2020.05.08
マコなり社長に聞く、リモート時代に「生き残る人」のビジネススキル|前編

マコなり社長に聞く、リモート時代に「生き残る人」のビジネススキル|前編

日本最大級のプログラミングスクール「テックキャンプ」を運営する株式会社divの代表であり、人気YouTuber「マコなり社長」こと真子就有さんを取材!最近ではリモートワークがビジネスのスタンダードになってきている。そういった中で淘汰される人、活躍する人の差はなにか。前後編の2本立てでお届けする。

※写真提供:株式会社div

ビジネスパーソンの力量は「文章」に宿る

「リモートワークが進む中で、求められるスキルは変わっていくのでしょうか?」と問うと、「基本的には変わらない」と語り始めた。

まず優秀な人はリモートでも仕事はできるでしょう。リモートになったからといって、優秀ではない人が優秀になったり、優秀な人が優秀ではなくなることは基本的にないはずです。

リモートにより「強調される能力」はあります。それは、文章を書く力ですね。もっとも、リアルでミーティングをしても、「まとめ」のテキストは残してきたわけで、従来から必要な能力でした。ただ、求められることはより増えていきます。

対面でのコミュニケーションができない分、文章でわかりやすく伝える力が必要です。ランチやコーヒーブレイクなどで「これってどう思う?」とアンフォーマルなコミュニケーションで聞けていた機会が減り、すべてがテキスト中心になるからです。

ただ……僕は社会人の9割は文章が書けないと感じていて。うちの社員でも、本当にまだまだ足りないと思っています。優秀な人が持ってくる文章は、スッと頭に入ってわかりやすい。でも、新人社員の文章は、何を言っているのか全然わからないんです。思考の抜け漏れが多すぎる、構造化ができていない、反論が想定されていないといった欠点が浮き彫りになっています。

僕が大学生の時に読んだ本で、倉島保美さんの『書く技術・伝える技術』には影響を受けました。文章にとって大事なことを思い出させてくれましたし、今もよく勧める一冊です。書かれていることは「基礎中の基礎」だと思いますが、それすら社会人の98%くらいは出来ていないんじゃないでしょうか?

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「タイトル」から考える

部下やメンバーに対し、文章のフィードバックを常々しているという真子さん。分かりやすい文章を書く上で、大前提となる2つのポイントを教えてくれた。

1つ目が「何を求めているのかを明確にする」。YouTube動画の『仕事ができない人の「文章の書き方」10選』でも触れたことですね。たとえば、人へ文章を送るときは「相手に何をして欲しいのか」を、タイトルでわかりやすくします。頭にすみつき括弧で【相談】【共有】【連絡】【依頼】【決済】【お礼】といずれか入れて、目的を明確にすべきです。

口頭だと「何をして欲しいのか」が欠けていても、雰囲気やニュアンスで伝わりやすいんです。「あ、困っているな」とか「意見を求めているのかな」とか。でも、テキストだけではわかりません。もっとも、これはリモートに限らず、常に続けたほうがいいことではあります。

2つ目は「相手の期待値を調整する」。自分の伝える内容がどれくらいの温度感や完成度であり、相手にどういった反応を返してほしいのか、わかりやすくしたいですね。じっくりと考えた完成度100%なのか、ジャストアイデアの20%なのかで、求める指示やコミュニケーションは異なりますから。

この2点を踏まえた上で、構造的な文章にする、抜け漏れをなくす、論理の破綻がないといった要素が求められますが、これらはあくまで掛け算。どれか一つでも抜け落ちれば、文章の質は低くなるでしょう。結局、すべて必要なんですよね。

文章に重きを置くのは、そうしなければ常に生きていけない状況下にあったせいもあります。僕はビジネスパーソンとして、起業家として、サービスを売り込むための文章を数多く書いてきました。短く、早く伝わらなければ、相手に聞き入れてはもらえません。

実は、仕事で得意なことの一つは、ランディングページの制作なんです。広告を見てくれた人が、コンバージョンするまでを設計するのに自信があります。正確には何回もテストしなくてはなりませんが、文章で人の心を動かすことについては、深く考えてきましたね。

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論理はポジションから生まれる

文章力において重要な「論理思考」。鍛えていくための近道は、「自分の意見を主張すること」だと真子さんは語る。

もともと我が強い性格なんです。「自分が絶対にこうしたい!」と思うことは、子供のころから人に伝えてきました。たとえ、クラスメイトの前でも、担任教諭や学生と20分近く言い合いをしたこともありました。

そうなると、自分を守ってくれるのは論理だけです。人に合わせなければ、反論が来るのは当然です。感情的に暴言を吐いたら、それは負け。最も幼稚な手段です。だから、理をつくらないといけない。僕が論理的な文章を求めるのは、自分の意志を通し、自分を守ってくれるために培った論理力と、それを支える勇気から始まっていると思います。

そして、ポジションを作らなければ論理は展開できません。意見を持たないままでは、論理の立脚点がありませんからね。論文でも、自らの発見、主張、そして結論がある。そこからブレイクダウンして説明が来る。やはり、まずは意見をはっきり持つのが大きいですね。

論理と文章に関して言えば、うちの会社では、各セクションのリーダーが会議にかける起案にしても、内容がよくても文章で分かりやすく提案できていない限りは全て落とします。僕が口頭での説明を一切信用していないせいもあるけれど、「未来からの確認」を大切にしたいからです。

説明がうまくて、その場では納得したとしても、提案されて残る文章がわかりやすくなっていないと、未来で確認したとき、もしくは自分以外の部下が見たときに誤解が生まれる元になる。だから、どんなに良い提案であっても、文章が悪ければ出し直しになりますね。

リーダーは全員の前で「出し直し!」と命じられるので、ショックを受ける人もいるかもしれないけれど、僕は「文章を書けないならリーダーの資格はない」と考えています。日本の会社は、みんなそうすべきではないかと思っているくらいです。

社会人の9割は書く量が足りていない

そもそもなぜ「文章を書けない人」が多いのか。真子さんは「文章を書く量」が圧倒的に足りてないという。

僕は小学校から毎日作文を書いてきて、中学校でも県で作文が表彰されたりして。思い返せば小学校3年生のときに、作文が夏休みの課題に出ました。200字詰めの原稿用紙に5枚くらい書けばよかったんですが、当時から人と同じことをするのが嫌だったので、夏休み中に毎日書くことをやり切ったんです。

それは母親に課されたことでもあったんですが、書かないと遊びに行けなくて。夏休み明けに作文を30枚提出すると、先生には「すごいね」とびっくりされて褒められました。すると、子供は調子に乗るところがあるじゃないですか。「そうか、自分は文章を書くのが得意なんだ」とセルフイメージが変わったんですね。

それ以降は「良い文章を書く」というセルフイメージに行動を合わせた結果、意識的に書く量を増やすようになったんです。すると、文章のおかしさを指摘されると悔しくて。絶対に繰り返さないようにしようと、その都度に学びながら直していた記憶があります。

文章を書くのは、僕にとっては「普通のこと」です。今でも8000字ほどの原稿を週3本仕上げ、YouTubeを初めて1年あまりで書籍約11冊分の原稿を書いてきました。個人的には文量をもうカウントする意味がないと思うくらいです(笑)。

その経験からすると、多くの社会人は構造的に文章が書けないことも含めて、とにかく書く量とフィードバックが足りないに尽きると思います。文章で伝える力は、社会人にとっての全て。「一流のビジネスパーソンを目指したい」と相談されたら、僕ならひたすら文章を書いてもらいます。

>>>後編 |「やらないと恥ずかしい」で人は変わる。マコなり社長直伝、最強の習慣化メソッド


編集 = 野村愛
取材 / 文 = 長谷川賢人


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