2020.04.30
愛おしい服が一着あれば「外出自粛の日常」も輝かしいものになる|foufou マール・コウサカ

愛おしい服が一着あれば「外出自粛の日常」も輝かしいものになる|foufou マール・コウサカ

おしゃれしてリアルで大切な誰かと会うーーそんな日常が奪われた今、「服」はどんな意味を持つのだろう。「服で、誰かの命を救うことはできません。ただ、袖を通せば気分が高揚する。晴れやかになる。その人を輝かせられる」とfoufou(フーフー)のマール・コウサカさんは語ってくれました。

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全2本立てでお送りいたします。
【1】 愛おしい服が一着あれば「外出自粛の日常」も輝かしいものになる|foufou マール・コウサカ
【2】お店で働けない「アパレル店員」をリモート雇用。ファッションブランド『foufou』のアイデア

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「高揚感」を届けたい

休日に駅で待ち合わせをして、友人達とお出かけする。当たり前だったはずの日々が、すごく昔のことのように感じます。

今では、服の選び方すら忘れかけている自分に気づいて、ショックを受けることも…。

外出自粛が続き、おしゃれして出掛けることも少なくなった今、「服」はどんな意味を持つのでしょうか。

「スーパーだったりドラッグストアだったり、外に出るのは一瞬かもしれません。ただ、その一瞬を高揚する時間に、もっと豊かに楽しい時間にすることができる。それが、今にできる役割だと思います」

これからの服の価値について、『foufou』のマール・コウサカさんに聞いてみました。

【プロフィール】マール・コウサカ|『foufou』代表兼デザイナー
1990年生まれ、東京都出身。大学卒業後、アルバイトで1年お金を貯めて文化服装学院に入学。2016年、文化服装学院在学中に「健康的な消費のために」を掲げる洋服ブランド『foufou(フーフー)』を設立した。

「リアルな外出」は希少価値の高い行為になっていく

── デザイナーとして服をつくり続けてきたマールさんにとって、このコロナ禍の状況はどう感じていますか?

僕個人の話をすると、ずっと怖くてしょうがないんです。ただ、『foufou』というブランドの目線で考えると、現状はあまり悲観していません。

じつは、もう少し先の未来で、似たような状況がいつか来るんじゃないかと予想していた部分があって。たとえば、拡張現実や仮装現実が普及したら仮想空間で人と会えるようになるのではないか?と思っていたんです。今でもZoomで会議したりしていますが、拡張現実や仮装現実が当たり前になったら、音楽のライブにも行けるようになるかもしれない。もしかしたらビートルズのライブも仮想空間なら実現するかもしれない。

そうすると、リアルに外出をするということにすごく価値が出るんじゃないか?と思っていたんです

外に出なくても日常を送れる時代に、わざわざ外に出かけていく。そうなった時、その一瞬を大事にしてオシャレする人が出てくるんじゃないかって。そうなると、ファッションとして楽しめる服がさらに重視されるだろう、と思っていて。逆に「日用品」としての服は少し価値を失うだろうと。考えてみるとなんだかそれは今の状況に近からず遠からずです。ぼんやり描いていた未来が、予想よりも早く訪れたのかもしれない、と考えています。

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服は所詮、服。それでも必要とする人がいるならば、僕らは続ける。

── マールさんといえば、Twitter上でお客さんとよくやり取りしているのを見かけます。『foufou』のお客さんと接する中で感じる変化などはありますか?

実際にTwitterなどでお客さんからメッセージをもらうんですが、

「スーパーに行くだけなんだけど、foufouのワンピースを着ちゃおう!」「こういう時だからこそ、気分をあげたくて着た」「着たらパワーがみなぎった」という嬉しい言葉をもらっています。

「『foufou』の服が届いた!」と写真付きでSNSにアップしてくれる方もいる。外に出られない今だからこそ、その一瞬を楽しみたい、という気持ちも生まれているんじゃないかなと。

服って、本当に人それぞれで、特にこだわりがない人もいれば、あくまで日用品として着る方もいますよね。ただ、こういう声を聞くたび、"服が好き"という方にとって、ファッションとしての服は無くしてはならないものだと思うんです。

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服に力なんてないかもしれない、服は魔法なんかじゃないかもしれない、でも。

── マールさんご自身は一人の作り手として、服の持つ力をどう考えていますか?

foufouを4年間続けてきただけですが、服はどんな役割があるのか、誰かを幸せにできるのか、服について何周も考えてきました。

じつは、服は「たかが服」だと思っている部分もあるんです。服にできることは限られているし、誰かを直接救える訳が無い。不要不急です、すべての人の支えになれるわけでもない。だから、もし今余裕がないなら無理して服を楽しむ必要はないと思う。まずは健康に過ごして、また楽しめる余裕が出てきたら真っ先に思い出してもらえるようなメーカーではありたいですが。

ただ、僕らがつくった服を着てくれて、「『foufou』の服を着ると気分が上がる」「かわいい服をありがとう」と言ってくれるお客さんたちがいる。

だからこそ、言葉にすると陳腐だしダサいけど心のどこかで服の力をちょっとだけでも信じていたい自分がいます。

僕はどんな時もひたすら、自分が良いと思った服をつくり、必要としてくれている人に自信を持って届けるだけ。そしてお客さんが喜んでくれたら、服の持つ価値をもう一度信じてみる。どんなときでもそれが、僕の仕事なんです。実はそれによって僕が一番救われているのかもしれません。

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【1】 愛おしい服が一着あれば「外出自粛の日常」も輝かしいものになる|foufou マール・コウサカ
【2】お店で働けない「アパレル店員」をリモート雇用。ファッションブランド『foufou』のアイデア


文 = 菊池百合子
取材 / 編集 = 平野潤


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