rootのUIデザイナー 古里祐哉さん。事業会社から制作会社へ転職したキャリアの持ち主だ。デザイナーには上流工程から実装までおこなう「横断的スキル」が求められるという。自身の経験をもとに横断的スキルを身につける方法を説いた。
※2017年2月28日に開催された「Service Design Night vol.4」よりレポート記事をお届けします。
事業会社から制作会社へ転職したキャリアの持ち主が株式会社rootのUIデザイナー 古里祐哉さんだ。彼はrootで働く以前、無料のネットショップ作成サービス「BASE」を手がけるBASE株式会社でアシスタントデザイナーをしていた。
なぜ彼は事業会社から制作会社へキャリアチェンジしたのか。古里さんは端的に「事業の成長スピードに追いついていけなかった」と語る。
「自分が手がけたデザインの意図を説明できないことが多々あって。その結果、手戻りが多くなってしまい、タスクの消化率が悪くなっていました。そこで社内の先輩デザイナーに『僕はタスクの消化率も悪いですし、意図の説明もできないので、どうしたらいいんですか?』と質問したところ、単刀直入に『制作会社でもっと経験積んだほうがいい』と言われたので転職することにしました」
数ある制作会社の中から、彼が転職先として選んだのはroot。その理由は、“デザインを通じて事業成長に貢献する”というミッションに共感したため。現在はオプトの広告効果測定ツール「ADPLAN」の全面リニューアルに携わるなど、デザイナーとして、さまざまなフェーズのサービス開発に関わっている。
実際にrootで約1年半働く中で、古里氏は「デザイナーに必要なスキルは『横断的スキル』であることがわかった」と言います。横断的スキルとは一体どういうものか?
彼によれば、横断的スキルとはユーザー調査や要件定義などを行う[「ソフトスキル」。UIデザインやビジュアルデザイン、実装までを実行する「ハードスキル」の2つによって成り立っているもの、と定義しているという。
BASE株式会社に所属していた頃、経験が足りず事業の成長スピードに追いつけていなかった古里さんはrootでどのように横断的スキルを身につけていったのだろうか?
「自分の特性を知らないうちにやる、やらないを判断してしまうのは機会損失だなと思い、まずはどんなことにも挑戦し、最後までやりきることを徹底しました。具体的にはディレクションからUIデザイン、マークアップ、ロゴの制作など上流の工程から実装まで幅広く担当し、自分の強みを知ることから始めました」
また、最後までやりきることで本当の課題が見えてくるため、古里さんは80%あたりで投げ出さず、最後までやりきることを徹底。そして、その後に振り返りを行い、課題を見つけていったそうだ。
「振り返りを行うにあたって、日報を書くようにしました。具体的にはプロジェクトごとにどんなことをやっているか、そして今日できたタスクとできなかったタスクを書き出していき、できなかったタスクの要因を分析し、解決法を言語化したんです」
そして、その日報はチーム内で共有し、全員からフィードバックをもらうようにしたとのこと。これを毎日繰り返していくことで、細かな課題を発見することができた、という。
「横断的なスキルを伸ばすためには、まずは何事もチャレンジして自分の確固たる強みを知る。その後は日報などを書き、客観的なフィードバックをもらえる環境をつくる。それに加えてサービスを生み出すフェーズとサービスを育てるフェーズの両方を経験できる環境に身をおくのがいいのではないでしょうか」
制作会社と事業会社、どちらがいいかは決められないとしつつ、古里さんは「事業会社で働いている人はリニューアルプロジェクトに携わってみるといい」と語った。
▼「Service Design Night vol.4」で、その他の登壇者が語った内容はコチラ
・調子が悪くても、必ず合格点を出す。デザイナーとしてキャリアアップするコツ|バンク 河原香奈子
・アウトプットなくしてスキルアップはない|ベイジ 荒砂智之が説くブログのススメ
※使用されたスライドはこちら↓
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