リモートでのKPT、どうすればもっとうまくできる?グッドパッチが実践している「リモートKPT」の進め方について伺いました!
ミーティングがオンライン中心になり、リモートでKPTを実施しているチームも多いのではないでしょうか?
KPTといってもやり方はさまざま。さらにより良いKPTへとアップデートするために、どんな進め方や工夫を取り入れるといい?
そこで今回お話を伺ったのは、先日、クラウド型ワークスペース「Strap」をリリースしたグッドパッチ 北村篤志さん。「Strap」開発チームで実施している「リモートKPT」の進め方について伺いました!
現状のKPTに課題感のある方も、そうでない方にとっても、参考になる部分がきっとあるはずです!
目次:グッドパッチ流 リモートKPTのやり方
【1】アジェンダ・KPTの心構えをメンバーに共有
【2】前回のTRYをおさらいする
【3】「GOOD」を書き出す/共有する
【4】KEEPを書き出す
【5】PROBLEMを書き出す
【6】TRYを話し合い、ネクストアクションを決める
僕の所属する「Strap」チームでのKPTを例に、具体的な進め方やポイントをお伝えできればと思います。
まず前提として、僕らのチームでは、2週間をひとつの単位として開発やデザインを進めていきます。この2週間の期間を1スプリントとし、切り替えのタイミングとなる「隔週」でKPTを実施しています。時間は大体2時間程度。現在グッドパッチはフルリモートなので、すべてZoomでKPTを実施しています。
KPTをはじめる前に「アジェンダと所要時間」と「KPTをする上での心構え」をメンバーに共有しています。
KPTをする心構えは、2点。
1点目は、「どんなにばかだなと思われることでも発言する・書き出すこと」。振り返りの場は、個人的な感情やスプリントであったことをたくさん出して次に生かしていく場所なので、「どんなに些細なことでも発言してほしい」と伝えています。
2点目は、「個人を責めるのではなく、仕組みを責めること」。振り返りをするプロセスのなかで、うまくいかなかったことや問題を「人のせい」にしても改善点にはつながりません。人ではなく、「仕組み」にフォーカスすると「もっとこうできるとよかったんじゃないか?」というアイデアにつながります。
前回のKPTの内容から、今回取り組むべきTRYはなんだったのか。2週間ぶりだと、記憶が薄れている人がほとんどなので、前回のKPT結果をみながら、みんなでおさらいしています。
前提の情報や認識を揃えた上で、今回のスプリントで取り組んだこと、PROBLEMの変化をみんなで話し合うようにしています。
Strapチームでは「KPT」ではなく、「GKPT」というフレームを使って振り返りをしています。
「GKPT」は、「KEEP」をする前に「GOOD」を出します。GOODの内容は、よかったこと、うれしかったこと、メンバーへの称賛などを全て洗い出します。
個々人で付箋に洗い出すとき、自分の名前を記載しておくのをルールにしておくのがポイントです。共有するときに、誰が書いたのかがわかるので、すぐに質問して深堀ることができます。
GOODを洗い出したら、共有タイムです。順番にGOODを上げていき、他のメンバーは自分が書いたものと同じようなものが出たら、その下に自分の付箋を貼っていきます。
KEEPでは、チームとして続けていくべき習慣・行動として、GOODであげられたものの中から投票して絞っていきます。
投票には絵文字やアイコンをつかうのがおすすめです。ひと目でわかりますし、楽しい雰囲気にできます。
ちなみに僕のチームでは、デザイナー、エンジニア、カスタマーサクセスなどさまざまな職種のメンバーがいるので、投票の際、職種ごとにアイコンを分けるようにしています。
どうしても多数決で決めるとエンジニアが多いので、エンジニアの意見が全部反映されてしまう。そうすると見過ごしてしまう問題がでてくるので、職種を分けておくことで、少ない票だとしてもどの職種の意見なのかをファシリテーターが把握しKEEPに反映するようにしています。
KEEPが絞れたら、「どうしてこれができたのか」をみんなで話し合います。たとえば、「エンジニアがユーザー体験から考えることができた」というKEEPがあったら、「グッドパッチのメンバーはユーザーを第一に考える価値観がベースにあるから」とか「前回のスプリントで具体的に落とし込めていたから」などと書き出し、その場で振り返りをしていきます。
PROBLEMでは、「改善するべきこと」「課題に感じること」「困っていること」「ごく個人的な感情」など、なんでも正直に書き出します。
書き出せたら、共有タイムです。順番に書いたことを発表しながら、情報整理・グルーピングしていきます。
グルーピングできたら、解決したいPROBLEMを上位3つくらいまで絞ります。全てのPROBLEMは一気に解決できないですし、だいたい1個の解決すると、芋づる式に他のPROBLEMも解決することもよくあります。
次のスプリントでどのプロブレムに具体的に取り組むべきか。インパクトが大きかという視点でPROBLEMを絞っていくのが大切です。
人数が多いとき、TRYはPROBLEMごとにZoomのブレイクアウトルームで話し合うようにしています。
ブレイクアウトルームだと、ファシリテーターが指示できなくなるので、事前にボードに話し合いの進め方や「何時に戻ってきてください!」と記載しておくとわかりやすいです。
それぞれのブレイクアウトルームに入ったら、まず「PROBLREM」の要因を深堀っていきます。最初に出るPROBLEMは、表層のもの場合が多く、そのままでは良質なTRYにはつながりません。
たとえば「スケジュール通りに進められなかった」というPROBLEMだったら、なぜそうなってしまったのかを「WHY」で深堀る。それに対してトライを出していきます。
時間になったら、それぞれのPROBLEMに対する考察やTRYを全体で共有します。
最後に、出てきたTRYを誰が取り組むのか、それとも全員でやるのかなどの認識合わせをおこないます。同時にTRYの具体的な内容を書き出しもしています。
【特集】きょうからつかえるリモート会議術
前編|リモートブレストを盛り上げる5つのポイント
後編|グッドパッチ流 良いTRYが見つかる「リモートKPT」のやり方
取材 / 文 = 野村愛
4月から新社会人となるみなさんに、仕事にとって大切なこと、役立つ体験談などをお届けします。どんなに活躍している人もはじめはみんな新人。新たなスタートラインに立つ時、壁にぶつかったとき、ぜひこれらの記事を参考にしてみてください!
経営者たちの「現在に至るまでの困難=ハードシングス」をテーマにした連載特集。HARD THINGS STORY(リーダーたちの迷いと決断)と題し、経営者たちが経験したさまざまな壁、困難、そして試練に迫ります。
Notionナシでは生きられない!そんなNotionを愛する人々、チームのケースをお届け。