戦略人事は、経営戦略・方針に紐づく人事戦略を描き、ビジネスの成果へ結びつけていく役割が期待される人事のこと。より詳細な解説をお届けします。
「戦略人事」と「人事」、その大きな違いは経営への関与度、コミットメントにあると言えます。
たとえば、「戦略人事」でいえば、経営層と併走するパートナーとしての役割・ポジション。いかに競争優位を目指していくのか。それを実現するためにはどのような経営戦略をとるのか。そのためにはどのような人事部門の機能・役割が必要とされるのか、包括的に示し、指揮を執ることが期待されます。
これまで、いわゆる通常の「人事」が担ってきた役割として、従業員の管理、採用実務など。いわば「経営意思決定のもと従業員を統制する・守る」といった役割でした。オペレーションを中心とした従来の人事のあり方といってもいいでしょう。
一方で「戦略人事」は、ビジネス上の競争・社会変化の速い時代に必要な「人事の新しい役割」として誕生。1990年代にデイビッド・ウルリッチ氏によって提唱された考え方(*)です。
なお、デイビッド・ウルリッチ教授が戦略人事として定義する役割は、事業戦略と連動した人材戦略を実践し、社員のやる気を引き出しながら人と組織を活性化させることとしています。
(※引用元:人事が変革を起こすには https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=1577)
戦略人事に求められるのは、業績向上の成長のための大きな絵を描くこと。そして世の中の変化にあわせ、会社に興すべき変革の道筋を社員に真摯に語っていく。会社が目指す方向に、従業員を巻き込む力が求められます。
過去、キャリアハックの取材記事(『30歳を境に感じた強烈な危機感。DeNA下村拓哉がシンガポールでチャレンジするワケ』)の中に、「戦略人事」のやりがいについて語られている内容があります。
「...事業に寄り添った、事業をより成長させることにコミットして人事組織などを考えて動いていて。単なる人事ではなく、経営人事・戦略人事として裁量を持てているからですね。...(以下、略)」
戦略人事ですが、必ずしも豊富な人事経験が必要とされるものではありません。もちろん、人事関連の高い専門性が求められるケースもありますが、より重要とされるのが「いかに経営にコミットメントができるか」ということ。
そういった意味では「経営」についての知識、さらには多岐にわたる部門にて、再現性のあるプロセスで「成果」を残せたか?が鍵になるはずです。
売上・利益構造の理解、企画・製品開発のフローやサプライチェーンなど「事業」について理解していることは強みになるはずです。
ひとつ注意したいのが、現在「戦略人事」と謳っていても、その役割・ポジションは企業によってまちまちであるということ。
単に「人事」という役職名であっても、経営に大きなインパクトを与えるような人事戦略を企画立案し、実行している方もいます。職種名に肩書ではなく、何をミッションとするのか。期待されるのか。現在、自身が属している部門において同様の動きができないか。俯瞰して見てみてもよいかもしれません。
▼記事引用元
労務時報の人事ポータル jin-Jour https://www.rosei.jp/jinjour/
※[6]『戦略人事のビジョン―制度で縛るな、ストーリーを語れ』―八木洋介/金井壽宏 著
※BOOK REVIEW『経営を強くする戦略人事』
BIZ HINT https://bizhint.jp/
※戦略人事
日本最大級の人事ポータル HR pro https://www.hrpro.co.jp/index.php
※人事が変革を起こすには
文 = CAREER HACK
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