2019.07.23
365日インスタライブ!身長150cm、小さめ女子の服づくり奮闘記

365日インスタライブ!身長150cm、小さめ女子の服づくり奮闘記

小柄な女性向けアパレル『COHINA』がインスタを中心に、ファンを増やす。立ち上げたのは、当時大学生だった清水葵さんと田中絢子さん。彼女たち自身も、身長150センチほど。なぜ彼女たちがつくる洋服は、小柄な女性たちの心をとらえるのか? そこに溢れていたのは、「背の小さな女性たちを全力で肯定したい」というまっすぐな想いだった。

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小さめ女子のためのアパレルブランド『COHINA』

身長149センチ。

この記事を書いている私は、よく「背、ちっちゃいね」と言われる。

すごく傷つくかと言われれば、そんなこともない。もちろん相手に他意はないし、コンプレックスというには大げさすぎる。

ただ、かわいい洋服も、私が着るとなんだかちがう。そんなときにはやっぱり、この身長を恨めしく思ったりもする。

「みんなと違うけど、私は私のままでいい」。あと少しだけ、自分で自分のことが好きになれたら。自信が持てたら。身長のことなんて本当はこれっぽっちも気にしなくていいんだろう。

『COHINA』は、そんな「背の小さな人たち」の想いにそっと寄り添うようなD2Cアパレルブランドかもしれない。

立ち上げたのは、当時大学生だった清水葵さんと田中絢子さん。ふたりとも身長150センチくらい(正確には151センチと、148センチ)。

はじめは起業なんて大それたものではなく、友人2人ではじめた学生最後の挑戦。それがいつしか、2年でインスタフォローが8.8万人。月商5000万円を突破するほどのブランドに。

「普通の学生だった」と語る彼女たちがスタートさせた洋服づくりは、いつしか小柄な女性たちの心に届きはじめていく──。そのストーリーを追ってみよう。

COHINA(コヒナ)】「小柄な女性をキレイに見せる」をコンセプトにしたアパレルブランド。“コヒナ”には「小柄女性にとっての日向」という意味が込められている。Instagramでの「ライブ配信接客」がCOHINAの大きな特徴。社内にはライブ配信専任のスタッフ(通称:ライバー)が10名以上在籍しており、365日欠かさず配信を行なっている。

学生最後の夏、私たちはアパレルを立ち上げることにした

まず『COHINA』立ち上げのきっかけから教えてください。

田中:
はじめは明確な目標って全然なくて。大学4年の夏だったんですけど、就活が終わって卒業までどう過ごそうか考えていて。

いつものようにしみちゃん(清水)と会って、くだらない話の流れから「学生時代にやりきれなかったことを、2人で何かやりたいね」って話になったんです。

清水:
そう、春までに何かしらやりたいねって。

じゃあ何やろうか?ってなかったとき、できれば社会の“負”を解決できることがいいという話になりました。たとえば奨学金問題とか、犬猫の殺処分問題とか。

田中:
候補はたくさんありました。ただ2人で話していくうちに、私たちの一番身近な問題ってなんだろう?と。やっぱり当事者として「やるべき」と思えることがよかった。そこででてきたのが、「自分たちに合うサイズの服がない」というテーマでした。

べつに服が全くないわけじゃないんです。でも、自分たちのような小柄な女性はオシャレを楽しみきれているのかな?って。世の中にはこんなに服がいっぱいあってみんな自由に選べるのに、自分は身長が低いってだけでその選択肢がかなり狭まってしまう。

清水:
それっておかしいよねって。

考え始めると、心の中にあったモヤモヤがどんどん出てきたんです。「今の時代、こういうのってきっと解決できるはずだよね?」そんな感じで、私たちのブランドづくりはスタートしました。

田中絢子さん(左)、清水葵さん(右)。

3ヶ月でリリース。気づけば月商5000万円超に。

立ち上げの時、大切にしたことでいうと?

清水:
とにかくスピードを最優先しました。2017年の8月に構想して、その年の11月にリリースしていて。私たちには卒業までの半年しか時間がなくて。服作りのことなんて何にも分からないけど、タイムリミットがあるからもう進むしかない。とりあえずやって、後のことはそのとき考えればいいやって感じでしたね。

具体的には、何から?

清水:
まずは新宿のルミネに走りました。入ってるショップを1日かけて隅々までチェックして。気になる服があったら片っ端から試着する。着丈、袖の長さ、首元の空き具合、ウエストの位置…どんなサイズが理想なのか。

田中:
あと並行して進めたのが、デザイナーさんと工場探しですね。「服 作り方」ってネットで調べるところからだったので、本当に素人丸出し。「どうやら工場で服を作るには“パターン”というものが必要らしい」と、そのとき初めて知って(笑)もちろんツテも何もなかったので、パターンはしみちゃんの知り合いのお母さんに引いてもらいました。

清水:
もうほんとに、いま振り返るとめちゃくちゃで。当然国内の工場からは門前払い。それもそのはず、すごく短納期でお願いしていた(晩夏に秋冬物をつくろうとしていた笑)し、少ロットだったのでコストも見合わなくて。結局、中国の工場にお願いすることになったのですが、カタコトの英語でサンプルをお願いしてようやくって感じ…。

田中:
サイトはHTMLとCSSを見よう見まねでイジっただけで、すごくかっこ悪かったしね(笑)

清水:
そうそう(笑)

田中:
いま思えば、よくそんな状態でやったなぁって。でも逆に、時間が限られていたからこそ、完ぺきじゃなくてもとにかく“カタチ”にできたのかな?とも思うんです。じっくり考える時間があったら、そもそもブランドってこんなに短期間で作るものじゃない、辞めようって思ったんじゃないかなって。

清水:
オープン初日の夜、初めて商品が売れて。ちょうど2人で駅に向かって歩いてた時だったよね。

田中:
嬉しすぎて、2人でハイタッチしたりして(笑)翌年くらいには月商200万円くらいになって、2019年6月には5000万円を超えるようになっていきました。現在でも毎月売上は伸びていますね。

憧れではなく「共感」を大切にできるようにと、COHINAのモデルは学生さんや主婦さんなど、一般の方々がほとんど。「自分と近しい人たちがオシャレを楽しんでいる姿って、励まされますよね。“私に合う服なんてない…”と諦めてしまった人に手を差し伸べられるようなブランドにしたいんです」と、清水さんは笑顔で語ってくれた。

まさか“普通”の自分たちが起業するなんて。

当時は内定をもらっていた大学生だったんですよね。就職はされたのでしょうか?

清水:
いえ、私はべつの会社で内定をもらっていたのですが、結局『COHINA』だけでやっていくことにました。最初はまったくそんなつもりなかったし、二足のわらじで副業的にやっていくんだろうなって思っていました。

ただ、オープン後にお客さまから想像以上の反響をいただけたのがほんとに嬉しくて。

「初めて背が低くてよかったと初めて思えた」とか「COHINAに出会ってからオシャレが楽しくなった」とか「もうCOHINAなしじゃ無理です」とか。自分たちが作ったものにお金を払ってくれ、好きだと言ってくれる人がいる。こんなに幸せなことなんだなぁって。

インスタで毎日ライブ配信しているんですけど、1日に数千人が観にきてくれる。ユーザーさんのなかに妊婦さんがいて「もうすぐ出産しそう」というコメントがあって、みんなで「がんばれー!」って応援したり。「無事出産しました!」という報告があり、ユーザーさん同士で喜び合ったりなんていうこともありました。ちょっとしたコミュニティみたいにもなっているんですよね。

田中:
そういったやりとりを見ながら思ったのは、私たちがつくっているのは「アパレル」そのものじゃないのかもしれない、と。アパレルを通じて、小柄な女性たちが自分を肯定できる「場所」をつくっているんだって思えるようになりました。それってすごく意味のあることだし、自分にとっても、これどほやりがいのあることは他にないのかもしれない。

自分たちのモヤモヤを解消するためにはじめたことが、気づかないうちに誰かにとっての居場所になっている。はじめる前は、正直想像もしていなかった世界ですね。

最後に、同年代の人たち、なかなか「一歩」が踏み出せないという方に、もしアドバイスがあればお願いします。

田中:
そうですね。もともと私も「20歳そこそこな私になんて何もできやしない」って思っていたんです。ただ、それって自分に期待していないっていうこと。「経験したことない」ってことは、失敗するのがあたり前なんだから、逆に何でもやってやれ!と開き直れたんです。良くも悪くも自分に期待しすぎない。だからやれちゃったのかもしれない。あと、どうせ一人じゃ何もできないから、人を頼りまくって、協力してもらおうって。

清水:
ホントにビジネスもアパレルのこともド素人だったんですよね。ただ、「いい商品を作りたい、想いを形にしたい」という気持ちは忘れなかったと思うんです。『COHINA』の価値も、低身長に悩む自分たちが一番わかるよって思っていたし。そこに共感してくれる人たちに本当に助けてもらったと思います。

田中:
特にお客さまには頼りっぱなし。新商品についても、発売前に必ずインスタでお客さまに色やサイズの相談をしていて。サイズも4パターンに増やすというアイデアもそこから生まれました。企画担当はお客さまみんなで、私たちは代わりに実現しているだけ。

清水:
そんなふうに「共感」ベースでつながっていけば、やれないと思っていたこともきっとできるはず。本当に普通の大学生だった私たちにもできたんだから、みんなもできる!そんなちょっとした勇気をこれからも届けられたら嬉しいですね。


編集 = 白石勝也
取材 / 文 = 長谷川純菜


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