2019.01.09
目先の利益よりも、志を。ミレニアル世代 起業家たちの仕事観

目先の利益よりも、志を。ミレニアル世代 起業家たちの仕事観

91~93年生まれの起業家3人が集結。彼らは世の中に埋もれている課題と向き合う。ある者は「お金による機会損失を無くす」、ある者は「誰もが仕事や人生に熱狂できる社会に」、ある者は「初心者でもプログラミングを楽しく学べる環境を」。共通しているのは「志」だった。

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※2018年12月13日に開催された『iNTERFACE SHIFT 2018 | 日本をぶち上げる〜』イベントよりレポート記事としてお届け。モデレーターとしてBUSINESS INSIDER 記者 西山里緒さん(27)、Payme 後藤道輝さん(25)、Progate 加藤將倫さん(25)、ZEALS 清水正大さん(26)の平成生まれの登壇者たちによる、セッションの模様をお届けします。

「Paymeでノーベル賞を取りたい」ペイミー 後藤道輝

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給料即日払いサービスアプリ『Payme』をリリースし、起業家としての道を歩みはじめた、後藤道輝さん(25歳)。お金による若者の機会損失を失くすべく、「月末締め翌月末払い」の常識を覆す、新たな仕組みを日本に広げようとしている。


僕はペイミーを超マイクロベンチャーキャピタルだと思っています。持たざる者にはお金が手元にないから諦めてしまう人が結構いる。資金の偏りで機会損失が生まれない社会を作りたい。そのための一歩として、僕らはペイミーを通じて、「給料日」の概念を変えるチャレンジをしています。上場や売却はどうもでよくて、ノーベル賞をとりたいと思っています。


もともと大学時代は、ブレイクダンスに明け暮れ、起業やスタートアップに全くの興味がなかった後藤さん。彼が起業の道を選んだきっかけは、海外インターンシップで尋ねた東南アジアの貧困風景にあった。


父親は消防士、母親は看護師で。僕自身も人のためになる仕事をしたいと思っていました。大学では勉強して国連や総合商社で働くことを考えていたのですが、実際に東南アジアの貧困を目の前にしたときに、強く思ったんです。


井戸を一個作るよりビジネスモデルを一個作った方がたくさんの人の雇用も生み出せるし、サステイナビリティもあると気付いたんです。ならば自分は起業家もしくは投資家になりたいと、その時に思いました。

「日本が一番、仕事に熱狂している人が少ないなんておかしくないですか」ZEALS 清水正大

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「次なる産業革命を興し、日本をぶち上げる」。この熱い志を胸に、対話型のコミュニケーションツール“チャットボット”をリリースしたのが、ZEALS 代表の清水正大さん(26歳)だ。


僕は日本をぶち上げるために、志を実現するために起業しました。

いま、日本は世界の先進国で仕事に熱狂している人が一番少なくて、その割合はわずか6%と言われています。僕は一人ひとりが自分のやっていることにワクワクして熱狂出来る社会にしたいだけなんです。


高校卒業後、地元・岡山大手重工業企業に勤務で、航空機や船舶の製造を手がけていた清水さん。転機となったのは、2011年3月11日 東日本大震災だった。


日本がこれだけ大変なことになっている。もしかしたら復興は出来るかもしれない。けど、この先も課題先進国と呼ばれる日本では様々な課題が生まれ続ける。日本をぶち上げるために、残りの人生を賭けたいと思いました。


いきなり「起業しよう」と考えていたわけではありません。まずはお金を貯めて、21歳で大学に進学しました。

でも、新入生歓迎会で会った先輩たちに「日本をぶち上げたいんです!」って意気揚々と伝えたら、ドン引きされちゃって、「あれ、ちょっと思っていた大学生活と違うかもしれない...」と一瞬にして思いました(笑)

大学の授業もあまりにつまらなすぎて、フラストレーションが溜まるばかりで...。そんなとき、フラッと立ち寄った本屋で、リブセンスの村上社長の『学生起業』という本が目に飛び込んできました。『学生起業ってなんだ?!』と、びびっときて、すぐに起業の準備をはじめました。ただ、起業をして何をするのか、全く考えてなくて...。今振り返るとほんとただのヤバイやつなんですけど、当時は溜池山王から渋谷の間にあるビルに飛び込みで営業をかけて、「日本をぶち上げたいんですけど、何か仕事をいただけませんか?」とアタックし続けていました。最初はいろんな商材を売る仕事を引き受けていました。でも、なかなか売れなくて。そんなときに、ウェブやアプリを作る仕事を引き受けて、初めて10万円の売り上げを立てることができました。いろいろお仕事をいただいていくうちに、少しずつビジネスのビの字くらいがわかってきました。

でも、受託をやっていても日本はぶち上がらないと気付いたんです。やっぱり日本をぶち上げるためには人口減少といった大きな課題に対して、自分たちのサービスをつくっていかないといけない。そこで、僕たちはロボットを開発しようと決め、スマートフォンのアプリの中で動くロボット、チャットボットの開発にのめり込んでいきました。そのチャットボットを広告と掛け合わせることで「会話広告」という新しい広告概念を発明することができました。。対話には無限の可能性があるんです。

「かつての自分のようにプログラミング学習に苦戦している人の役にたちたい」Progate 加藤將倫

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「プログラミングを学んで、一番人生が変わったのは僕だと思います」。こう語るのは、オンライン学習サービス『Progate』を展開する、加藤將倫さん (25歳)。自身がプログラミングを学ぶのに苦戦した経験から、初心者でも楽しくカンタンに学べる学習サービスを開発した。


大学に入って3年は何もしていなくて、だらだらと過ごしていました。進学振り分けで情報系を選んだものの、周りは出来る人ばかり、僕は全然追いつけませんでした。しかも、大学で学べることはアカデミックな内容ばかりであまり実践的ではなかったんです。でも、アプリやウェブサイトを自分でつくってみたくて、自然とプログラミングのできない仲間同士が集まって勉強会をはじめました。プログラミングもできないうちから受託案件をとったりして、ひたすらがむしゃらに勉強しているうちに、どんどんものづくりの楽しさにハマっていきました。

同時に思ったのは、プログラミングは勉強をすれば誰にでも作れるものだということ。自分たちができなかった経験があるからこそ、勉強したいと思った人が諦めることなく、プログラミングを学べるツールをつくってみようと思いました。現在の野望は海外進出の強化です。世界には、インドのようにカースト制度でなかなか教育機会に恵まれていない人たちもいます。そういう人でも、Progateでプログラミングを学んだら全然違う人生を歩めるかもしれないんです。やっぱりプログラミングは人種や性別も問わない。これってすごいことなんですよ。僕らのサービスがもしかすると地球の裏側で影響与える可能性があるかもしれない。そう考えるとワクワクしていて、いまは事業をさらに強めていけるようにがんばりたいです。

(おわり)

写真提供:ラブグラフ


文 = 千葉雄登
編集 = 野村愛


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