5月10日に開催された「Japan VR Summit(グリー社&一般社団法人VRコンソーシアム主催)」のトークセッション「VRで生まれるヒットゲーム」のレポートをお届けします。コロプラ、バンダイナムコエンターテインメント、レゾネアのキーマンが登場。
「”Step Into the Game”(ゲームの世界へ踏み出そう)」
これはVRの火付け役となったOculus RiftがKickstarterで公開されたときに掲げられたコピーだ。
まさにVRはゲームのために生み出されたと言っても過言ではないのかもしれない。
国内外問わず数多くの企業がVRゲームへ参画し、更なる盛り上がりを見せている。そんなVRゲーム界を牽引するパネリストたちが、面白さ・魅力について語った。
[パネリスト]
馬場功淳 氏(株式会社コロプラ 代表取締役社長)
原田勝弘 氏(株式会社バンダイナムコエンターテインメント)
水口哲也 氏(レゾネア株式会社/米国法人エンハンス・ゲームズ CEO)
VRが今後どういう存在になっていくか。VRは全ての人がパーソナルに使うデバイスになると考えています。つまりプラットフォームです。我々はゲームを作っている会社。なので、VRが広まっていくのであれば、その上でもゲームを展開したい。VRゲームに取り組んでいくのは自然なことなんです。
では、モバイルゲームを作っているコロプラが面白いVRゲームを作るためにはどうしたらいいのか。工夫していることがあります。VRゲームを作る過程で、「これVRで作る意味ある?」と感じるタイミングは少なからず出てくるんですよね。その都度、VRらしさとは何か?という議論をしていく。
VRはとても臨場感があるものなので、たとえば、ただのテニスゲームを作るだけでも面白くなるんですよ。でもそれだけでは、VRでやる意味は特に無い。ボールがぐるぐる回るような特殊なスキルを持たせて、無理やりVR感を出そうとしたり、いろいろな試行錯誤をして。最終的に気づいたのはダブルスが良いということ。後ろを振り返って味方選手の動きを見ることができるなど、ようやくVRらしさを出すことができたんです。
これまでのゲームでは、「四角い画面」の中にいるキャラクターと、プレイヤーである現実世界の自分はまったくの別物でした。自分がトイレに行ったり、ご飯を食べに席を外したり、コントローラーを置けば、中のキャラクターはぼーっと突っ立っているだけ。一方でVRの場合、目を逸らしていても「どこ見てるの?」って言われるし、プレイヤーの細かな動きでもキャッチすることができる。従来のテレビゲームでは築くことができなかったプレイヤーとキャラクターの関係や繋がりが、VRゲームでは作ることができる。これがVRの面白いところです。
VRの中では、嫌でも臨場感を得ることができるんです。乗り物のゲームを作っても、それだけで素晴らしい体験ができるものが作れてしまう。それ以上の体験を求めたときに、キャラクターとの関係性がテーマのひとつになりました。
VRの醍醐味は新しい体験を提供すること。私たちはもともと、レーシングのアーケードゲームを作っており、ずっとゲームで新しい体験を作りたいと考えて取り組んできました。新しいデバイスを導入したり、振動を加えてみたり、1990年代の初頭は実験的に色んなゲームを作ろうとしていて。ただ、解像度は低いし、センサーの精度は悪い。そんな中でもVRのようなもののイメージは膨らませていたんですよね。だからやりたいと思っていたことに、ようやく技術が追いついたといった感じです。
新しいことを作るのって楽しいじゃないですか。でも、過去の前例やお作法の延長から考えていてもイノベーティブなものは生まれない。映像が誕生した頃からずっと僕たちは四角い画面に縛られてきました。アーケードでもコンシューマーでもスマホでも、みんな その四角い画面の中に押し込まなければならなかった。制約がクリエイティブを生むこともあるだろうけど、VRはその制約が完全に取っ払われるんです。なんでもOKです。そこに世界を作れるんだから。これってすごい変革なんですよ。
少年時代を思い返すと、テレビゲームやポータブルゲームなどのコンシューマーゲームに熱狂した記憶がよみがえる。VRは、あの頃以上の体験を私たちに提供してくれるかもしれない。VRの発展にゲームは欠かせないし、ゲームの発展にもVRは欠かせない存在なのだろう。果たして、誰もがVRを楽しむ時代が来るのか。引き続き動向を追っていきたい。
(おわり)
文 = CAREER HACK
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