2020.02.13
「動画でライフログ」は流行るか。Vlog 海外事例に見るムーブメントの兆し|大川優介

「動画でライフログ」は流行るか。Vlog 海外事例に見るムーブメントの兆し|大川優介

Vlog(ブイログ)は日本でも流行るか。海外ではすでにスターとなるVlog配信者(Vlogger)も登場。海外事例とともに、「Vlogとは何か」を映像クリエイターの大川優介さんに解説してもらった。

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全2本立てでお届けします!
[1]映像に「自分」を刻め。映像クリエイター 大川優介の仕事論
[2]「動画でライフログ」は流行るか。Vlog 海外事例に見るムーブメントの兆し|大川優介

YouTuberとVloggerの違い

まずVlogについての定義ですが、「動画版のブログ」であり、日常を切り取った動画のことを広義で指します。

アメリカやアジアを中心に、数年前から動画コンテンツのいちカテゴリーとしてあって。とくにVlogで発信をする人はVloggerと呼ばれ、海外では動画再生回数が数万回にのぼる人気Vloggerもいます。

多くの人が混同しやすいのが、YouTuberとVloggerの違い。よく聞かれるのですが、僕の中ではYouTuberは「相手のため」、Vloggerは「自分のため」なのかなと。

YouTubeは、動画投稿によりマネタイズできるプラットフォーム。なので「視聴者に面白いコンテンツを提供する」ために企画を考えて動画を撮り、配信する方が多いです。

一方で、Vlogの起点は「自分」です。もちろんVloggerも視聴者を意識していないわけではないですが、あくまで自分の日常や伝えたいことを、自分の好きなテイストで発信する。矢印が内側に向いた「自己表現」のためのコンテンツだと思っています。

つまりVlogは、過剰な演出やキャラクターづくりをほぼしない。自分とごく身近な人のための「自然体な動画」に、共感が集まっていくのです。

SNSが発達し「自分の好きなことを発信していいんだ」という空気感が生まれたことも、Vlogの流行に影響しているのではないかなと。YouTubeの黎明期、一部のYouTuberは過激さを追求し、視聴者の「こわいものみたさ」を煽り、再生回数を伸ばしていきました。それとは全く違う広まり方だと思っています。

【プロフィール】大川優介|趣味のサーフィンをきっかけに映像制作をスタート。自然や日常を映し出したハイクオリティなコンテンツをSNSで発信し、支持を集める。2018年4月にTranSe Inc.を創業。有名ブランドのイベントムービーや企業のデジタルコンテンツ等を手がけたり、動画好きのためのオンラインコミュニティを運営したりと幅広く活躍している。

クリエイティブの最先端をゆく、二大Vlogger

僕がとくに注目しているVloggerでいうと、「ケーシー・ネースタット(Casey Neistat)」と「サム・コルダー(Sam Kolder)」です。日本のVlogはまだ洗練されていないので、個人的には海外のクリエイターを参考にしています。

ケーシー・ネースタットは、Vlogの世界でほとんど知らない人はいないんじゃないかな?ってくらい有名なクリエイター。YouTubeでも1190万人以上フォロワーがいます。

日常のシーンを配信する王道スタイルなのですが、とにかくリアルで親近感がある。ビーチで遊んだり、子どもをあやしたり、スーパーで買い物をしたり。誰が見ても分かりやすいところも、言語の壁を超えて人気な理由の一つかなと思います。

一方でサム・コルダーの映像は、ちょっとシネマ風なのが特徴的。

Vlogは日々の生活を映しながらお喋りするような動画が多いのですが、サム・コルダーはカメラマンに撮ってもらうスタイルなんですよね。

映像のクオリティが高く、どれもオシャレでカッコいい。最近こういったテイストの動画は人気ですし、僕も影響を受けたうちの一人です。彼は間違いなく、シネマ風Vlogの第一人者なのではないかなと。

親しみやすさだったり、映像美だったり。ケーシー・ネースタットとサム・コルダーは、まさに動画表現の最先端をゆくクリエイターだと思っていますね。

インスタのストーリーも、初めの一歩

日本では写真や文章に比べて動画をやっている人はまだまだ少ないし、やっぱり壁を感じる人は多いと思います。

でも、たとえばインスタのストーリーって、Vlogの第一歩みたいなもので。やり始めると、意外と面白くてどんどん更新頻度が高くなったりするじゃないですか。

Vlogも、そんな風にカジュアルに始めるでいいと思うんです。高い機材や編集ソフトを揃える必要なんてない。まずは、ポケットの中にあるスマートフォンで十分です。

やっていくうちに、自然と「次は色味を変えてみよう」とか「ちょっと編集してみよう」って、より良い動画を作りたい気持ちが芽生えてくるんですよね。僕もそうでした。

それに、シェアだって無理にしなくていいのかなと。Vlogはあくまで自分のためにやるもの。僕もたまたま色々な人に観てもらえましたが、究極、観られなくてもいいと思っています。

もちろん映像を仕事にしたいなら見られるよう工夫は必要ですが、家族や友達のみに共有するVlogがあって全然いい。ライフログとして残すだけでも、十分価値のあることだと思います。

YouTubeでチュートリアル動画の配信も行なっている大川さん。スマホだけでかんたんに動画を撮る方法や編集ソフトの使い方、おすすめ機材など、動画を撮る人・撮りたい人に役立つ情報を余すことなく伝えている。

Vlogは感情のフラッシュバック装置

僕は、Vlogはもっと日本でも世界でも流行っていいし、広めたいと思っているんですよね。

動画の価値は、単純に「思い出を残せること」です。

時間が経てば忘れたり色褪せたりしてしまうものを、物語としてストックできる。これは人々にとってすごく価値のあることだなと。

どれだけ自動化技術が発達しても、過去の感情や感性を保存することはきっとできません。

つまり、何らかの形で残しておかなければ「なかった」のと同じなんですよね。

そういった意味で、Vlogは記憶の可視化ツール、感情のフラッシュバック装置ともいえる。特別な日も、日常も、記録に残すことで自分の「生きた証」になる。

たとえば僕に子どもや孫ができたときは、彼らに僕の動画を見せたい。自分の親や祖父母が見ていた景色、当時の気持ちを知れるなんて面白いですよね。そんな世界が、当たり前になったら嬉しいです。

>>>[1]映像に「自分」を刻め。映像クリエイター 大川優介の仕事論


写真 = 黒川安莉
取材 / 文 = 長谷川純菜


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