2020.05.08
「やらないと恥ずかしい」で人は変わる。マコなり社長直伝、最強の習慣化メソッド|後編

「やらないと恥ずかしい」で人は変わる。マコなり社長直伝、最強の習慣化メソッド|後編

日本最大級のプログラミングスクール「テックキャンプ」を運営する株式会社divの代表であり、人気YouTuber「マコなり社長」こと真子就有さんを取材!リモートワークがビジネスのスタンダードに。そういった中で淘汰される人、活躍する人の差は何か。前後編の2本立てでお届けする。

0 0 2 39

※写真提供:株式会社div

「意識します」で本当に変われますか?

前編のインタビューで、リモートワークにおいて「文章力」が重要になる、と語ってくれた真子さん。ただ、実際に「文章力」を鍛えるには、少なくとも数年単位の修行が必要になるという。

うちの会社のとある幹部は、もともと出身大学の偏差値でいえば40ほどで、あまり切れるタイプでもなかった。それでも、5年くらい僕が指導を続けるうちに、だいぶ書けるようになってきたと感じます。それほどに時間はかかるものだ、という一例です。

彼に何をしたかといえば、同じことを、何度も、何度も、何度も言っているだけです。デザインなんかも基本は一緒です。根本的に守るべきパターンは4原則くらいしかない。その原則を当てはめた時に、おかしいと感じるものを僕は指摘するんです。書いている人は、原則から逸れているという目の前の問題にも気づけていないわけです。

この経験から考えるに、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』を読んだとして、影響を強く受ける人もいれば、理想論のままに終わってしまう人もいる。つまり、同じものを見聞きしているはずなのに、全然違うものを見ているのです。

人が目と耳から感じるものでは、10%くらいしか共通していないそうです。残りの90%は自分の脳で勝手に補完して物事を見ている。文章にしろデザインにしろ、同じものを見ていたとしても、まったく違うものを見ている理由ですよね。

できない理由はわかった。でも、そうだとしても、「なぜできないんだ、前にも言ったじゃないか」と責めてもいけない。心が折れて、自信も無くし、自分で考えなくなってしまいます。忍耐強く、何度でも言う。ただ、人によって耐えられる尺度は違いますから、僕は人を見極めて「言い方の強さ」は変えます。

結局、人の奮い立つ感情は「消耗品」で、時間の制約があると思います。「やるぞ!」と決意しても1か月後は覚えていなかったり。だから、「させる側」はくり返し伝える。会社のクレド(行動規範)も同じです。divには「感謝を伝える」というクレドがありますが、全社総会で感謝を伝えあったり、お世話になっている人に手紙を書いたりと、習慣化が大事なんです。

+++

習慣化の本質は「他人との約束」

習慣化しようと思っても、なかなか実行に移せない人も多い。真子さんは自分の意志にかかわらず、「行動せざるをえない仕組み」を自分に課しているという。

習慣化を言い換えるなら、「行動せざるをえない仕組みを作ること」が大事ですね。「習慣化しましょう」ほど意味のないメッセージもありません。「明日から6時に起きることを習慣にしましょう!」なんて、みんなできれば優秀ですが、無理な話でしょう。自分の意志では100%習慣化できないと思っています。できる人間なんていないくらいに。

それこそ僕も守れないですし、自分の意識なんて信用しない方がいいと思っているんです。僕には早起き仲間がいて、「7時30分にコーヒーショップのレシートを送り合う」というルールを決めています。1秒でも遅れたら、全員分のコーヒー代を払う罰がある。お金のマイナス以上に、弱い自分を仲間にさらすことが、なによりも屈辱的(笑)。

「7時30分集合」なのに、ちゃっかり31分に来たりする人もいる。「自分の時計では30分だ!」と主張する。そういうところからほころびができて、約束が約束でなくなるんです。でも、レシートなら厳密ですよね。

つまり、僕の考え方はブロックチェーン的な世界観に近いわけです。それこそ「遅刻したら罰金」といえば、その場に時間通りにいなければ、強制的にお金が引き落とされる仕組みにした方がいい。そうすれば、必死に間に合わせようとしますよね。人や組織ではなく、仕組みで信用を担保することが重要なのです。

仕組みにするのは、僕が人を全然信じていないのも大きいです。信じる方が傲慢じゃないかな、と思っていて。「できないことが前提で、失敗をゼロにするにはどうしたらいいのか」と、構造的に物事を解決しようする発想が多いです。

テックキャンプも70万円近くのお金を払って受講していただくのですが、「受講生は誰も勉強する気はないはずだ」と思っています。でも、そこにスクールの価値があるんです。受講生同士やパーソナルコーチと話す機会を都度話す機会を設けるのも、その一環です。独習用の教材が山ほどあるなかで、仕組みとして「やらざるを得ない環境」を提供できることに価値があります。

たとえば、大学の単位を落とすことなんて、人生で見れば大したことではないはずです。今はいくらでも学生から稼げる方法がある。だけど、みんなは必死に単位を取りにいくじゃないですか。それを「思わせてくれる」大学という環境には価値があると思いますね。

会社においても「やらないと評価されない」「やらないと恥ずかしい」という仕組みを作るのが経営陣の仕事の一つですね。うちの会社でも毎朝、全社員が持ち回りでスピーチをしてもらうのですが、みんな嫌がるんです。緊張するし、うまくいかないし、文章にうるさい僕も見ているし(笑)。

でも、質が低ければ上司の責任でもある仕組みにしているんです。だから、上司も必死にフィードバックします。しかも週に1回、その週の5人分のスピーチを点数化して、ランキングとして見えるようにしています。そういう仕掛けを、至るところに作っていますね。

+++

100%自責になれないなら、会社を辞めるべき

最後に先行きのわからない時代において、ビジネスパーソンとして持っておくべきマインドについても伺うことができた。

これから会社員になる人や、若手のビジネスパーソンは「会社を辞めること」を前提に考えてみたらいいんじゃないでしょうか?

みんな、会社にしがみつこうとしすぎだと思う。日本には400万の会社があって、ほとんどの人は大した理由で入社しているわけでもないはずです。なんとなく内定が決まった会社なのに、骨をうずめるくらいの心づもりで仕事をするのも違うはず。会社との相性はありますから。

会社を辞めるか、辞めないかのポイントは「100%自責でやれるか否か」です。自責で動けているならば、どんな仕事や環境でも、幸せで生産的に働けるはずです。でも、自分の強みが活きない、弱みが目立ってしまう、上司との相性が悪いといった環境だと、どこかで執着が生まれやすくなる。すると、「あの人がおかしい」「会社が悪い」みたいに他責にしてしまうんです。

日本って、根性論が強いですよね。でも、基本的には辞めるくらいの腹積もりでいて、自責で働けているかどうかを確かめながら、いつでも外へ出て行く気概で仕事をするといいと思います。うちの社員にも「100%自責でやれなくなったら、迷わずにいつでも辞めていい。自分の人生は自分で選び、自分の責任で働いてほしい」と言っていますね。

僕は幸せに働いてほしいんですよ。朝起きても「本当にこの仕事が楽しい!」と思える以外の人生はいらないと思ってます。そうなれるような人生を早く達成できるように、自分の環境を選択できるようにしてほしいです。

>>>前編|マコなり社長に聞く、リモート時代に「生き残る人」のビジネススキル


編集 = 野村愛
取材 / 文 = 長谷川賢人


関連記事

特集記事

お問い合わせ
取材のご依頼やサイトに関する
お問い合わせはこちらから