オンライン英会話『ベストティーチャー』CTO今佑介氏にインタビュー。SIerのSE出身の彼は、いかにしてWEBエンジニアへのキャリアチェンジ(転職)に成功したのか?彼の言葉からそのヒントを探った。
SIer出身のエンジニアがWEB・スタートアップ業界で活躍する事例が増えてきている。
キャリアチェンジに成功した人々は、具体的にどんな取り組み、きっかけから転職というアクションを起こしたのだろうか?
今回お話を伺ったのは、2014年7月にベストティーチャーにCTOとしてジョインした今佑介氏。新卒から5年間のSIer勤務を経てWEB企業へ転職した彼に、自身のキャリアを振り返ってもらいつつ、SEからのキャリアチェンジのヒントを探ってみた。
[プロフィール]
今佑介 Yusuke Kon @kon_yu
公立はこだて未来大学大学院を卒業後、中堅SIerにSEとして入社。クウジット社に入社しARアプリなどの開発、CtoCマーケットプレイス・ココナラを経て、2014年7月オンライン英会話ベストティーチャーにCTOとして参画。
― 今さんは最初の転職で、SIerからアプリ開発などを手掛けるクウジットにいかれてますよね。転職理由や背景は何だったのでしょうか?
SEからWEB業界にくる人には、"あるある”かもしれませんが、「エンドユーザーの顔が見えない」、「不要だとわかっている機能開発に対する嫌気」、そんな理由でした。
また、SE時代には明らかに技術的な遅れを感じていました。当時(2010年頃)渋谷界隈のWEB系スタートアップのエンジニアは、技術的にもすごくイケイケな感じがして、楽しそうに仕事してるなって(笑)。
― すんなり転職となったんですか?
いえ(笑)。
実は転職する1年程前に、あるスタートアップ企業に応募したんです。でも面接さえさせてもらえずに落とされて。箸にも棒にもかからなかった(笑)。
そんなちょっとした挫折をしてから、コードをHP上で公開したり、ブログを書いたりし始めたんです。それから1年ほど経って、改めて転職を意識した時、もともと興味のあったARや屋内位置情報測位などを手がけるクウジット社が募集をしていて。
もう「絶対に入社する」と意気込んで、20枚くらいの資料を作って面接の時にプレゼンしたんです。「既存のこの機能、自分だったらこんなカスタマイズしたい」「SE時代、人のマネジメント経験もあるので、すぐに役に立ちます」とか。ブログも見せて「技術にキャッチアップするぐらいの素養はあります」って。やり過ぎかもしれないけど、僕の場合そんなことをしてWEB側に転職しました。
― やっぱり、SEとWEBエンジニアとでは、働き方や開発の仕方がだいぶ違ったのでは?
そうですね。ARアプリ開発なんかはユーザーからの声が聞けたりして、やりがいが大きかったです。また、目的のために手段を選ぶ考えで、Kinectを使ったアプリ開発でUnityを学んだり。エンジニア人生の中でも貴重な経験をつめました。
― そしてココナラを経て今夏、ベストティーチャーにCTOとして入社されたと。なぜベストティーチャーだったんでしょうか?
実は僕自身、ベストティーチャーの有料会員だったんですよ。ココナラにジョインする前、有給消化で短期留学で英語を学んだんです。その後も英語を勉強し続けたいなと、いくつかオンライン英会話のサービスを使ってみたら、ベストティーチャーが自分に一番合ってて。
― 自分がユーザーであるサービスを手がけたいという思いで転職されたと。
もちろんそういう意味もあります。ただ自分から応募したわけじゃないんです。とあるスタートアップ界隈のiOSアプリ勉強会で代表の宮地と出会って。PCのディスプレイにベストティーチャーの管理画面のようなものが出てて「使ってるサービスのエンジニアだ!」って話しかけたら代表で(笑)。
それから週末に開発を手伝ったりしているうちにコードを見てみたら、「もっと改善できるものがいっぱいあるじゃん」っていくつも改善できる点やアイデアが浮かんだんです。
また自分のキャリアプランにも合致していたんですよ。職業エンジニアとしては9年目、いろんな言語を触ってきたのですが、「あなたが使える言語、得意な言語って何?」と言われた時に、もうちょっと特徴が欲しいなと。
選択と集中を考えたら、サーバーサイドならRails、クライアント側はiOS。そして、英語を引き続き伸ばしたいと。この3つが揃ってるベストティーチャーなら、選ばない手はないなって。さらに自分がユーザーとして使っているサービスをより良くしていける環境があると確信して入社を決めました。
― よく、「ユーザーファースト」であるには、「ファーストユーザーたれ!」と言われますよね。まさにユーザーが開発者になることで、一層サービスが成長しそうです。
まだ入社して一ヶ月ですが、さっそく新機能として週刊英字紙『The Japan Times On Sunday』からピックアップした記事を元に、ベストティーチャー上でレッスンが受けられる機能の開発を行ないました。これからも、新しい英語学習体験をユーザーに提供していきたいと思います!
― それでは最後の質問です。今さんのように、SEからWEBエンジニアへ転職する方、したいと思っている方は増加傾向にあると思います。これからWEB側にいきたい、興味あると思っているSEに、なにかアドバイスがあるとしたら?
うーん…。まずお伝えしたいのは「すごい人しかこれない場所じゃないよ!」ってことですかね。なんだかメディアが取り上げるエンジニアの人って子供の頃からプログラミングしてたり、超高学歴だったり、すごい人ばっかりじゃないですか(笑)。でもそんな人だけで成り立ってる業界じゃないですし、僕みたいな「普通のSE出身者」でも生きていけるんです。
先ほどお話ししましたが、僕の一番の転機って、SE4年目の時、ある程度自信があって出した求人応募で面接さえしてもらえなかったことなんです。それから自分でアウトプットを意識して動いてきた。もし行きたい会社があるなら、募集しているしていないに関わらず、まあ1回は履歴書出してみる、っていうのが最初の一歩かなと思いますね。で、1度弾かれてみる。入れたら入れたでラッキー。鼻を1回へし折られるのも良い経験になると思います。
あとは、想像力の問題なんじゃないかと。例えばSIerだと国家レベルのプロジェクトや巨大企業との仕事など、とにかく大きなものが動くじゃないですか。で、問題は、「こんなに大きなプロジェクトに携わっている!、自分が作っているんだ!」って想像力を働かせられるかどうか。想像できて且つ、やりがいを感じるならば残った方が良い。でも僕みたいに、イメージがこう…、あんまり湧かなかった人にとって、WEB系はユーザーも近くて分かりやすいし、早くてエキサイティング。エンジニアとして楽しみながら働けるのかな…、と思います。
― SEからWEBへのキャリアチェンジを考える方に、今さんご自身の経験談は非常に有意義だったと思います!ベストティーチャーのますますの成長も楽しみにしていますね!ありがとうございました!
[取材・文] 松尾彰大
『The Japan Times』との提携など、一層注目を集めるベストティーチャーがアルバイトエンジニアを募集中。EduTech分野に興味のある方は是非!
▽Edtech(教育×IT)業界でRailsアルバイトエンジニアを急募
編集 = 松尾彰大
4月から新社会人となるみなさんに、仕事にとって大切なこと、役立つ体験談などをお届けします。どんなに活躍している人もはじめはみんな新人。新たなスタートラインに立つ時、壁にぶつかったとき、ぜひこれらの記事を参考にしてみてください!
経営者たちの「現在に至るまでの困難=ハードシングス」をテーマにした連載特集。HARD THINGS STORY(リーダーたちの迷いと決断)と題し、経営者たちが経験したさまざまな壁、困難、そして試練に迫ります。
Notionナシでは生きられない!そんなNotionを愛する人々、チームのケースをお届け。