コミュニティの持続的な活動を独自通貨で支援する『fever』、仕掛けるのは今田孝哉さん(25)。敏腕編集者である箕輪厚介さんに壁打ちし、さらなる開発を進めたという。そこにはプロダクトづくりにかける強い思い、そして“飛び込み力”があった。
はあちゅう、コルクの佐渡島庸平、箕輪厚介…名だたるコミュニティ運営の有識者たちがTwitterなどで言及、今、注目を集めているコミュティサービスが『fever』だ。
これはインフルエンサーだけのためのサービスというわけではない。『fever』が目指すのは、個人が集まる“小さなコミュニティ”が継続的に活動していける基盤づくり。
コミュニティを『fever』に上場させることで、コミュニティは独自のコインが発行可能となる仕組み。そのコインをユーザーが購入、コミュニティのサービスを享受できるというものだ。
「コミュニティを軸に、新たな経済圏をつくる」取り組みといっていい。
この『fever』を運営するのが今田孝哉さん(25)。「もともと特別なスキルは何もなかった」と語ってくれた。しかし、インフルエンサーやトップランナー、経営者を巻き込み、プロジェクトを推進したのは彼の手腕。そこには並外れた熱意と「飛び込み力」があった―。
― コミュニティの価値が売買できる『fever』、立ち上げまでの経緯とは?
もともと『fever』を立ち上げるまで、iPhone買取サイトを立ち上げたり、U25を集めたコミュニティ(MOA大学)を作ったり、地域の音楽フェスを主催したりと、割と「コミュニティ」を軸にいろいろとやってきたんですよね。
目の前の事に全力で取り組んできた自負はありました。ただ、当然上手くいかなかったことも多かったです。資金面だったり、運用面だったり、コミュニティを維持する難しさも感じていたんです。
ちょうどその頃、箕輪厚介さん、SHOWROOM代表である前田裕二さんとの出会いがありました。お二人が関わった書籍『人生の勝算』が出版される、と。直感的にこのタイミングしかない!と、箕輪さんに「個人で100冊仕入れたいです。販売代理させてください」と直接メッセしました。金額にして12万円くらい。自己投資のつもりでしたね。
そうしたら本当に数日後には100冊が家に届いて、正直ちょっと焦りました。「けっこう多いな、さばけるのかな」って(笑)
ただ、人って追い込まれると、考えるし、勝手に動きだすもの。手元にある100冊を売らないと確実に12万程赤字になる。どうにか売らなければ、という状況でした。
そこで必死に考えた結果、本を本としての価値で売るのではなく、何か別の体験として売ろうと思ったんです。
たとえばAKBで言う握手券方式のような感じ。普通に本を売るのであれば、早さなら即日配達のAmazonにも勝てないですし、直販なら前田さん自身が売ったほうが価値が高い。
書籍販売の戦略会議を企画し、本を買った人が全員参加できるような仕組みを考えました。最終的に、1週間程で約500冊程売ることができました。
今田さんが企画した『人生の勝算』の個人書店オーナー(応援したい方)を募集するプロジェクト。書店オーナーになると、本を仕入値で仕入れることができる権利を得る。また前田裕二氏と"これからの時代における本の売り方を一緒に考える"戦略会議に参加可能。
ー 『fever』を作ることになるのは、そのあとでしょうか?
そうですね。元になるアイデアは、プロトタイプを複数作りながら徐々に変わっていく中で生まれていきました。自分なりに考えてサービスを作り込んではいたのですが、模索をしている部分もありました。すると、たまたま箕輪さんがツイッターでコンサル案件を募集していたのを見つけて。条件反射でDMしました。
当時は直感的にお願いしたいと感じ、考える暇もなくアクションして。ぼくは自分自身が、「何者でもない」という事を一番よく分かっていたので、それなら誰よりも先に手を挙げ続けて圧倒的に行動するしかない。ゆっくり考える時間なんてないですから。
ー 業界の先端を行く人たちを巻き込むというのはそう簡単なことじゃないと思います。真っ先にアクションするという事以外に意識していることはありますか?
相手が求めている事を徹底的に考える、ということでしょうか。相手が誰であれ何かをお願いする時に、一方的に自分側のメリットを伝えても意味がない。例えば「こんな事業を作っているので、アドバイスをしてくれませんか」というお願いは、自分のメリットしか考えられていないですよね。
最近では僕もたまにそういった連絡を頂く事がありますが、やはりそこに時間を割く余裕はないのが現状です。でも、例えば「"fever"を広めるアイデアを考えました。これを実行してもいいでしょうか」とかであれば、逆に僕としては「ぜひお願いします」となる。
相手の望んでいる事を120%以上に答えていく意識、そこに誰よりも情熱を持って取り組む事が重要じゃないかと思います。
ー 最後に、feverの今後について聞かせてください。
僕はどうせなら、世の中を大きく変えられるようなチャレンジをしていきたいと思ってます。単純にその方がワクワクする。自分の人生の時間をワクワクすることに全て使っていきたいんです。ただ、新しくスタートした「fever」は、まだまだこれからです。
なのでそういった事を言うと「ホラ」にしか聞こえないんですが、これまでの実体験として言ったことは実行してきたという自負がある。自分自身としては絶対にできる、そう信じています。
(おわり)
文 = まっさん
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