2020.11.26
「上司に決断を委ねるな」PM1年目から大切にしたいマインドセット|SmartHR プロダクト責任者 安達隆

「上司に決断を委ねるな」PM1年目から大切にしたいマインドセット|SmartHR プロダクト責任者 安達隆

SmartHRで働くPMの 安達隆さん。入社してわずか1年で、プロダクトマネジメントの責任者(VP of Product)をつとめている。社内外から信頼を集める彼が、新人時代に得た教訓とは?PM一年目から心がけたいマインドセットが伺えた。

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クライアントと開発チームの「板挟み」に。

ー まず最初に「PMになる前」のお話から伺っていきたいと思います。新卒ではチームラボに入社し、受託開発のディレクターをされていたと伺いました。ディレクターとPMは役割が全然違うと思うのですが、当時のご経験で、PMとして活かされている部分はなにかありますか?

いま活かせていることはたくさんありますね。「開発」に関わる基礎的な知識だったり、仕事の進め方だったり。当時は研修とかもなく、いきなりプロジェクトを任せてもらっていたので実務のなかで学んでいましたね。

とくにPMとしてもよかったなと思うのは、「エンジニアやデザイナーとの関わり方」を学べたことです。

というのも、最初は社内のエンジニアやデザイナーと全然コミュニケーションが取れなかったんですよね...。クライアントの要望を共有しても、「なぜつくる必要があるの?」と質問で突き返されてしまう。僕自身、質問に対して、上手く答えることができていませんでした。

ー エンジニアやデザイナーとのコミュニケーション不全の原因はどこにあったのでしょうか?

僕自身がクライアントの要望に納得できていなかったからだと思います。クライアントに言われたことをそのまま、社内に持ち帰って伝えるだけ。ただの伝書鳩になってしまってたんです。

コミュニケーションの中に自分の解釈や、意志がない。だから、開発チームに対して納得感のある説明ができなかった。出てきたアウトプットが正しいものなのかさえ判断できませんでした。

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「上司に決断を委ねるな」

ー 調整役からどう脱却できたのでしょうか?

入社2年目に担当したプロジェクトが、大きな転機になりました。

僕が関わる前から走っていたプロジェクトなのですが、あまり良い状態ではなくて。立て直し役としてアサインされたのですが、なかなか状態が好転せず、「このままプロジェクトを継続するべきなのか」と悩んでいたんです。

あるとき、先輩に相談して。そしたら、こんな言葉をかけてもらったんです。

「現場の状況を知っているのは安達なんだから、自分で判断しろ」って。

「会社の言うことは聞くものだ」と思っていたので、この言葉にはかなり衝撃を受けました。

たしかに上司は現場の状況の全てを知っているわけじゃない。それに、立て直すと決めた案件に対して安易に「中断しろ」とも言えないですよね。

現場でなにが起きているのか。そして、自分がどうしたいのか。上司の指示に従うだけではなく、自分から意見を伝えていくことが非常に重要なんだと気づかされました。

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仲間と起業で得た、0 → 1のプロダクト開発経験

ー ディレクターから、PMになったのはなにかきっかけが?

チームラボでディレクターとして4年間働いたあと、仲間と3人で起業をしたことが主なきっかけでした。

ただ、当時は「プロダクトマネージャー」という言葉さえ知らなくて。営業に強い社長と技術に強いCTO、二人の意見をまとめることが僕の役割でした。いつのまにか「プロダクトマネージャー」になっていたかんじです(笑)

ピボットを繰り返して迷走していた時期もありましたが、最終的にはプロダクトをローンチし、事業を立ち上げることができました。

経営にもコミットしながら、0→1でのプロダクト開発を身を持って経験できたことは、PMとしても自分の大きな財産になっています。

ー PM新人時代を振り返って、反省点はなにかありますか?

今振り返ると、「開発チームづくり」ですね。当時はスピードを重視していたので、僕がほとんど仕様を決めていました。だから、プロダクトの出来が自分次第だったんです。

ユーザーは獲得できていたので、「人のほしいもの」は作れていたと思うのですが、長期的にスケールしていくような開発体制ではありませんでした。

そういった意味でも、SmartHRに入社して素晴らしいなと思ったのは開発体制です。

スクラム開発を取り入れていて、開発メンバーみんなで作っていくスタイルなんですよね。割とスタンダードになりつつあるやり方だと思うのですが、僕自身はスクラムが初めてだったんです。

エンジニアやデザイナーと密にコミュニケーションをとって、いろんな意見を吸収しながらプロダクトを作り上げていく。

最初はミーティングの多さに戸惑いもありましたが、やっていくうちにスクラムの価値に気づいていきました。プロダクトもどんどん磨かれていくし、チーム全体の目線がそろっていく。結果、いいものができると実感しています。

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PM1年目は「ユーザー理解」に徹しよう

ー PMは幅広い知識やスキルが求められると思うのですが、とくにPM1年目に身につけておくべきスキルはなんでしょうか?

まず最初にやるべきは「ユーザー理解」だと思いますね。とにかくお客さんやお客さんになりそうな人に会って、話を聞きまくること。

ー ユーザー理解のファーストステップとして、具体的になにをするのがおすすめですか?

いろんなアプローチがあると思いますが、たとえばBtoBプロダクトだったら、お客さんのところに行って一日業務を見せてもらうのは非常に有効だと思います。

お客さんの生活の中で、プロダクトは「点」でしかありません。俯瞰して全体を見たときに、点はどう位置付けられるのかを正しく捉える必要があります。

お客さんが丸一日どういう仕事をしていて、どんなタイミングで、なぜ使うのか。実際に見せてもらうと、気づくことがたくさんあるはずです。


取材 / 文 = 野村愛


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