花、ファッション、車…様々なサブスクリプションサービスが生まれる中、「フードトラック」もサブスクに?いったいどんなサービスなのか、仕掛け人の向剛志さんに伺いました。
新型コロナウイルスの拡大を受けて、テイクアウトやデリバリーに乗り出す飲食店が増えました。
筆者の家の近所にあるイタリアンレストランでもテイクアウトが始まり、利用するのを楽しみにしています。
毎回受け取り待ちのお客さんが数人いるものの、コロナ前の盛況ぶりと比べると、どうしても少し心配に…。そんななか、ある新サービスが目に留まりました。
2020年4月に誕生した、フードトラックのサブスクリプションサービス 『フードトラックONE』。
「もともと"自分のお店を持ってみたい"と考える方達に向けて、作っていたサービスなんです。そういった中、新型コロナウイルスによって飲食業界を取り巻く環境が大きく変わりました。いま僕たちにできることは何か。そう考えて、少しでも早くサービスをリリースできれば、と思ったんです」
仕掛け人である、株式会社Mellowの向剛志さんにお話を伺った。
ーまず、『フードトラックONE』がどんなサービスなのか教えてください
ランチ時のオフィス街やイベント会場で、できたての食べ物を提供してくれる「フードトラック」ってありますよね。
そのフードトラックを開業前から開業後まで支援する定額サービスが、フードトラックONEです。
特徴としては「低予算・低リスクで開業したい」というニーズに応えていける部分。車検・各種保険など車の維持にかかる費用も込みで、月8万1,000円で運用できます。
ーーこの「フードトラック×サブスク」というサービスを思いついたきっかけは?
単純に、料理のウデのある方が、おいしい料理をもっと多くの人に届けられるようにしたい、と思ったのがきっかけです。
フードトラックなら、場所を移動しながら販売できる。最近ではタワーマンションの敷地内など、許可を得た上で出店できる場所も少しずつ増えてきています。
「気になるけれど、車や保険の知識がないから難しい」という方にも利用いただければ、と考えこのサービスをはじめました。
じつはフードトラックのビジネスは、イチから開業するとなると、色々必要になる専門知識があって。その1つが車に関する知識です。
たとえば、完成車メーカーが作るフードトラックってまだ存在しないんです。トヨタの「タウンエース」とか日産の「バネット」といったベース車両に、架装業者と言われる車屋さんがキッチン部分を架装して、初めてフードトラックが完成する。
だから、20年持つフードトラックもあれば、中にはキッチン部分がたわんでしまって半年で雨漏りしてしまうトラックもある。ただ、料理を作り続けてきた人が、イチからそういった知識を勉強することは大きな負担になってしまう。
だから、安全で品質の良いトラックを、維持費を抑えながら使えるサービスがあったらと思ったんです。料理が上手な人が、自分の料理を食べてもらえるチャンスを広げていけるのではと考えています。
ーー実際に説明会に参加される方は、どんな方達なのでしょうか?
最近少しずつ増えているのが、すでに固定店舗を経営されているオーナー・経営者さんです。
実際にフードトラックの開業相談説明会に参加される方も少しずつ増えていて。以前は毎月20名ほどでしたが、緊急事態宣言が出る前の3月にはその5倍、100名以上となっています。東京都が4月22日に発表した「飲食店の業態転換支援助成金の対象」でフードトラックが助成対象になったことも影響しているのかもしれません。
実際に説明会に参加される方の中には、既存店舗売上以外の新たな売上をつくりたいと考えている方も少なくなく、居酒屋を10店舗運営しているような会社の社長さんが相談にいらしたことも。
皆さん共通でおっしゃるのは、「テイクアウトやデリバリーだけではコロナ前の売上・利益に戻すのは難しい」「今後何か新しいことにチャレンジしないと、食のビジネスは成り立たない」といったこと。経営者の方たちの声を聞いても、改めて私達のサービスが新しい選択肢の1つになれないかと感じています。
ーー最後に、これからの展望について教えて下さい。
はい、「フードトラック」という選択肢をより多くの方に知っていただければと思っています。開業前の相談にものっていますし、実現する方向になれば、「どう開業して何を目指すのか」といったことも、目線を合わせて伴走していければと。フードトラックについてのセミナーも開催しているので、まずはどんな業界か知りたいという方もぜひ参加してみてほしいです。
そして、「おいしい料理を届けたい」「お店、味を残していきたい」という一人でも多くの方の想いに応えたい。そのためにも、今は都内がメインですが、今後千葉、埼玉…と近隣にも広げていく計画です。
フードトラックだからこそ、店主と料理に価値が宿せるとも思っていて。「料理の腕がある人」「接客が上手な人」が輝く場所がフードトラック。そこに価値を感じてくださる方が増えていったら、嬉しいです。
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