2018.03.13
デザイナーの評価ってどうしてる? 社内通貨を付与したり、事業貢献度を見たり、スキルだけじゃない軸とは

デザイナーの評価ってどうしてる? 社内通貨を付与したり、事業貢献度を見たり、スキルだけじゃない軸とは

クリエイティブ部門の評価・マネジメントに頭を悩ませる企業も少なくない。とくにデザインなど経験のない人が組織マネジメントを担ったり、逆にデザイナー出身だがマネジメントに興味がない人が組織を任されたり。各社どうしているのか?DMM.comラボとLIGのマネージャーが熱く語ったセッションの様子をお届けする

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デザイン経験の有無は、マネジメントに関係ない?

※2018年2月に開催された「Creative X #1 session 1 C × チームビルディング『デザイナーとチームが、意識すべき結果とは」よりレポート記事としてお届けします。DMM.comラボのデザイナーを経て、現在DMM.comラボのクリエイティブ部門を率いている赤坂幸雄氏、サイブリッジ、アクセンチュアを経て、現在LIGのウェブ制作部隊をマネジメントしている須田允の特別セッション。


「僕は、これまで一度もデザインをしたことがありません」


セッションの冒頭、こんな言葉が発せられた。言葉の主は須田允氏。彼は現在、LIGの執行役員であり、約70名ほどの同社のウェブ制作部隊のマネジメントを手がけている人物だ。

LIGに入社するまで、アクセンチュアで通信や放送メディア領域への戦略立案・デジタルマーケティング業務のコンサルティングに従事。いわゆる、“コンサル畑”でキャリアを積んできた。

そんな彼は今、どうすればデザイナーのモチベーションを高められるか、どうすればデザイナーが才能を最大限発揮できる環境をつくれるか。奮闘する。


対談相手となったのは、須田氏と真逆にデザイン畑でキャリアを積み重ね、現在DMM.comラボでCDOを務めている赤坂幸雄氏、同セッションから、クリエイティブ部門のマネジメント、チームビルディングのヒントが見えてきた。

感性でのデザインはアリか、ナシか。


まず須田氏が語ったのは、デザイン業務における“感性”をどう扱うか、といったところ。彼自身、コンサル経験しかなく、デザインには“感性”が欠かせないと考えていたそうだが…


「LIGに入社し、いろんなデザイナーと話をしてみると、感性でデザインする人もいれば、ロジックをもとにデザインする人もいる。さまざまなタイプがいるのだと知ることができました」


彼が入社した2年前当時、LIGには『感性でモノをつくっていこう』という世界観があったそうだ。ただ、さまざまなデザイナーが活躍する組織をつくるために、彼は評価について考えるようになったという。


「自分がウェブ制作部隊を率いることになったとき、そもそもデザインに対する考え方を改めなければいけないと思いました。ちゃんとタイプをわけて、評価軸をつくる必要があるな、と」(須田氏)


須田氏

須田氏はまず、3つのデザイナーの評価軸を作成した

(1)ブランディングやキャンペーンサイト等、人々の感性に響くデザイン
(2)KGI/KPI達成に向けた、数字に基づくマーケティング観点でのデザイン
(3)オペレーションを最適/最大化させるビジネスツールUIのデザイン

3つに分類し、それぞれの適性を知った上できちんと評価できるようにした。LIGのなかにはとくに「勢い」や「笑い」といった要素のクリエイティブでネット沸かせていける(1)のようなデザイナーもいる。ロジックや数字だけでは測れない“感性”を軸に入れているのが彼ららしさかもしれない。

同時に、DMM.comラボでは「デザインするもの」の違いを踏まえ、赤坂氏がこう語った。


「逆にすごくおもしろいと思ったのは、僕たちの組織だと、基本的に感性でデザインすることを認めていないということ。自分が制作したものに対し、ロジカルに説明できないと、デザイナー以外の人と共通の言語を持って会話することができないからなんですよね。自分の中で課題を解決するために、どういった思考プロセスを経てデザインしたか。言語化できないと、クライアントは納得してくれない」(赤坂氏)


どういったメンバーたちと仕事をするのか。どういったアウトプットが求められるのか。環境によって評価の軸は多様になっていくといえそうだ。

感性でデザインする人には「LIGコイン」を付与し、評価する

そして話は「感性でデザインする人」について。LIGではどう評価しているのか。

須田氏によれば、基本的に「良し悪しの判断が難しい」という。そこで、どこかで賞を獲得したり、社外での評価を得たりした場合、「LIGコイン」という社内専用の仮想通貨を付与するのだとか。


「相手に説明でき、納得感を持たせるものをつくる力はすごく重要だと思います。ただ、LIGが仕掛けているようなある種、“ぶっ飛んだクリエイティブ”は、数字に落とし込めない部分があると思っています。それで話題がつくれたら、会社に対しても良いフィードバックがある。ここを無視すべきではないと思ったんです」(須田氏)


つまり「会社への貢献を評価する仕組み」といって言っていいだろう。

君はデザインの力で事業に貢献できているか?

続いて、事業会社として様々なサービスを開発・運用しているDMM.comラボでは、どのような評価基準を設けているのだろうか。

赤坂氏によれば、具体的に3つの点からデザイナーを評価するようにしているという。

(1)デザインのスキル/アウトプットクオリティ
(2)プロセス/まわりからの評価・評判
(3)事業に対するインパクト・貢献度合い

赤坂氏


「当然、スキルでの評価はします。同時にすごく大事なのが、リリースまでのプロセス。サービスはひとりでつくるものではなく、必ずチームメンバーと協力してつくるもの。その中でどう動き、どうコミュニケーションを取ったか。その結果、どれくらい業務が進んだか」


同時にDMM.comらしいのがいかに事業にインパクトをもたらしたかという軸だ。


「あとは事業に対し、どれだけ貢献したかどうかですね。もちろん、DMMの中にも売上が立ちやすい事業、立ちにくい事業があるので、端的に売上規模を見るのではなく、例えばDMM英会話などDMMのブランディングにつながっている事業は高い経済効果を生んでいると判断し、評価するようにしています」(赤坂氏)


デザインと売上。同じレイヤーで語ることが難しいが、やはり売上など事業に貢献できるデザイナーは活躍のフィールドが広がっていくというのが、お二人の同一見解だ。LIGで受託開発を経験している須田氏がこう語ってくれた。


「顧客の課題はどこにあるのか。課題を定義できることが、重要だと思っています。共感いただける方も多いと思いますが、顧客自身が自分で課題定義が出来ないファジーな状況もある。そうした場合にデザイナーが前に出て、顧客の求めていることを引き出し、意見をする。考えを伝える。そういうデザイナーは事業への貢献度がものすごくあると思います」(須田氏)


最後に、お二人から送られたデザイナーへのアドバイスでこの記事を締めくくりたい。


「とにかくアンテナを張ることが重要だと思っています。いろんな情報を収集し、その情報がどういう風に設計されて出来ているのかを考える。あとは、自分がいま、担当している領域とは違う領域に触れてみることも大切です。そうすることで視野が広がり、新しいものが見えてくると思います」(須田氏)


「基本的には須田さんと同じ意見です。一昔前と比べて、デザイナーの求められる領域がどんどん広がってきている。だからこそ自分の領域はここまで、と可能性に蓋をしてしまうのではなく、とにかくアンテナを張って興味があることには手を触れてみてほしいなと思います。そうすることで、自分に合う、合わないが見えてくるようになる。日本はまだまだガラパゴスって言われますし、世界のデザイナーと比べられると下に見られることが多い。ただ、そんな考えはどんどん打破していきたいと思っています。横の繋がりをつくり、自分の知識・経験を、自分以外の人から収集したり、自分自身が発信したりして盛り上げていってほしいな、と思ってます」(赤坂氏)


文 = 新國翔大
編集 = CAREER HACK


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