2017.04.14
「GROOVE」学生デザインエンジニアの青春。僕にとって「ものづくり」は日々の喜び。

「GROOVE」学生デザインエンジニアの青春。僕にとって「ものづくり」は日々の喜び。

小宮慎之介さん(24)の学生生活は、いつも「ものづくり」と共にあった。自ら名乗ったのはデザインエンジニア。生み出したプロダクトは片手では数え切れない。その一つ、手袋型ダンスアクセサリー『GROOVE』はSXSW出展という結果につながった。限られた学生時代、仲間とのものづくりに打ち込んだ彼の青春に迫る。

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[プロフィール]小宮 慎之介(こみや しんのすけ)
東京都出身。1992年生まれ。首都大学東京システムデザイン学部インダストリアルアートコース卒業後、同大学院へ進学。2017年3月に大学院を卒業した。学生時代に、デザイン×テクノロジーによる地域活性化を目指す『DesignCat』を創業する。動きに合わせて発光する手袋型ダンスアクセサリー『GROOVE』をSXSW2017に出展した。

ものづくりを、理想だけでおわらせたくない|小宮慎之介

SXSWにて


小宮慎之介さん(24歳)は、この春、首都大学東京の大学院を卒業したばかりのデザインエンジニアだ。今回は彼が学生時代をどう過ごしたのか?ここにスポットをあてたい。

彼がとてもユニークなのは、デザインからフロントエンド、バックエンド、ハードウェアの設計・実装まで自身で行えること。そこにあったのは「動くものをつくる」というこだわりだ。


「学部時代、デザインの基礎やモック作りなどの授業が多くありました。こういった学びはとても大事だと思うのの、「これだと理想論を語って終わりなのでは? 実現の方法まで考えられない無責任な提案でおわらせたくない」と感じたんです」


そして「プロトタイプ・実用レベルまでしっかり作れるスキルを身に付けたい」と考えるようになったという。


「デザインだけではなくプロダクトとして成立する形までちゃんと作ろう。そう思うようになってからは自然と何か作ろうと頭と手を動かしていました」


PetaPeta

2011年のMushupAwardのIoT部門で決勝に進出したPetaPetaチーム


そして、結びついた「SXSW出展」というひとつの成果。アウトプットしつづけることの重要性を彼はこう語った。


「プロダクトのアウトプットは、自分の考えていた課題と、世の中の反応、そのギャップを見られる一番の方法だとおもっています。ユーザーやステークホルダーからフィードバックをもらえるのはすごく貴重な機会です」


そして、得られた反応やフィードバックは大きなモチベーションにもつながっていく。


「賞や他人からの評価をもらうというのも嬉しいのですが、やっぱり使ってもらって目の前で喜んでもらえた時、また想定外のユーザーさんに喜んでもらえた時が最高にうれしいですね」


SXSWにて。GROOVEチーム

SXSW 2017にて『GROOVE』開発チーム。右から2番目が小宮さん。『GROOVE』開発チームは小宮さんのインターン先や大学の仲間など、さまざまな場所からメンバーが集結。それぞれ就職が決まったが、マイルストーンを置き、今後も開発を続けていくそうだ。

仲間に恵まれた6年間

首都大学東京、そして同大学の大学院と6年間の学生時代をものづくりに情熱を注ぎ込んだ小宮さん。なによりも「仲間に恵まれた」と感じているそうだ。


「この6年間で“良いプロダクトは良いチームから”というのを身をもって感じられたと思っています」


さまざまなプロダクトを開発するなかで、お蔵入りしたものも少なくない。


「お蔵入りしてしまったものもあります。チームの足並みが揃わなかったり、学生ではよくある、モチベーションが維持できなかったり。ここが一番の失敗理由だったと思っています」


メンバーとの衝突も、一度や二度ではなかったそうだ。


「僕が持ち出したアイデアをやるとき、チームのマネジメントもしなければいけないのですが…それが苦手で。いつの間にか俯瞰してプロジェクトを見れなくなり、タスクが抜けてしまったり、スケジュールが甘くなったり、チームメンバーから怒られてしまうことが何回かありました」


同時に“みんな違うからこそ、いいチームになれる”ということがわかったと語る。


「専門やバックグラウンドがみんな、違います。プロジェクトやプロダクトの意見が合わないことももちろんあります。ただ、むしろそれは喜ばしいこと。違う背景だからこそ見える世界や意見があるので議論をしていても面白いんですよね。同じ意見の人しかチームにいなかったら気持ち悪いですよね…笑」


そして、まわりから高い評価を得られたのは、チームとして一丸になってつくったものだった。彼は“仲間に恵まれた”と語ってくれた。しかし、もしかするとたくさんの失敗を重ねても「作りつづける」という彼の情熱、そのスタンスに自然と仲間が引きつけられた部分もあったのかもしれない。


「仲間を集めるときに大切なのは「共感」だと思っています。これやりたい!あれやりたい!ということを言語化する。そして、自分でプロトタイプなどビジュアライズする。そうすることでメンバー全員のゴールが一致します。これが、うまくいったと思うプロジェクトの共通項です」


遊ぼう祭にて

テクノロジーで地域創生を目指す『DesignCat』もCEOとして法人化した小宮さん。メンバーは全員同じ研究室のメンバーだが、デザインを軸にしつつも得意分野や考えも異なるそうだ。「チームとして動いたら最強だ!」と法人化した。

ものづくりを「日々の喜び」に

そして、最後に伺えたのは小宮さんにとっての「ものづくり」はどういった活動だったのか?ということ。


「僕にとってものづくりはもう“日々の喜び”っていうくらいあたり前にあるもの(笑)自分の知らない世界の課題を解決できないか、日々考えるのが楽しい。課題を見つけた上で、プロダクトとしてアウトプットする。直接フィードバックを受けていく。ユーザーに一番近い位置にいたい。そこに喜びがあるからこそ、ものづくりをしていますし、これからも続けていきたいですね」


学生時代をどう過ごすか、正解も間違いもない。ただ、何のために働き、どう生きていくか。学業と共に向き合っていく貴重な時間ともいえる。働き方や価値観が多様化するなか、彼が見つけたのは「誰かに喜んでもらえるものを作っていく」という喜び。2017年4月に新社会人となった小宮さん。彼がCEOを務めるDesignCatやGROOVEプロジェクトは、会社員と並行して活動を続けていくそうだ。これからの活躍にも注目していきたい。

(おわり)


文 = CAREER HACK


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