2019.12.25
若手PMこそ、「書くチカラ」を磨け。|10X 矢本真丈

若手PMこそ、「書くチカラ」を磨け。|10X 矢本真丈

「どんなに忙しくても、時間を惜しんでブログを書いてます」。こう語ってくれたのは、10X 代表・プロダクトマネージャーの矢本真丈さん。彼にとって「ブログを書く」意味とは?

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全2本立てでお届けします!
[1]PMは、未来を生きる人であれ。まだ解決策のない「負」に気づく訓練法
[2]若手PMこそ、「書くチカラ」を磨け。

ブログを書いて、誰もが納得するストーリーを描け

― 矢本さんのブログを参考にしている若手PMも多いです。矢本さんがブログを書き続けているのはなぜでしょうか。

ブログを書くことで、誰もが納得できるストーリーを描く実践が積めるからです。

そもそもPMや経営者は、人を説得して動かし、そのパワーを練り上げてプロダクトや事業の成果に返さなくてはいけない。

ただ大抵のアイデアやストーリーは最初は自分自身の経験の中から得るものが多く、Heuristicなものが多い。それだけでは客観的に「他者が納得するための材料」が欠けています。そこを補い、誰もが理解できる説明へ昇華する、ということをブログで実践しています。

+++矢本さんのブログ

― なるほど、ブログを書くことは、人を説得できるストーリーを描くことだ、と。

そうですね。多くの人を説得するための一番強い材料は「事実」です。

だから、「ブログを書く」行為を通じて、事実を徹底的にリサーチし、「未来はこうなっていくから、仮説は正しい」というストーリーを描いているんです。当然、自分のポジションを正当化するためでもあります。

あともうひとつ、ブログを書くメリットは、「知識の棚卸し」ができることです。

インプットすればするほど、どんどん忘れていってしまうもの。使える「知識」にするためには、情報を構造化して整理することが必要です。図式化してみたり、テキストにしてみたり、アウトプットするために整理されていきます。

何かの情報を知っていても、いきなりその構造を図に書き起こすことができる人は、多分0.001%ぐらい。そのくらいの解像度では、人に語れないし、未来のことは予測できません。

プロダクト開発は、「未来のあるべき姿」と一体だと思っています。そのためにも、PMが未来像をクリアに語れる必要があります。

僕自身、人の前でぱっぱっとしゃべるの、そんな得意じゃないんです。意識的にブログを書いて、言語化して語れるようにしているんです。書くチカラを鍛えることは、口下手なPMの助けになるはずです。

自分自身も商品

ー ブログを書こうと思っても、なかなか時間を捻出できない人も多いですよね。

うーん、解決策は分からないですけど、僕はいろんなものを犠牲にしてでも「ブログを書く」実利がある、優先度が高いと思っているから継続しています。

ブログで発信することで、僕や会社、プロダクトのことを知ってくれる人も増える。明確に採用にポジティブだったり、社内外のメンバーに考えを浸透できたりと、ブログを通じて自分が前に立つことの価値が高い。自分の個人にもいろんなフィードバックがあります。ポジティブなことしかない。

書く時間を捻出するのは確かに難しいですが、僕は今の会社を通じて「10xな社会実装」を成し遂げることと、家族の時間以外はすべてシャットしています。犠牲を払ってでも事業にポジティブだからブログを書くという判断をしています。

書いたものは、いきなり出すな

ー 普段ブログを書くときに心がけていることはありますか?

記事を書き上げたら、公開する前に必ず誰かにフィードバックをもらうようにしています。

ロジックが破綻していないか、表現に違和感がないか。客観的な目を入れることで、より伝わりやすく洗練されたストーリーにブラッシュアップされていきます。

いつもだいたい2~3人にはチェックしてもらっています。

ぼやけたPMに、誰もついてはこない

ー お話を伺っていると、ブログを書くことからPMとしてのスタンスが見えてきた気がします。

PMは「戦略とプロダクトを一致させる」という役割を担う経営者という定義をしています。故に、「未来はこうなる」と強いポジションを取ることが大切だと思うんです。

発信するメッセージや内容が、べつに間違ってもいいんです。そもそも正解なんて最初から分からないし、失敗したって「この結果我々はこう学べた」って言えるじゃないですか。想像してるほどリスクはありません。

逆に、意思の弱いPMは、誰も巻き込めません。ふんわりとした思いを持つ人が50人いて、彼らに正解を示せないプロダクトチームは、最悪。誰もどうしたらいいかわからないから、みんな聞いてくる。それに対して、タスクを切らければ何も進まなくなってしまう。

PMが率先して、未来を描き、プロダクトのファンをまず創り手の中につくらないといけない。そうすれば、同じような熱を持ってる人が集まってくる。大事なのは熱の水準を揃えていくこと。そういうチームはたとえ人数が少なくても、驚くような速度で前進していきます。

(おわり)

[1]PMは、未来を生きる人であれ。まだ解決策のない「負」に気づく訓練法


取材 / 文 = 野村愛


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