インターネット業界で働く若手PM(プロダクトマネージャー)を応援!キャリアハック主催『PMお悩み相談室』レポート記事をお届け。PM1年で磨いておくべきスキルとは? LINEの二木祥平さん、サイバーエージェントの上野千紘さんにお答えいただきました。
※キャリアハック人気連載『PM1年目の教科書』スピンオフ企画、オンラインイベント『PMお悩み相談室』よりお届けします。キャリアハック主催『PMお悩み相談室』参加に興味がある方は、ぜひこちらからメンバーになってください!次回開催時にお知らせをお送りさせていただきます。
二木さん:
最近はよくスキルを「ハードスキル」と「ソフトスキル」*に分解して考えています。
*参考:Soft Skills: Definitions and Examples
1年目の頃は「ハードスキル」重視でしたね。技術とか、デザインとか、プロジェクトマネジメントとか、視野が狭いのもありましたがとにかく目に見えるスキルをどんどん磨くぜ、と意識していて。
はじめにプログラミングなど技術を学び、その次がプロジェクトマネジメント。ウォーターフォール、アジャイルなどその時々の流行りの言葉に乗りながら実践していった感じ。いま振り返るとこの登り方は良かったですね。
プロジェクトをとりあえず回せるので「手伝ってよ」とか「こいつに任せとけば進む」と思ってもらえた。いろんなプロジェクトに入れさせてもらえました。入れば入るほど、いろいろなビジネスのドメイン知識もつくので、個人的には良かったと思っています。
ただ、最近、LINE内でも話しているのは、より「ソフトスキル」も意識しよう、という話。
「ソフトスキル」は「コミュニケーション」や「リーダーシップ」のようなもの。外資系PMのJobDescriptionではソフトスキルを重視するような表記も最近は多く見受けられます。
たとえば、「クロスファンクショナルなチームを動かせるか」「未知なことを常に学び続ける力はあるか」など。あまりこれらをスキルと認識していない人も多いんですけど、明確にスキルとして書かれていたりして。
とにかく欧米の求人って、スキルをいろいろ言語化したがりますよね(笑)たとえば、コミュニケーションスキルの中にもいろいろあって。「会議をうまくファシリテートできる」とか「エグゼクティブレベルまで説得できる」とか「プロジェクトメンバーのテンションを上げられる」とか。
その他にも、「誠実かどうか」のようなソフトスキルもありますし、オーナーシップというか「自分事にできるか」みたいな力もそう。LinkedInなどで海外のPMの求人などを見るとトレンドもわかって面白いですよ。
ハードスキル的なトレンドは変わりやすいからこそ、ソフトスキル的な「コミュニケーション」や、「溢れ出る好奇心、学習力」のほうが重要視される傾向があるのかなと思います。自分のソフトスキル的な部分が言語化され確立されていれば、表面的なトレンドやニーズが変わろうが、自分のPMとしてのスタンスや動き方はブレずに活躍しつづけられると思います。
そしてこれらの数値評価しにくいソフトスキル群を、自分の中でスキルとして認識していく日常とプロセスはとても大切だと思います。何となくやっている会議、雑務、調整も、スキルとして言語化できると自信もついてきます。
よく「社内でしか活かせないスキルなんじゃないか」と相談されることもあるけど、そんなことはない。なにげない会議でも日頃から「どうすれば人間は説得されるか」と考えてコミュニケーションがとれて、言語化できたら、スキル化していきます。
行動自体がどういうスキルにマッピングされるのか。ソフト面でも言語化をしてポイントをつけていく。1年目の時によく言われていたのが「ポータブルスキルを手に入れろ」と。持ち運べるスキル。いまの業務のなかで、何が持ち運べるのか、考えながらやっていきなさい、と。
上野さん:
この人の会議なんか気持ちいいなとか、この人の仕事なら決まるなっていう人がいると思うんですけど。その人は何がイケてるんだろうとか、何を意識してるんだろうとか聞いちゃうのもいいかなと思います。
会議ひとつとっても違うと思うんですよ。事前準備から気持ちよくて、時間通りに気持ちよく終わる人と。これ何を話すんだっけから始まって、何が決まったんだっけて終わるような会議と。自分が体験したいいものを実行している人に、意識してることは何かっていうのを聞く。自分の中でちゃんと言語化するのはいいなって思います。
二木さん:
事前に想像するっていうのはありますね。シナリオと言うか。「絶対こういうこと言うだろう」とか「こう言われたらこう返そう」とか。自分と話すもう一人の自分というのを自分の中において。こういう気持ちになるんだというように一人で対話することが多いかもしれない。
スキルって目に見えるものだけじゃないし、さっきの「クロスファンクショナルなチームで協業できる」みたいな曖昧なものがスキルとして言語化されてきて。プロダクトマネージャーという職種も認知されてきた。すごくいい時代ですよね。
上野さん:
私自身の話でいくと新人の頃って、ほとんどがOJTのようなカタチで「何かを学ぼう」と座学などで学んでことってほとんどないんですよね。現場でやらなければいけないから学ぶ。知ってそうな人に聞く。あとは見よう見まねでとにかくやってみる。これが正直なところです。
もちろん本を読んだりもしましたが…一番は目の前にいるエンジニアにわからないことはすべて聞く、ここから始まっています。「へぇ…サービスってこうできてるんだ」と本当にレベルの低いところから始まりました(笑)
対エンジニアとのコミュニケーションって「こんなこと聞いて嫌がられないか」「理解が浅いから質問しづらい」とか先入観を持ってしまう若い人もいて。把握をしないと何の判断もできないから、どんどん聞くべきだよなって。エンジニア、デザイナーも、自分の仕事に興味を持ってくれる人と仕事したいと思うはず。もちろん1回聞いたことはちゃんと自分の糧にする。
あとはたくさん聞いて血肉になると、いくつも引き出しができて、違う現場でいつでもその引き出しが開けられる。そういった「現場で使える知識」は意識していたかもしれないです。
PMお悩み相談室記事レポート
【1】私の成長はどうでもいい。全ては事業のために。上野千紘がサイバーエージェントのPMとして活躍するまで
【2】「人を動かす力を学べ」LINE 二木祥平を変えた一言
【3】ポータブルスキルを手に入れろ。LINE、サイバーエージェントのPMが語る「ソフトスキル」の重要性
【4】UXとマネタイズ、どっち優先? リアルなPMのお悩み、LINEとサイバーエージェントのPMが答えます(明日公開予定)
文 = 白石勝也
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