2015.07.17
バリ島移住→六本木にロボット出勤。ITプラットフォーム野郎・尾原和啓の生き方[後編]

バリ島移住→六本木にロボット出勤。ITプラットフォーム野郎・尾原和啓の生き方[後編]

『ITビジネスの原理』、『ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?』の著者としても知られる尾原和啓氏へのインタビュー後編。2015年4月からバリ島に移住した尾原氏に新しいワークスタイル、生き方への挑戦について伺いました。

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▽前編はこちら
情報は独占するな、ギブし続けろ。ITプラットフォーム野郎・尾原和啓の生き方[前編]


【プロフィール】
Fringe81 執行役員
尾原和啓 Kazuhiro Obara

1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人口知能論講座修了。阪神・淡路大震災時の避難所ボランティアの経験から、仕組みやプラットフォームに強い興味を抱く。マッキンゼー・アンド・カンパニー、リクルート、Google、楽天などを経て現職。インドネシア・バリ島在住。


▽著書
「ITビジネスの原理」(NHK出版)
「ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?」(PLANETS)

バリ島移住、リモートワークスタイル

― 尾原さんのワークスタイルについても伺わせてください。4月からバリ島ウヴドに移住され、リモートで働かれているそうですね。


Double RoboticsというiPadとロボットが合体したリモートマシンを使って、六本木オフィスのメンバーと普通にミーティングをしたり、自分で動いて話しかけたりしています。

初めて3ヶ月ほどですが、全く不便はありません。時々オフィスのコードに絡まって「ちょっと足元みてみて」と迷惑をかけることもありますが(笑)

Double Robotics

移住は自分なりのチャレンジなんです。バリは温暖で衣食住には困ることはありません。さらにネット環境が近年一気に充実している。どこでも働けるのであれば、生活環境がいいところの方がいいですよね。

そしてバリ島ウヴドで生活する最も大きな理由は、クリエティブシンカーと呼ばれる人々がゾクゾクと集まってきていること。彼らはウヴドをベースに生活をしながら、必要に応じてアメリカやヨーロッパに向かう新しいクリエイティブな生き方をしているんです。私はなにかシリコンバレーのような匂いを感じてウヴド飛び込んでみた形です。

日本で何かあっても深夜0時にバリを飛び立てば、朝の10時には六本木のオフィスに到着できる。往復で6万円程かかりますが、物価の低さを考えると十分にまかなえる範囲です。

ティッピングポイントはすでに超えた

― 新しい働き方がどんどん実現されてきていますが、できる人や会社には何か要件があるのでしょうか?


ないと思います。しいて言えば、新しい環境が生まれ、それが誰にとっても「当たり前」になることでしょうか。

例えば、いまって『ペーパーレス』ってほとんど意識しなくなりましたよね。けれど、4~5年前には、どこでもやたらと『ペーパーレス』が語られていたと思います。

何が変わったかというと、みんながノートパソコン、あるいはタブレット端末やスマートフォンを持っていて、会議室にはプロジェクターがある。ましてや、クラウドの登場でファイルのシェアというのも一般的になった。それと同じだと思うんです。

実は、このDouble Roboticsも、2年ぐらい前の技術でできています。ですが、当時のタイミングではまだ通信環境などがしっかりしていませんでした。会社に訪問してゲストWi-Fiがあったら、「え、ゲストWi-Fi、あるんですか、ありがたいです!」という感じだったかと思います。でもいまは特段珍しいものではない。


― そうですね。


私がバリから六本木にロボットで出勤できるのも、そんな環境が整ったからです。ちょっと前だと、回線は不安定で音声品質も悪かったそうですが、バリ島には光ファイバーが整備されて、タイムレスでコミュニケーションが取れるようになりました。

普及のためのボトルネックになっているインフラが整備されると、途端に楽になる瞬間があるんです。ペーパーレスにおけるノートPCは、リモートワーカーにおけるWi-Fiと光ファイバーなわけです。そのティッピングポイントは既に超えているので、私だって実践できるし、誰でもできると思っています。


― なるほど。それでは最後に、20年近くプラットフォームに関わってきた尾原さんが今一番ワクワクしていることを伺えますか?


ひとつは、Fringe81で新しいワクワクするプラットフォームを自社そしてパートナーの方々と一緒に「新しい発見をもとに、地球の未来を創る」を実現していくこと。

そして新しい生き方、働き方にチャレンジすること。これまで様々なプラットフォームに関わってきましたが、今ならプラットフォームの上にプラットフォームを創る、個人がプラットフォームになれるのではないかと思っているんです。


― 刺激的なお話、ありがとうございました!



文 = 松尾彰大


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