2020.06.12
コロナで進路を閉ざされる若者を救え。日本初奨学金プラットフォーム『Crono My奨学金』の取り組み

コロナで進路を閉ざされる若者を救え。日本初奨学金プラットフォーム『Crono My奨学金』の取り組み

新型コロナウイルスは、若者にも大きな影響を与えています。「経済的な事情で多くの若者が進路変更を迫られています。若い人が挑戦を諦めなければいけない、そんな状況を少しでも変えなければ」。『Crono My奨学金』責任者の高瀛龍さん (コウインロン)が、サービスに込めた思いを語ってくれました。

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+++ Cronoについて:「若者の挑戦を企業と社会が支援する仕組みへ」をビジョンに、奨学金の情報提供や、貸与型奨学金の「返済肩代わり」を行う企業との人材マッチングサービスの展開。経済的な理由で夢をあきらめる学生を減らし、過大な学生ローンの返済に苦しむ若者など奨学金をめぐる社会課題を解決することを目指している。

大学生5人に1人が退学を検討。コロナ禍の若者に、僕らができること

「新型コロナウイルスは若者の未来にもすごく大きな影響を与えてしまっているんです。家計が急変し、進学や留学を諦めざるを得ない人も。退学を検討する大学生が2割もいるというデータもある(*1)。多くの若者がまさに今、決断に迫られています

こう語ってくれたのは高瀛龍さん (コウインロン/30歳)。奨学金をめぐる社会課題と向き合ってきた『Crono 』の代表です。

たとえば景気の悪化により保護者の収入が減ってしまうケース。また、緊急事態宣言下の店舗休業によりアルバイトができなくなり、困窮する学生も少なくないといいます。

「イチ民間企業として何かできないか。そう考えて急遽『Crono My奨学金』のβ版をリリースしました」

+++ 『Crono My奨学金』利用者は「基本情報」「学歴」「挑戦したいこと」といったカンタンなプロフィールを入れることで、約2000件ある奨学金から自分に合うものを検索できる。

日本初、「返済義務」がない奨学金のデータベース

ーー5月21日にリリースされた『Crono My奨学金』について、教えて下さい。

『Crono My奨学金』は、一言でいえば自分に合った奨学金を5分で見付けられるサービスです。大きな特徴が、返済義務のない「給付型」の奨学金を中心に取り扱っていることです。

奨学金と聞いてまず思い浮かぶのが、卒業後に時間をかけて返済していく「貸与型奨学金」だと思うんです。

実はもう1つ「給付型奨学金」というものがあって。大学や自治体、その他団体などが運営していて、全国に1万2000件存在しています。高校を卒業したタイミングで、申し込めるものもあるんです。

今現在、大学生の約4割が奨学金を利用し、大学や専門学校進学のために平均で324万円(*2)を借りていると言われています。ただ中には、そもそも返済しなくていい奨学金があるなんて知らなかった、という人も少なくありません。よく分からないまま「貸与型奨学金」を利用している人や、自己破産してしまう方もいる。もとは、この状況をなんとかして解決したくて。2019年の6月頃から『Crono My奨学金』を構想しはじめたんです。

ただ、コロナで状況が大きく変わりました。誰もがいっぱいいっぱいな状況。進学や留学のために、今後奨学金を頼る学生はさらに増えていくはずだと思いました。

ーーだからこのタイミングで急遽β版をリリースした、と。

はい、今リリースすることで、進路を考える人に1つ選択肢を届けられるかもしれないと思いました。

従来、奨学金の応募締め切りを「5月」にしているところが多いのですが、実はコロナの影響で夏まで伸ばすところも多いんです。

奨学金を取り巻く「情報の非対称」をなくさなければ

ーーリリース後、どんな反響がありましたか?

すごく多くの反響をいただいています。登録者は2、3日で2000人増え、今も伸び続けています。また、Twitter上でも「自分が学生の時にほしかった」という声や「逆になぜ今までこういったサービスがなかったのか?」という声もありました。

実は、「給付型奨学金」についても既にまとめた個人ブログのようなものはいくつかあったんです。ただ、奨学金は、散らばった情報を集めて整理し検索性を高めることがすごく難しい領域でもあって。

というのも、財団や大学が発表する奨学金情報は、情報告知の仕方も、フォーマットもばらばらなんです。たとえば自治体の広報誌に情報を出す財団もあれば、大学のHPやPDFで掲載しているところもある。奨学金によって応募対象者や支給の条件も変わってきます。だからこそ、全国規模で情報を網羅するとなると、なかなか難しかったんです。

ただ、それだとどんなに奨学金の制度や中身が整っていたとしても、求めている人にその情報がなかなか届かない。「情報の非対称」が生まれてしまっている。ここに、大きな課題を感じていました。だからこそ僕らが、財団と若者をつなぐ役割になっていけないかと考えています。

+++ 「『Crono My奨学金』の特徴の1つが、本当に学生に届けたい奨学金のみを厳選して掲載している点。学生インターンのみんなと私で1年以上かけてデータを整理していきました。掲載する奨学金はすべて「私が申し込むならこの奨学金がいい」「これは友人にも紹介したい」という対話をしながら決めています」

「奨学金プラットフォーム」として新しい選択肢を届ける

ーーこれからやっていきたいことについて、教えて下さい。

次のステップとして考えているのが、奨学金を運営する財団のIT化を支援することです。

というのも、奨学金ってまだまだ紙の文化が残っていて。申し込みはすべて紙ですし、住所や数千字あるような自己PRも何度も手書きしなければならない。利用者に負担がかかっていると思っていました。

また、財団側も運営で困っている部分があると思うんです。たとえば、応募者の選考。100人から応募があれば、事務局側が100人分の書類を読んで選考しなければいけません。ここにもしデータ解析の技術を入れられれば、時間を短縮できるはず。財団に合わせた応募者をリコメンドすることもできるかもしれません。

テクノロジーで代替できる業務をCronoが担っていく。そのことで財団の皆さんの支援もできるのではと考えています。実はすでに管理画面もできていて、今後は財団にIT化を提案していく段階。もし困っている財団さんや「コロナを受けて財団を作ってみたいと考えている」という方がいれば、ぜひ一緒にやりたいとお伝えしたいです。

今後僕らが企業として成長することで、サービスの精度、質を上げていけるはず。それが民間でやる良さでもあると思います。そのためにも『Crono』を成長させることが今の僕のミッションです。

ーー最後に、高さんご自身の想いがあれば、聞かせてください。

はい、いま不安を感じている方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。そんな中でもどうか、諦めずに済む選択肢がないか探してみてほしいです。

僕自身、奨学金を利用して進学したことがきっかけで、いま奨学金に関わる事業をやっています。当時学生だった自分が欲しかったものを作ってきたつもりです。

もし、奨学金を考えているなら『Crono My奨学金』を使って、資金を得られないかチャレンジする、という方法もあるはず。チャレンジしたい、踏み出したいと考える1人でも多くの人を支えられれば嬉しいです。

 

(*1)学生2割、新型コロナで中退検討 影響深刻化―団体調査|時事ドットコムニュース(https://www.jiji.com/jc/article?k=2020043000177)
(*2)「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」並びに「奨学金に関する一斉相談」の結果|労働者福祉中央協議会(http://www.rofuku.net/pressrelease20190312/)


取材 / 文 = 平野潤


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