花が自宅に届くサブスク「FLOWER」のデザイナー木坂名央さんが登場。「サービスをつくるときには必ず体験設計書を描く。設計書から外れた選択はしない」と語る。
今回の「UI Crunch」のテーマは、私たちの日々の生活に根付くサービスの体験をつなぐUIについて。より愛され、長く息のできるサービスは、どのような思考によって生まれているのだろうか。イベントの内容で語られた内容をご紹介します。
隔週で自宅にかわいいお花が届くサブスクリプションサービス『FLOWER』。
2019年2月のサービスリリース以来、一貫したコンセプトとシンプルなサービス設計で多くの注目を集めている。
『FLOWER』のコンセプトである「かわいい」は、社内で共有している体験設計書から導き出された。
「全社で共有している体験設計書は、運営元のROLLCAKE社でサービスを作るにあたって欠かせないツールです。サービスの根幹を生み出す場所であり、ここから逸脱しないようにしています」
『FLOWER』のターゲットユーザーは、忙しくて生活が乱れがちな働く女性。自分好みの花が定期的に自宅に届き、だれでもかわいく飾れる。
そこには、花を選択する、届ける、飾るなどの体験のタッチポイントにおいての数々の工夫が隠されていた。
「選ぶ行為は必要だけど極力ミニマルにするために、花は毎回ふたつの選択肢しか用意していません。雰囲気の異なる花を2種類用意して、ユーザーに選んでもらう。
また、元気なお花をポストに届けるため、花を長持ちさせる保水キャップを採用したり、受け取りたくなるかわいい箱をデザインしました。さらに、サービスの価値である『かわいく飾れる』を実現でするために、オリジナルの花器も一緒にお届けしています」
また、課題感からサービスの価値をつくり出すことにも徹底している。
「FLOWER」はサービスの価値を「かわいい」に統一している。それは、ユーザーヒアリングの中で見えてきた花を取り入れる生活においての課題感が由来しているという。
「ヒアリングを行なった結果、課題として、生活の中に花を取り入れたいと思っているけれど続けられないことが挙げられていました。
その理由は、”かわいく飾れない”、”花屋に通うことが面倒”、”花は高価だと思っている”。これらが阻害要因だから、生活の中に花を取り入れない。それなら、私たちはその阻害要因をまるごとひっくり返してしまえば、サービスの価値を作れると思ったのです」
つまり、花をかわいく飾ることができて、花屋に通わず、安価に購入できるサービス。「FLOWER」は、阻害要因を基に生まれたサービスだ。
「かわいい」を軸に置くのも、あくまでユーザーニーズがあったから。根底から「かわいい」と向き合い続けたからこそ、強い意思を持ったサービスが生まれているのだろう。
ROLLCAKE株式会社 デザイナー 木坂名央
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