ピックアップ社(DMMグループ)COOとして働く蜂谷宣人さん。CEOである宮本拓さんも信頼をおく存在。蜂谷さんがCEOに求めるもの、そしてCOOとの役割の違いとは。彼らの出会いから遡ってお話を伺った。
全2本立てでお届けします!
[1]1秒でも早くマネタイズを。チーム解散までのカウントダウンを阻止したのは、COOだった。蜂谷宣人
[2]旅行中もアプリ研究に費やす宮本拓は、やばいハッカー。ピックアップCOO 蜂谷宣人がCEOに求めるもの
ーそもそもピックアップ代表である宮本拓さんと出会うきっかけはなんだったんですか?
ドラマチックな出会い、というわけではないんですよね(笑)。
ピックアップで働いていた元同僚デザイナーの紹介です。一緒にとんかつの和幸へ行ったのを覚えています。個人的に、より自分でオーナーシップを持って事業を動かしていきたい想いが強くなっていたタイミングだったんですよね。DMM.comグループが新規事業創出のための部署としてピックアップを捉えていた流れもあって。そして宮本自身がすごい起業家気質でおもしろかった。普通に選考、面談をして、入社しました。
当時のピックアップは4つの事業が走っていたけど、プロダクトマネジメントをできる人間があまりいなくて。。たぶんプロダクトマネージャーの経験があるぼくが選ばれたんだと思います。
ー約2年一緒に働いてきて、蜂谷さんから見て宮本さんはどんな方?
ものすごいハッカー気質だと思います。いつも、誰も気づいていないハックを探し求めており、気づき(仮説)を大切にしています。
僕は、前職でミラティブやペロリで働いてきたのですが、赤川準一さんや中川綾太郎さんとはまた違った起業家といった印象です。赤川さんは強烈なビジョナリー。ミラティブの未来を熱病のように信じ切っていて、また、施策のPDCAサイクルの速度がえげつない。
綾太郎さんもビジョナリータイプ。事業構想力が高く、周りの人がまだ見えていない世界を捉えている。宮本はそれとはまた全然違くて、クリエイター気質、ハッカー気質で個々に向き合うタイプに僕からは見えて。
やばいな、と思ったのは、恋人と海外旅行に行っても、海外でサブスク系のアプリを手当たりしだいダウンロードしまくって、研究していた。複数のランキングから、サブスク系を見つけたら全部。旅行中寝る間を惜しんでチェックしていたらしくて。そういう突き抜けているところはおもしろいし、ホンモノだと思いますね。
ーCEO、COOという役割でいうと?
意見が割れたとき、最終意思決定権がどちらにあるのか?が役割分担のところだと思っています。
しかし実際はあまり明確な線引きがなく、体系的なプロダクトマネジメントや経営管理的なことはぼくがやりつつ、気づきやスパイスを加えていくのが宮本の役割という感じです。
一般的に「CEOが方針を決めて、COOが実務責任をとっていくやり方がいい」とされていますが、ピックアップはそもそも株が全部買われており、かつ所有者は単一なので、所有者と経営でコミュニケーションがきちんと取れていれば、社内での意思決定(責任)で揉めることはそこまでなくて。一人で経営するよりも2~3人で経営していったほうが正しい意思決定ができると思っています。
蜂谷宣人 | ピックアップ株式会社取締役COO、テラー事業責任者
ー正直、規模もそこまで大きくないピックアップでCOOが必要な理由とは?
そうですね……COOという役割は会社によって全然違っていいと思うんですけど、ピックアップの場合は単純に実務を担当し、会社を運営していく役割がいなかったんです。だから、その実務遂行をやりやすくするためにCOOというポジションが用意された形かと。
ーCOOはエンジニアリングのバックグラウンドがあると望ましいと思いますか?
すべての組織において必ずしも「COOがエンジニア出身者があるべき」とは思わないんですが、やはりテクノロジーの会社である以上、経営層がテクノロジーを理解していないと適切な意思決定はできないよな、とは思います。施策の精度を高めていくうえでもエンジニアリングを理解しておいて損はない。
エンジニアって基本的にプロダクトをつくることが多いと思うんですが、分解していくと「ユーザーのペインを解消するためにプロダクトを開発したい」というタイプも一定数いる。そういうエンジニアにとっては、COOほど楽しい仕事はないと思います。ぼく自身はものすごくやり甲斐を感じていますね。
もちろんセールスのバックグラウンドがあれば、それはそれでめちゃめちゃ有用ですけどね。
ーありがとうございます。では最後に今後の目標について教えてください。
日本人はもともと識字率も高く、文字コンテンツに親しみ深いと思っています。世の中は動画が強くて、ブログもかつてのほどの勢いはなくなってきてしまったけど、まだまだ可能性はあるはず。だから、チャットストーリーを通じて、新たな文字文化をつくっていきたいと思います。
現在のコンテンツインキュベーションは小説や漫画ですが、次の『鬼滅の刃』はマンガ動画やチャット小説から出てきてもおかしくないと思っています。
あと、何よりビジョンに共感してついてきてくれるメンバーには感謝の気持ちしかありません。みんなの気持ちに応えられるように、ピックアップを世の中に大きな価値が届けられる会社にしていきたい。そのために何ができるかを日々ワクワクしながら考えています。
>>>前編:1秒でも早くマネタイズを。チーム解散までのカウントダウンを阻止したのは、COOだった。蜂谷宣人
編集 = 白石勝也
写真 = 黒川安莉
取材 / 文 = 田中嘉人
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