「フリル」を運営するFablicのデザイナー割石裕太さん。デザイナーのセルフブランディングのためには、コンセプトを持つことが重要だという。割石さんが語った、コンセプトを持つことで得られる3つの効果とは?
※2017年2月28日に開催された「Service Design Night vol.4」よりレポート記事をお届けします。
フリマアプリ「FRIL(以下、フリル)」を運営する株式会社Fablicでアートディレクター・UIデザイナーを務める傍ら、「OH」という名義で個人活動も行っている割石裕太さん。
彼はデザイナーとしてキャリアを積んでいくには、「自分自身のコンセプト」を持つことが重要と言う。
自分を生かすコンセプトとはどのようなものか、そしてコンセプトを持つことでどういった効果があるのか……?割石さんの見解は下記の3点に集約された。
1. 独自のプロセスが生まれる
「デザインのスキルや技術は時間が経てば伸びていくもの。ウェブデザイナーが増えている状況において、“誰にでもできるデザイン”をしていては、デザイナーとして頭打ちになってしまう。周囲のデザイナーと差別化を図るために、自分はコンセプトを持つことが大事だと思っています」
例えば、割石さんはOHという名義で個人活動を行うにあたって、“「わ!」より「お!」となる体験を”とコンセプトを定義。「わ!」という刹那的な驚きではなく、「お!」と納得してもらえることを大事にしてデザインを手がけているそう。
「結局、何を考えてものを作っているのか。アウトプットだけではなく、なぜその表現にいたったのか、というプロセスを見せることが重要な武器になるんです」
実際、割石さんはフリルのロゴをリニューアルした際、「フリルのロゴができるまで」という記事を公開している。このようにデザインコンセプトを定め、デザインプロセスを共有し、アウトプットを積み重ねていく。そうすることで、「こういうデザインをお願いしたいんだったら、やっぱりあの人だよね」と、デザイナーとして認知度が上がっていく。
2. 強い判断基準になる
そして、コンセプトを持つことは自分にとって“強い判断基準”になるという。OHのコンセプトを作ったときを振り返り、割石さんは「当時、自分がやりたいこともわかってなく、周りが行動しているのを見るだけで焦る毎日だった」と語る。
そんな状態だった割石さんだが、自分のやりたいものを明確にするためにコンセプトを定めた結果、すべての選択、行動に対して、強い理由を持って行動できるようになった。
「今、世の中に求められているデザイナー像や、これから求められていくデザイナー像ってよく語られると思います。
ただ、個人的には世の中に求められているものに合わせて自分が動くのではなくて、自分がやりたいことをするために必要なことを学び、適切な場所を選んで共感できる人たちと一緒にものづくりをするほうがデザイナーとしてずっと幸せなのではないか、と思っています。
求められていることに合わせて動いていると自分自身が納得できず、常に不安が残る結果になってしまうのではないでしょうか」
事実、“「わ!」より「お!」となる体験を”というコンセプトを持つことで、「お!」となる表現をデザインするために足りないものを学びに行くことができているとのこと。
3. 語れるストーリーができる
最後に語ったのは、コンセプトを持つことで“語れるストーリーができる”ということについて。
自分がやりたいことを言葉に落とし、コンセプトを定めてもアウトプットにつながらなければ評価につながっていかない。割石さんはコンセプトを軸に、年に1つ自信作を作ることを意識して個人活動をしているという。
そして、文化庁メディア芸術祭で賞を獲得。日本の伝統を新しい形で世界に発信するプロジェクト 「tsune ni idm -つねにいどむ-」のデザイン全般を担当し、クラウドファンディングで150万の資金を調達することにも成功している。
「コンセプトがバラバラの状態だとストーリーがなく、つながりが生まれない。ただ、コンセプトを軸に自信作を作っていくことで、自分のポートフォリオが生まれてきたと思います。また、どんどん新しい表現にも挑戦できるようになっています」
▼「Service Design Night vol.4」で、その他の登壇者が語った内容はコチラ
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・アウトプットなくしてスキルアップはない|ベイジ 荒砂智之が説くブログのススメ
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※使用されたスライドはこちら↓
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