボクシングジムで中毒者続出!

『b-monster』急成長を紐解く7つのキーワード|暗闇ボクシングジムで中毒者続出!

日夜も構わず、『b-monster』に通い詰める女性が続出している。創業3年目にして、売上は年商22億を突破。仕掛人は、20代の姉妹。急成長の裏側をたずねた。

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『b-monster』急成長を紐解く7つのキーワード
着想して1ヶ月で起業というスピード感
ほんの少し手の届かないハードル
銀座に100坪は最低条件
世界観を作り込む
パフォーマーは全員正社員
素人目線を忘れない
最先端のテクノロジーで体験をアップデート

着想して1ヶ月後に起業というスピード感

起業した当時は、大学生だった二人。起業のきっかけになったのは、ニューヨーク旅行で体験した暗闇ボクシング。帰国して一ヶ月後には起業、3ヶ月後には1号店を銀座にオープン。はじめての起業とは思えないスピード感で駆け抜けた。

美樹さん:両親が経営者というのもあって、いつか自分の会社を経営してみたいという気持ちは強い方だったと思います。大学1年生の頃からアプリをつくったり、サービスを考えたりするのが好きだったのですが、なかなかうまくいかなくて...。卒業も近づいて進路をどうしようかと考えていたときに、妹の眞琴とニューヨーク旅行をした先で出会ったのが暗闇ボクシングでした。

眞琴さん:もともと姉と一緒に「ダイエットして痩せよう」と目標を立てて、日本のボクシングジムの体験にいったことがありました。でも、鏡越しに映る自分の姿がすごい恥ずかしかったんですよね。周りの目も気になってしまって、全然集中できなかったんです。

それをSNSに投稿したら、ニューヨークに住む友人が、暗闇ボクシングをオススメしてくれて。ちょうど姉とニューヨークへの旅行も決まっていたので、現地に体験しにいってみました。

+++ニューヨークのボクシングジム

ニューヨークのボクシングジムは、日本のものとは全く違いました。真っ暗な室内に、爆音でEDMがかかっていて。クラブで踊るような感覚で、思いっきり体を動かす。誰の目を気にすることもなく、無我夢中でボクシングができる。ものすごい高揚感があって、姉と二人で「これはやばい!!」とテンションが上がりました。しかも通っているお客さんが、ニューヨーカーっていうのもあるんですけど、すごいかっこよく見えたんですよね。こんなふうに女性が気軽にジムに通って汗を流せるのっていいなって思いました。

美樹さん:これは絶対日本でも需要があると確信して。帰りの飛行機の中で、事業計画を立てて、帰国後にすることを洗い出しました。そのときたしか2月で、フィットネスなので夏までにはオープンさせようと決めてましたね。誰も手をつけないうちに、いち早く実現したい。1ヶ月後には起業、3ヶ月後にはお店をオープンしました。

起業も、店舗経営も初めてだった2人。なぜそんなに早く実現できたのだろうか。

美樹さん:自分たちだけではできないことだらけだったので、自分たちのアイデアを周りに語って、応援してもらう人をとにかく増やしました。

まず最初に応援者になってもらったのは両親です。経営者なので、事業プランやお店の契約、毎日フィードバックをもらってブラッシュアップしていきました。

内装やデザイン、HP作成、ネーミングに関しても、早い段階でプロの方にお願いして。だからこそ、スピーディーに進められたのだと思います。

ほんの少し手の届かないハードル

2016年6月に、銀座にて1号店をオープン。3ヶ月後には満員になり、年内には青山に2号店をオープン。当初から爆発的な人気を集めたb-monster。なにが女性たちの心を掴んだのだろうか?

美樹さん:創業当初から目指していたのは、b-monsterに通うことが「ステータス」になることでした。

そのために意識していたのは、ほんの少し手の届かないハードルです。

たとえば、金額を通常のジムよりも高く設定したり、プログラムもハードにしていたり。誰もが気軽に通えるような状態を目指すのではなく、限られた人たちがついてこれるような環境にする。そうすることで、通っている人にとっての「ステータス」を感じてもらえるのではないかと考えていました。

多くのジムでは、入会率の増加を目指していると思うのですが、私達はそこを重要指標にはしていません。当初から変わらず30%前後を維持しています。60%を目指してしまうと、b-monsterがb-monsterじゃなくなっちゃう。多くの人を取ることを目指すビジネスではないと考えています。

入会するための予約導線も、あえて複雑にしています。レッスン名をわかりづらくしたり、予約のページにかんたんにたどり着かないようにしたり。ハードルをくぐり抜けて予約できるようにしています。

私元々結構、マイナーなおしゃれな人だけが知っているお店が好きで。渋谷に、本が読めるバーがあるんんですけど、そこに通っているうちにオーナーの人と仲良くなって。「うちのこと知ってるなんて、感度が高いね」って言われたんですよ。自分の作っているお店を知っている人を「感度高い」ってそんな風に誇らしく思えるのって、かっこいいなって。知っているというだけで、おしゃれな人になれる、そういうところに価値があるのかもしれないとは思っていました。

+++b-monster 社長 塚田美樹さん

世界観を作り込む

ロゴや内装も、洗練されているb-monster。独自の世界観をつくるために細部までこだわり抜かれている。

美樹さん:ニューヨークの暗闇ボクシングを体験したときに、これは日本で絶対に需要があるし、私達が最初にはじめたとしても、絶対に真似されてしまうだろうなと思っていました。だからこそ、他社が真似できない圧倒的な存在でありたかった。私達の目指す、いいと思う世界観を、内装やロゴから作り上げようと思いました。

眞琴さん:創業当初から、デザイナーの方やブランディングディレクターの方に相談して、クリエイティブの作り込みにはかなり注力していました。

たとえば、ロゴひとつ。一ミリ単位でデザインにこだわっていただいて。私達はどうしてもビジネスのことを優先してしまったり、デザインの観点では素人なので主観で考えてしまいがち。どうしたら私達の目指す「かっこいい」かつ「ストイック」世界観を作れるのか、一緒にブレストしながら、ひとつひとつのデザインに落とし込んでいきました。

細部までこだわりぬいたからこそ、今のb-monsterのアイデンティティがつくれたのだと思います。

+++b-monster 副社長 塚田眞琴さん

「銀座100坪」は最低条件

立地や広さも、妥協できない絶対条件だったという。

美樹さん:どんなにコンテンツが良くても、駅から遠いとか、主要な駅じゃないと流行るものも流行らないと思うんですよね。コンテンツが本当に良いかどうか確かめるためにも、立地・そして広さにはこだわりました。

一番最初に決めてた所が、引き合いで駄目になっちゃって、目指していた夏までにオープンができないかもしれないと一時期なったのですが、それでも妥協は絶対に許さなかったです。

+++

パフォーマーは全員正社員

創業3年で全国で12店舗。すでに中国にも進出し、積極的に海外展開を進めている。急速に拡大しながらも、サービスの質を担保を実現できている理由は、ひとつにパフォーマーたちの仕事環境があるという。

眞琴さん:私たちはインストラクターのことを「パフォーマー」と呼んでいて、基本的に全員正社員というのを決めています。

当時の業界平均月収は約17万で、業務委託のような形態が主流でした。

その形だと身体を壊したり、年齢が上がっていくとプログラムができなくなってしまい収入がなくなってしまう。ある種業界で言う「使い捨てのような感じになっていることに、問題意識がありました。

そのため、b-monsterではパフォーマーたちが健全に働けるように、基本的には全員が正社員での登用(元社員で特別な理由がある場合にはアルバイト雇用も行っています)。そうすることによって、怪我やその他の理由でプログラムが持てなくなったとしてもフロントや本社などで仕事を続けられるようにしています。

パフォーマーの方も満足して働けないと、良いパフォーマンスにつながりません。

そして、給与は初任給で22万と業界水準としてはかなり高め、その他の職種と比べても高い給与にしています。私達がその給与設定にしてから、他の後続で出してくるフィットネスさんも22万で出してくる所が多くなったので、業界水準をちょっとだけですが上げれたのではないかと思っていて、それはすごく嬉しいことです。

パフォーマーがずっとフィットネスに関われるように、将来的には店長や、マネージャー職まで上がっていけるというキャリアプランを作って、年齢や体力に左右されず、より長く働いてもらえるにはどうしたらいいだろうと考えて作っています。

素人目線を忘れない

美樹さん:もう一つ、サービスの質を担保するために大切にしているのが、「素人目線」です。

今でも新人のパフォーマーがデビュー、プログラムを持てるかどうかっていう試験は必ず私たちで見ています。それこそ今新人パフォーマーを育ててくれている人たちは、元パフォーマーなのですが、その人達はパフォーマンスのプロというか、ダンサーやミュージシャンだった人が多いので、プロとしての技術や経験をベースに評価してしまいがちなんです。

それらはもちろん大事なことですが、私たちがニューヨークで感動した体験を作り上げられるのかどうか。つまり、はじめてスタジオに来た人が本当に楽しめるエンターテイメントやパフォーマンスがそこにあるのか。あえて、パフォーマンスのプロじゃない、素人の目線を持って、合否を判断するようにしています。

+++

最先端のテクノロジーで体験をアップデート

心拍数の可視化をはじめ、プロジェクションマッピングなど、積極的にテクノロジーを導入。その背景には、体験をアップデートし続けたいという思いがあった。

眞琴さん:最先端のテクノロジーを取り入れることは、体験をアップデートすることにつながると思っています。私たちが追求しているのは、「フィットネス」ではなく、「エンターテイメント」。飽きられないためにも、常に新しい体験ができるように進化しなくてはならないと思っています。テクノロジーはその手段。いかに融合させていけるかは常に考えていますね。

美樹さん:プロジェクションマッピングを取り入れたのは、アリアナ・グランデのPVを見たのがきっかけで。プロジェクションマッピングの中で、真ん中で一人で踊って歌っているのがめちゃくちゃかっこいいなって参考にしました。いまはどんどんテクノロジーが進化して、エンターテイメントにも活用されているので、世の中にヒントはたくさん隠されているなと思っています。

創業して今4年目を迎えて、お客様からb-monsterで人生変わったと言って頂けることがなによりもうれしいです。これからも、b-monsterを通じて、ひとりでも多くの方が、体を絞れて自分に少し自信をもてたり、新しいことにチャレンジ出来る人をどんどん増やしていきたい。そのためにも、コンテンツを進化させ、楽しい体験を届けていくために精進していきたいです。

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取材 / 文 = 野村愛


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