2019.05.15
「購買体験」をデザインをする上で、東急ハンズが大切にした7つの観点

「購買体験」をデザインをする上で、東急ハンズが大切にした7つの観点

東急ハンズの「セミセルフレジ」の体験をデザインしたグッドパッチの國光俊樹さんが登場。「レジ端末画面だけでなく、会計という体験全体をつなぐよう設計した」と語る。

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東急ハンズに導入された「セミセルフレジ」|グッドパッチ

今回の「UI Crunch」のテーマは、私たちの日々の生活に根付くサービスの体験をつなぐUIについて。より愛され、長く息のできるサービスは、どのような思考によって生まれているのだろうか。イベントの内容で語られた内容をご紹介します。

UI/UXデザインを強みとして企画/設計に幅広く関わるグッドパッチ。東急ハンズの新宿店で導入された「セミセルフレジ」のサービスデザインについて語った。

+++東急ハンズに導入されたセミセルフレジの端末イメージ

+++セミセルフレジの全体像

+++「セミセルフレジ」体験のフローは、商品スキャンまでを店舗スタッフが担い、支払いや袋詰めを来店したお客様が自身で行なう。

リアルとデジタルが融合するデザイン。大切にした7つの観点

UX / Serviceデザイナーの國光さんは、主に7つの観点を意識して、プロジェクトを進めたという。

1,体験を観察して本質的な課題を抽出する

2,サービスの型を理解する

3,ユーザーの目的を正しく捉えて、本質的な効果を見据える

4,誰が、何(誰)とインタラクションするのか考える

5,それぞれにしかできないことを役割づけていく

6,あらゆるユーザーがセミセルフレジを中心とした体験の中で触れるすべての対象や行動を繋げてデザインする

7,ユーザーが大事≠エンドユーザーだけ見ればいいというわけではない

セルフレジの導入プロジェクトは、レジの回転率を上げるだけではなく、その先の本質的な効果まで見据えた取り組みだという。

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「東急ハンズの強みは、“豊富な品揃え”と“店舗スタッフの豊富な専門知識”です。ところが、ピークタイム時にはレジ待ちの列が発生し、長い時間スタッフがレジ対応に追われている状態があったんです。スタッフがレジ対応に追われて顧客への接客サービスができないのはもったいない。お客様の店舗体験が向上する時間を捻出したいと考えました」

ここで思うことは、完全なセルフレジのほうがスタッフの手間が省けそうだということ。なぜ、セミセルフレジにしたのだろうか。

「市場のリサーチを進めていく中で、セルフレジではお客様もスタッフも慣れていないので戸惑いを感じてしまい、新たな課題を生むことがわかりました。そこで、本質的な課題を見据えた正しいアプローチとして、セミセルフレジが適していると考えました」

また、店舗に来店するお客様だけではなく、店舗スタッフもユーザーと捉えたサービス設計も重要だという。セミセルフレジの導入による店舗体験の変化は、お客様とスタッフの垣根を超えて提供されるものだからだ。そこで、セミセルフレジを導入した際の店舗体験を一度すべて洗い出し、行動や思考などのデザインにも落とし込んだ。

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「サービスブループリントを用いて、全てのステークホルダー間のインタラクションについて考えました。セミセルフレジの導入が、新たな課題を生んでしまっては元も子もありません。実際の店舗に何度も足を運びユーザー行動を観察することで一連のユーザー行動を明らかにし、サービスブループリントで俯瞰することで、業務の最適化に至るまでの正しい道筋が描けました」

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ステークホルダーの多い課題に対して、グッドパッチが意識したのは、エンドユーザーの方向だけを向いたサービスデザインを行わないこと。エンドユーザーだけではなく、ステークホルダーすべてを「ユーザー」と捉えることで、本質を見失うことのない体験設計を実現させている。

+++株式会社グッドパッチ UX / Serviceデザイナー 國光 俊樹


文 = 鈴木しの
編集 = 大塚康平


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