スッコココ!の通知音でもお馴染みのSlack。テレビCMなどでも認知を高め、日本企業での導入が進む。そんなSlackで働くシニアソリューションエンジニア、磯村美友さんを取材した。もともと大手ベンダーでのキャリアを歩んできた彼女だが、なぜSlackに? そして入社以来リモートで働き、活躍できている理由とはーー。
[プロフィール]磯村 美友
株式会社セールスフォース・ジャパン
Slack ソリューションズエンジニアリング事業本部 シニアソリューションエンジニア
2020年8月にSlack Japan株式会社(現 株式会社セールスフォース・ジャパン)にソリューションエンジニアとして入社。Slackの製品知識やナレッジをベースとし、顧客の課題を解消の支援、及びソリューション開発に従事。Slack主催のイベントに登壇し、サービスや製品価値についても訴求する活動も担う。Slack入社以前は、シスコシステムズ合同会社でネットワークコンサルティングエンジニアとしてサービスプロバイダーを担当後、プリセールス エンジニアとして、クラウドソリューションの日本での販売立ち上げを経験した。
Slackで「ソリューションエンジニア」といった職種があることを初めて知りました。どういった役割なのでしょうか?
Slackの製品知識やナレッジをベースとし、お客様の課題の解消をサポートをしていく役割です。プリセールスのようなイメージが近いかもしれません。
その中でも私は、600名~2000名規模のクライアント企業を担当しています。Slackというと数年前まではITベンチャー、エンジニア組織でよく使われていたイメージがあると思いますが、現在はあらゆる業種・業態のお客様がいます。特にコロナ禍では中堅・大企業、官公庁等でも「縦だけではなく、横のつながりも強化したい」と導入いただくケースが増えています。
前職はシスコシステムズ合同会社で働いていたんですよね。日本におけるクラウドソリューションの販売立ち上げにも携わられるなどご活躍されていたと伺いました。なぜ、Slackに転職したのでしょうか?
多くの人が「働きやすい」と思える環境を、広く提供していきたい。前職時代からこの思いは変わっていないのですが、そこに直結するソリューションがSlackだと感じたからです。
まだまだ大企業を中心に、部門や事業体をまたいだコミュニケーション、コラボレーションは活発ではありません。たとえば、「隣の部署に相談するために上司に事前相談が必要」という会社もあると聞きます。Slackであれば、そういった垣根を簡単に超えていけますよね。さらに「Slack コネクト」という外部組織とチャンネルごとつながれる機能を使えば他社とのコラボレーションもスムーズです。その企業や組織の業務フロー、カルチャーにまで影響を与えていく。そういった多面的なアプローチがSlackでならできると感じました。
特に「どう人を動かしやすくしているのか」という仕組みにすごく共感ができました。一つひとつの機能がなぜ存在し、どういった行動を促すか。なぜその仕様になっているのか。掲げているコアバリューがプロダクトに反映されており、全てが人の行動に結びつく。ここも惹かれた理由の一つでした。
2020年8月にSlackに入社したと伺いました。入社時にリアルなオフィスにも出社されたのでしょうか?
じつは入社からまだ一度も出社していません。ずっとフルリモートで仕事をしています。ただ、それでもすぐに会社に馴染むことができました。入社当日、全員がいるチャンネルで、Welcomeのメッセージやリアクションをみんなが送ってくれて、リモートワークですが「私、迎え入れてもらえてるんだ」というワクワク感を初日から体験できましたね。
入社してまもなくSlackでは一人ひとりが、オンボードチャンネルを作るのですが、わからないことを質問すると、周りのチームメンバーはもちろん、いろんな人がアドバイスをくれる。もう周りの全員がメンターでしたね(笑)ベテランな同僚が何をしているのかもSlackを覗けば活動の様子が見えてきて、チーム全員に育ててもらっているような気持ちでした。
グローバルのチームとも、どんどんSlackで自由にコミュニケーションができる。質問すれば誰かが必ず拾ってくれる。本当にあたたかい人たちしかいない。自分もギブをしてもらったからテイクしたい。こういった良い循環、カルチャーがあると思います。
この2022年2月から昇進されたと伺いました。フルリモートで成果を出すために取り組まれたことがあれば教えて下さい。
それこそSlackをフルに活用しました。「お客様にこういった提案をした」「こうしたら上手くいった」等、Slack上に残されている過去のやり取りを読み漁り、キャッチしていきました。いろいろな会話をオープンにしており「Why」の部分からわかるので、とことんマネさせてもらいました。
そういった意味でいうと、Slackを使う良さは「情報は与えられるものではなく、自分からアクティブに探して取りにいくもの」といったマインドセットが組織にも、個人にも自然と浸透していくことかもしれません。
そのあたりからして前職時代とはカルチャーが大きく違いそうですね。
そうですね。前職時代から自ら情報を取りにいくことはしていたのですが、誰がどんな業務をしており、どんな情報を持っているのか。そういった「人」を軸にしていたのですが、Slackは情報が属人化しておらず、で自分で自由にオープンなチャンネル内をさかのぼって検索したり、質問を投げたら、すぐに答えが得られたり、物事が進められたりする。ここは大きく違うかなと思います。
磯村さんのSlack活用例
2,500以上の業務アプリと連携できるため、社員もそれぞれの業務に合わせて自由にアプリを連携して使用しています。あくまで私個人の例ですが、個人チャンネルをつくり便利な情報を溜めたり、気になるワードでひたすら検索をしたり。その他、タスクリスト「Asana」、ブックマークはSlackで提供されているブックマーク機能を使っています。あとは会社としてDonutという外部のソーシャルアプリのbotも仕込んでいて2週間に1回、社内の人間とランダムにマッチングして30分コーヒータイムに話ができるのですが、社内でいろんな人と話す、周りを見る良いきっかけづくりになっています。
テック業界で働く若い方も読者にいるのですが、これまでのキャリアを振り返り、特に仕事で大切にされてきたことがあれば教えて下さい。
月並みですが、お客様の立場を想像し、準備することだと思います。これは前職の失敗体験で学びました。
新卒で入社して数ヶ月あとくらいでお客様に対して2日間、技術トレーニングを行なうミッションに挑戦したのですが、新人だったので、そもそも人に教える自信もなくて。もちろんリハーサルは何回もしたのですが、上司だけではなく、先輩や同僚にもかなり心配されました。それでもものすごく練習したので、少しは自信を持って本番に臨むことができたんですよね。ただ、一番大切なところが抜けていました。お客様から質問をいただいた時「製品としては…」とただ事実しか答えられなかったんです。お客様の中にはスペシャリストもいらして、レベルにも雲泥の差がありました。ただ、技術レベルが問題だったのではなく、私自身、お客様がどういった業務を担っているのか、その理解と想像が足りませんでした。そこが抜けたまま「製品としてのも仕様や動作」ばかり考えてしまっていました。今思えば、どういった方向けのトレーニングか、情報はもらっていたので事前にお客様の利用シーンや日々の業務内容をよく想像することができたはずです。その上で寄り添った回答をするべきでした。お客様のことを誰よりも深く理解することが何よりも大切。あの時の後悔は、今の日々の仕事にも活きていると思います。
最後に、仕事を通じたこれからの目標を教えて下さい。
人々がより快適に、働きやすい世界にしていきたいと思っています。特に私自身、Slackを使った働きやすさを強く感じているので、それを、皆さんにも体験いただくことを目標にしています。これだけ多様な社会になっている中で、それぞれ事情を抱えながら、いろいろな人が生活し、働いています。性別はもちろん、価値観、考え方、バックグラウンドなど、多様性を認め合って働ける環境であってほしい。あらゆる人が働きやすいインクルーシブな環境はどう実現できるか。文化的、システム的、両方からアプローチし、環境を醸成していく。これからも日々の業務を通じてそういったお手伝いができればいいなと思っています。
私自身、Slackに入って驚いたのですが、ステータスに「◯◯(子どもの名前)ちゃんのお風呂タイム」などが表示されていても自然なんですよね。誰も咎めたりしない。ママパパも働いていますし、そこへの配慮、理解や思いやりがあり、お互いが相手のことを認め合っている。こういった環境が実現されていくのがSlackだと思います。そういった意味でも、私たちはSlackのことをチャットツールだと考えておらずすべての情報・人が集約される、会社を動かす中枢「Digital HQ」と呼んでおり、ビジネス向けのメッセージプラットフォームなんです。ハイブリッドに働いていく上でもさらにその役割は高まっていくはず。その一員として、これからもさまざまな企業にSlackを広めていければと思います。
(おわり)
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取材 / 文 = 白石勝也
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