2013.08.30
教えてHACK GIRL!フリーデザイナー 小原鈴花さんに聞く、スタートアップの仕事だけをうけるワケ。

教えてHACK GIRL!フリーデザイナー 小原鈴花さんに聞く、スタートアップの仕事だけをうけるワケ。

WEB・IT・ゲーム業界で活躍する女性クリエイター・エンジニアの仕事観やキャリアビジョンを伺う、HACK GIRL企画。今回はスタートアップ専門のWEBデザイナー 小原鈴花さんを直撃。強みを生かせる場所に身を置くことで、自らを成長させてきたという小原さんの働き方に迫った。

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スタートアップ専門の女性WEBデザイナー

WEB・IT・ゲーム業界で働く女性クリエイター・エンジニアを応援する、“HACK GIRL”企画第4弾。

今回話を伺ったのは、フリーランスのWEBデザイナーとして、スタートアップに特化した活動をしている小原鈴花さん

京都大学大学院に在学時から、WEBデザイナーとしての活動を始め、ARアプリの開発会社やUIScopeを手がけるInnobata、更には、コラボやiettyなど、アーリーステージのスタートアップに、あえて“フリーランス”の立場で参加している。

WEBデザイナーになったきっかけを「半ば強引な勧誘から」と笑いながら語ってくれた小原さんは一体どのようにして、フリーランスの立場に居続けながら、スタートアップ専門のWEBデザイナーとしてのキャリアを形成してきたのか?

彼女のキャリアビルディング術や今後のビジョンから、この業界で働く女性のキャリアのあり方を探ってみたい。

ひょんなことからWEBの世界に入りこんだHACK GIRL

― まず、WEBデザイナーとして活動されるようになったきっかけを伺えますか?


当時ルームシェアをしていた友人に「AR技術を使ったアプリのデザインをできる人探してるんだけど、Photoshop扱えるならやってよ!」と半ば強引にアルバイトに誘われたのがきっかけです(笑)

大学院で建築系を専攻していた関係で、プレゼンボードを作ったりするのにPhotoshopを使っていたんです。でも“WEBデザイン”に関しては全く知識のない状態。出される要望の答えを、一つ一つ自分で探しながらデザインしていきました。そして、アプリが出来たあとには、正社員として勤務することになったんです。


小原鈴花さん


― そこから、フリーランスWEBデザイナーとして活動し始めた経緯は?


社内のデザイン業務だけでは、なかなか成長できないなと感じて、個人事業主としての仕事も始めました。数をこなせば何でもに身につくだろうと。

数ヶ月すると、フリーランスでの収入も安定してきて、WEBデザイナーとして生きていくことに少し自信がついてきました。そんな時期にWishScopeで、UIScopeを手がけるInnoBetaの平石がデザイナーを募集しているのを見つけたんです。スタートアップというまだ知らない領域に興味が湧いて、ボランティアで手伝ってみようと思ったのが、スタートアップとの最初の出会いですね。

弱点は捨てて、強みを生かせる場所に身を置く。

― スタートアップ専門という稀有なキャリアの積み方をされていますが、自身のWEBデザイナーとしての強みは何だと思いますか?


「0から80点のデザインをする“スピード”と“クオリティー”」だと思っています。まっさらな状態から、CEOなどからの要望をコミュニケーションを通じて理解して、とにかく早く“見える”形でデザインすることです。

これはいくつかのスタートアップに参加するようになって気づけたことなのですが、何度も「もうできたの?早すぎじゃない?」というような反応をもらえたんですね。

スタートアップは、まずサービスを形にすることが大事。最初から100点など狙う必要もないからこそ、ある程度のクオリティを担保した上でのスピードが求められるんです。自分の強みを活かせるのは、アーリーステージのスタートアップだと今では確信しています。

逆に弱点といえば、「80点を100点に近づけるようなデザイン」じゃないかと思っています。


― フリーランスとして活動するとなると、手掛けられるデザイン業務を増やすために、苦手意識をなくしてデザインできる幅を広げようと考えるかと思うのですが。


「80点を100点に近づける」ことが得意なデザイナーさんってたくさんいると思うんですよ。もちろんそういう仕事ができるとフリーランスとしての仕事の幅が広がるということもわかっていました。でも、苦手なところは得意な人に任せちゃおうって単純に思ったんですよね(笑)その分、私は自分が得意としている領域で頑張ろうと。


― 現在はどのような働き方をされているんでしょうか?


今は、InnoBeta社に月水金の週3回、iettyには火木の週2回の割合でそれぞれのオフィスに入って仕事をしていますね。基本的には、数ヶ月単位でスタートアップの中に入る、フリーランスのWEBデザイナーという立場です。実はスタートアップのお仕事に関しては日給制なんですよ。まぁアルバイトと似たような感覚ですね(笑)

日給制は、企業と私自身と双方にとってすごく都合がいいんです。案件ごとに見積もって書類作成してデザインするとなると、間違いなくサービスリリースのスピードは遅くなります。それに、私自身としても自分の強みが活かせないですから。


― 小原さんのような働き方だと、どうしてもスタートアップ間を渡り歩いていくことが前提になってしまうようにも感じます。


そうなる可能性はあると思いますが、いろんなことを仕掛けているスタートアップだと、まだまだ0から80にするデザインができるんです。

例えば、いまInnoBeta社では、UI/UXの辞書となるような、新規のブログメディアサイトを手がけています。「こんな機能をつけて、こういうイメージで」という要望のもと、デザイン・制作を進めています。


理想のキャリアモデルは閑歳孝子さん

― キャリアのロールモデルとしている、目標の女性はいますか?


以前、CAREER HACKの記事にも出ていらした閑歳孝子さんですね。

―会社を辞めずに夢を追う方法―Zaim 閑歳孝子“プライベート開発のすすめ” 

私はフリーランスという立場ですが、閑歳さんのように仕事を持ちつつ、プライベートでアプリやサービスを開発して、もしユーザーさんがついてきたら、起業の選択をするというのには憧れを持っていますね。


― すでに何か作られたりしているのでしょうか?


起業はあくまで将来的にできたら面白そうだな…、と思っている程度ですが、プロダクトは複数のチームでエンジニアの方と一緒に手掛けています。

最近作ったものだと、私の欲しいものを趣味程度に作った「2度寝前提の目覚ましアプリ」ですね。



2度寝って寝る前に「あと何分寝たい…」と決まってるわけではないですよね。アラームアプリの多くはスヌーズ機能もありますが、何度も決められた時間間隔で鳴るしそれも違う。

それなら最初のアラームであと何分寝るか、つまりあと何分後にもう一度アラームが鳴るのかを、決められるアプリを作りました。

アーリーステージのスタートアップへの参加と同時に、将来的にはプライベート開発を通じて、なにか新しいものを生み出せるクリエイターになっていきたいですね。

― 小原さんの今後のご活躍楽しみにしております!ありがとうございました!



(おわり)


[取材・文]松尾彰大


編集 = 松尾彰大


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