2017.06.06
チャットボット型AIは使える? iettyが導入で気をつけた4つのポイント|池田茉莉花

チャットボット型AIは使える? iettyが導入で気をつけた4つのポイント|池田茉莉花

不動産仲介サービス「ietty」池田茉莉花氏が登場。以前は365日人力で回答していたチャット顧客応対を、現在はAIに任せているという。チャットボットへAIを導入するときに気をつけるべきこととは?

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自動応答、物件提案、オペレーターサポート|AIが担う3つの役割

※2017年5月に開催された「UI Crunch #10 -AIと人を繋ぐ、UIの可能性-」よりレポート記事をお届けします。

チャットUIを用いたオンライン不動産仲介サービス「ietty」。同サービスの特徴は、いつでもどこでも不動産のプロにオンラインで物件の相談が行えること。

2017年1月には、自社での運用経験に基づくチャットUIとAIによる接客サービス・コンサルティングの開始を発表し、話題となった。

現在、自社サービスでは月間数千件の登録に対し、一時的な対応はAIが担当。

AIの物件提案に対し、フィードバックが返ってくると社内チャットセンターの10人程度が2次対応を行う。やり取りにおいて、ユーザーの熱意が高まってきたら営業担当者が対応する。そこから内見・契約などにつなげるといった仕組みだ。

今ではうまくAIを活用しているが、iettyのデザイナー 池田茉莉花氏によれば、「それまでは365日、人力で対応を行っていた」という。

当然、人力での対応には限界があり、接客を必要としているユーザーへの適切なリアクションが遅れてしまう。また、現場の負担が大きい。そこで、接客サポートの一部をAIに任せるようになっていったそうだ。

AIが担っている役割を具体的に見ていくと、

自動応答
ユーザーの発言や行動に反応してメッセージを送信する

物件提案
不動産専門家の知見やユーザーの行動の傾向を考慮し条件の完全一致以外の物件を紹介する

オペレーターサポート
接客ポイントになるであろう特徴的な行動の検知や通知をオペレーターに送る

その他にも、ユーザーの登録直後の属行動から成約予測を機械学習で予測し、確度の高そうなユーザーの場合はSlackでオペレーターに通知を行っているそうだ。


すぐに反応が返ってくる、AIによるインタラクティブなサービス体験と、必要なときに不動産のプロによる信頼性の高い情報が得られる質の高い接客体験。この両立を目指すために、AIを導入することにしました(池田氏)

AIの特性を知り、活用シーンを見極める

AI導入プロセスとして、まずは特性を知り、自分たちのやりたいことがAIで実現するか検証。その後、効果的な導入シーンを見極め、AIが担当するシーンを具体化したという。


チャットボット型のAIの実現可能性をエンジニアと話すときに、チャットボット型のAIの導入容易性を示す4つの指標を前提として知っておくと、すごく便利です(池田氏)


その4つの指標がコチラだ。

1. 場面限定性
2. テーマ限定性
3. 発言独立性
4. 回答容易性


スライド資料1


これらの指標を踏まえた上で、効果的なAI導入シーンを絞り込み、条件分岐などをフローチャートを活用しながら確認していく。

チャットボットは既存のチャットのUIコンポーネントがあれば、デザイナーが不在でもAI対応フローを実装できる。その際、デザイナーは新しいUIコンポーネントを設計してチャットボットにできることを拡大していくほか、技術、ビジネス、ユーザー視点のバランスをとっていく。


スライド資料2


ただ、池田氏は「iettyのAI開発では自然言語処理のブレイクスルーを迎えられていないなど、まだまだ課題がある」と語る。チャットボット型AIは、ユーザーからの入力が複雑になるため、処理の難易度が高くなってしまう。そのためiettyでは、回答に幅が出ないように質問内容を工夫したり、選択式で回答を求めたり。データベースに保存されやすい会話を行なうよう、工夫しているそうだ。

また、最後に池田氏はチャットボットUIの改善方法についても語ってくれた。ユーザーの不安を減らすように対話する。それがヒアリングの演出となり、接客らしい体験を生み出すそうだ。


チャットの内容を少し工夫するだけでも効果があります。どのくらい質問に回答すればいいのか、質問を回答し終えるまでどれくらいかなどをユーザーに伝えるナビゲーションを意識するといいと思います(池田氏)


▼「UI Crunch #10 -AIと人を繋ぐ、UIの可能性-」のレポート記事
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使用されたスライドはこちら↓


文 = 新國翔大
編集 = 大塚康平


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