2019.03.29
インド発「OYO」で、日本人の第一号社員になった男

インド発「OYO」で、日本人の第一号社員になった男

時価総額にして5000億円超える、ユニコーン企業「OYO(オヨ)」。日本法人代表が就任する約3ヶ月前、日本人第一号社員として入社した人物がいる。OYOの新プロダクト「OYO LIFE」の事業開発責任者 菊川航希さん(29歳)。彼のみぞ知る、OYOの躍進を支えるスピード感、経営メンバーの素顔についてお話を伺った。

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インド発『OYO』、日本人第一号メンバーが語る立ち上げのウラ側

日本の賃貸不動産業界の常識を覆す、賃貸サービスがまもなく誕生する。

敷金、礼金、仲介手数料ゼロ円。

最短翌日で入居可能、家電・家具付き。スマホ一つで部屋を借り、新しい賃貸マンションに住む。まさに“ホテルのように部屋を選ぶ”だけ。

+++衝撃のサービスを仕掛けるのは、インド発のホテルベンチャー「OYO」。本家インド、中国ではエコノミーホテルのプラットフォームを展開し、現在最大級の客室数を誇る。創業5年で、時価総額にして5500億以上のユニコーン企業だ。勢いの止まらないOYOが、ついに日本上陸するという。2018年10月にヤフーと合弁会社を立ち上げ、先日日本の不動産業界に参入することを発表した。

OYOが日本で仕掛ける新しい不動産ビジネス「OYO LIFE」。事業開発責任者をつとめるのは、菊川航希さん(29)。日本法人CEOの勝瀬博則さんが就任する約3ヶ月前に、日本人第一号社員として入社し、ゼロから事業の立ち上げに携わったキーパーソンだ。

「OYOの日本上陸」の舞台裏にはどんなやりとりが?立ち上げのウラ側についてお話を伺った。

「明日また会おう」OYO のキーマン・カビとの出会い

ーまず、OYOへの入社はどういった経緯だったんですか?


OYOとの出会いは、転職活動をしているときに、ヤフーの方に紹介をしていただいたのがきっかけでした。当時就職するか、自分で起業するか悩んでいた僕に、「OYOを日本で立ち上げるんだけど、OYOの人たちに一度会ってみない?」と話をいただいて。OYOのCGO(日本事業の立ち上げ責任者)をつとめる、カビ・クルートと汐留のスタバで会いました。

彼は席に座るやいなや、「なんでもいいから紙を持ってない?」といって、「すみません、持ってないです」と伝えたら、その場にあるナプキン10枚くらいつかってインドや中国でOYOが何をやっているか、日本の市場をどう捉えているかについて説明をしはじめたんです。

そのときに聞いたインド・中国でのスピード感、OYOのビジネスモデルが、もうめちゃくちゃおもしろくて。心の底からワクワクしました。最後に、彼から「どう?一緒にやる?」って聞かれて。

僕自身の中で「やってみたい」という気持ちは強かったけれど、一回冷静になって考えてみたくて、「少し時間をください」と答えました。

そしたら、「OK。また明日会おう。そのとき返事を聞かせて」って言われて。


ーすごいスピード感ですね...(笑)


僕もびっくりしました(笑)。普通1週間くらい待ってもらえるものじゃないの?って。次の日に、また同じ汐留のスタバで再会して、オファー承諾をしました。2日後には、OYOに入社して働きはじめました。

それ以来2週間に1回、彼とディナーしていて。カレンダーには「ナプキンディナー」って入れてるんです。OYOのこれからのこと、今の課題についてざっくばらんに相談しています。

+++【プロフィール】菊川航希(きくかわ・こうき)OYO LIFE 事業開発責任者 1989年生まれ。大学時代に2社の創業に関わった後、外資系戦略コンサルティング会社A.T.カーニーに入社。その後、シリコンバレーを中心にスタートアップの事業支援や投資に携わり、2018年9月よりOYOに日本人社員1号として参画。OYO LIFEの事業開発責任者を務める。

「自分で起業したと思ってほしい」

ー日本法人立ち上げ期のOYOはどんな状況だったんでしょう?


当時は、僕しかいない状態でした。いま日本法人の代表をつとめている勝瀬は12月に入社で。それまでの3ヶ月間は僕ひとり。まずは仲間を集めてチームをつくることが僕のミッションでした。

入社したとき、CGOのカビに言われて明確に覚えているのが、「自分で起業したと思ったほうがいい」ということ。

自分以外に誰もメンバーはいない。人を集めることも自分でやらないといけないし、ヤフー側への相談も必要だと思ったら自分でやる。サービスの鍵となる、物件の獲得をするために自分で営業に回ることも自分の責任。清掃会社を探したり、必要なベンダーのリサーチなど、自ら現場に出て前に進めていく。そのためには、強いオーナーシップをもたないと、なにも進まない。だからこそ、自分で起業したと思って、コミットメントしてほしいと言われていました。

これは余談ですけど、人を誘うときにも「起業したんだけど、一緒にやらない?」って誘い方をしたほうがいいとアドバイスを受けました。そのほうが、一緒に事業をつくっていく、ファンディングメンバーみたいな人たちを集められる。ゼロから事業を立ち上げる仲間探しも僕の重要な役目でした。


+++


プロダクトとしても、OYOはリアルビジネスなので、インドでの成功パターンが日本で通用するとは限りません。なので、OYOをローカライズするというよりも、”OYOのようなビジネスを日本でイチからつくる”という考え方なんです。「たまたま名前がOYOなだけ。たまたま資本がOYOなだけ。みんながこの事業を日本のスタートアップとしてつくると思ってほしい」と経営メンバーにしつこくいわれています。

ゼロからビジネスをつくるために、組織を日本のメンバーが働きやすくする思想はとても強くて。「社内のコミュニケーションは英語じゃなくて、日本語にしてほしい。資料の作成も全部日本語にしてほしい」と言われています。カビ向けにつくった資料も、「英語でつくらないで」と言われたのはさすがに驚きました(笑)社内コミュニケーションのツールもインドの「OYO」の支社としてではなく、日本のスタートアップとしての文化や組織づくりを大事にされています。

「締切いつ?」という質問は愚問

ー入社されてからのギャップ、OYOならではのカルチャーってなんでしょう?


とにかくスピードがものすごく重視されていることですね。

やるべきことは全て今やる。会議で決まったことは今すぐにやるんです。「いつまでにやればいい?」ってきくと。「昨日」っていうのがカビの口癖。「もう締め切りすぎてるよ、これ」みたいな。もう、そもそも「締め切りいつ?」という質問が愚問なんです。

「いつやろう?じゃなくて、いまやろう」、「いま決めよう」。そういう”今”カルチャーをちゃんとチームに広めることも、一人目の社員としての僕のミッションです。

「課題を解決するのは、僕じゃない」OYO CEO リテシュの言葉

ーCEO リテシュ さんには会いましたか?


日本に来たタイミングで会いました。日曜日の夜に、突然「日本の課題について共有してほしい」と連絡がきて。汐留で会いました。

想像以上に物腰の柔らかい人でびっくりしましたね。「こうきさん、日曜日の夜にわざわざすいません...」みたいな、腰の低いかんじで。「わたしは日本のチームがどういうことに困っているかを聞きたい。いろいろ教えてください」と。「近況を報告しろ」というスタンスじゃなくて、「教えてほしい」という姿勢は、主張の強いインド人のなかでもめずらしいなと思いました。

いろいろとディスカッションするなかで、とても印象的だったのは、「いろんな課題を共有してくれたけど、課題を解決するのは君だよ」という言葉。もちろん会社として取り組むべき課題であるけど、経営陣が解決するわけじゃない。課題を見つけた本人が、どうしたら解決するべきかを考える。「全部やって、どんどん前にすすめてほしい。僕はサポートするためにいるからなんでもいってほしい」といわれました。その打ち合わせで提案したことは全部予算がその場で降りて、「どんどんやって!」と言われています。


ー最後に、これからOYOでチャレンジしていくことについて伺わせてください!


エンドユーザーであるお客さんに満足する体験を届けるためにも、まずは東京で物件数を獲得することです。同時に、物件のオーナーも僕らにとってはある意味ユーザーです。オーナーに寄り添って満足してもらえるように、ホテルオーナーとして財産を管理するプロフェッショナルとして伝えていきながら、物件数を増やしています。そのミッションを実現するためにも、チーム体制を強化していきたいと思います。

+++


文 = 千葉雄登
編集 = 野村愛


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