2020.06.01
コロナで空前絶後のブーム到来!中国ライブコマース最新事情|こうみく

コロナで空前絶後のブーム到来!中国ライブコマース最新事情|こうみく

コロナ禍が落ち着きを見せはじめた中国では、「空前絶後のライブコマースブーム」が来ているといいます。武漢市長や大手企業のCEOなどもこぞって参加。中国のライブコマース市場の現状を、中国のトレンドに詳しいこうみくさんに解説いただきました。

※2020年5月15日に開催された「#中国トレンド情報局 日本でライブコマースは流行るのか?」よりレポート記事をお届けします。

【プロフィール】黄 未来(こう みく)中国トレンドマーケター:1989年中国・西安市生まれ。6歳で来日。早稲田大学先進理工学部卒業後、2012年に三井物産に入社。国際貿易及び投資管理に6年半従事したのち、2018年秋より上海交通大学MBAに留学。現在は中国を本拠地として活動。「中国の今を知ることで、日本の未来を知る」をテーマとしたオンラインサロン「中国トレンド情報局」も主宰。Twitter:@koumikudayo 中国トレンド情報局:https://note.com/future392/n/n1aa7c8ea885a

加熱する中国ライブコマース市場

まず、中国のライブコマースの市場規模はまもなく1.5兆円に到達する見込みと言われています。2017年にスタートしたまだ若い市場ですが、爆発的に拡大しているのがライブコマース市場です。

+++「2020年の急激な伸びは、コロナの影響によって、市場ニーズが急拡大したことが大きな要因になっています。今後より市場は伸びていく見込みです」

中国のライブコマースプラットフォームは20~30ほどありまして。なかでも勢力を伸ばしているのが、アリババの『淘宝直播(タオバオライブ)』、テンセント資本が入った『Kuaishou(快手)』、バイトダンスの『DOUYIN(中国版TikTok)』の3つです。

「インフルエンサー型」と「EC店舗中心型」

中国のライブコマースは、「インフルエンサー型」「EC店舗中心型」の大きく2つに分けられています。

まず、ライブコマースというとイメージしやすいのが、「インフルエンサー型」です。インフルエンサーが商品を紹介するスタイルなのですが、ブランドや店舗を限らず、何でも紹介するのが特徴です。

中国のトップインフルエンサーと言えばAustinさん(男性)とViyaさん(女性)の2人。最近ではViyaさんが1枠5億円のロケットの発射券を5枠完売させて話題になりました。車も売れるし、家も売れる。いま中国のライブコマースで売れないものはないと言えるかもしれません。

もう1つが「EC店舗中心型」です。メーカーがそれぞれ店舗をもって、インフルエンサーや芸能人に商品を紹介してもらうスタイル。インフルエンサー型と違って、後発であってもスタートしやすいことから、今後はこちらが主流になっていくと考えられています。

+++AlibabaのTaobaoライブコマースより。「淘宝直播(タオバオライブ)での放送の9割は店舗型。売上も7割を占めています」

「ファンに誠実であること」が売上を伸ばす鍵

ここで面白いのが、インフルエンサーの売上の仕組みです。実は大型インフルエンサーであればあるほど、報酬の大半が、ブランド側から受け取る広告料よりも自分が売った分のインセンティブの方が多くなります。だからこそ扱う商品はかなり精査されていて。

たとえばAustinさんがシャネルの口紅を紹介する時。まず彼1人の後ろにいる多く専門スタッフが案件を精査しています。その次に、価格交渉部隊が、ファンが1番安い価格で買えるようにメーカーと交渉をするんです。その上でAustinさんが紹介します。そして、注文が入ったのちに発送などを担当する物流部隊もあるので、1人のインフルエンサーに対して総勢100人以上のスタッフがいる大所帯となります。

ファンに誠実であること=稼ぎに繋がる、というビジネスモデルが出来ているのは面白いですよね。

大企業CEOも注目する、ライブコマースの集客力

そして、中国では新型コロナウイルスの拡大によって、ライブコマースのブームが加速されました。

最近では、企業のトップもライブ配信で自社の商品をアピールするケースが増えています。

たとえばアリババが展開する生鮮食品スーパー「フーマーフレッシュ(盒馬鮮生)」の社長や、検索エンジンのバイドゥ(百度)のCEOなども出ています。日本でたとえると、孫正義さんがライブコマースに出ているイメージです。

また、中国最大の旅行会社CtripのJames会長は、コスプレをして自社の旅行商品を販売していてすでに5回のライブコマースで9億円分も売っています。

「コロナの影響で業績が悪化している中、彼は自分の年収をゼロにして、ライブ配信で商品を販売しています」

また、大きな注目を集めたのがバイトダンスです。バイアウト先の元起業家をインフルエンサーとして駆り出しました。時には当時の競合他社の商品(Xiaomiのスマホ)なども扱ったりして、多くの人々をびっくりさせました。もともと堅気な40代後半の起業家が、慣れないライブコマースにて、たどたどしく元競合の商品を一生懸命宣伝する姿があまりにも健気で、中国全土の話題になっています。

「中国では、メンツやプライドが大事に考えられています。それを捨ててまで一生懸命新しいことにチャレンジする姿が、涙を誘うんです。この画面のように、当時のライバルであったXiaomiの人々からも投げ銭されています(笑)」

そして今年の4月21日には、習近平さんがライブコマースを賞賛するというニュースがありました。つまり、国から産業まるごと後押しされていることと言っても過言ではありません。ですから、各社こぞってライブコマースに力を入れ始めているんです。

コロナで起きた3つの変化

新型コロナウイルスによって、中国のライブコマースには3つの変化がありました。

まず1つめは「ライブ配信者の増加」。今の中国では地方の農家の方から、地方政府幹部(日本でいう県知事)まで、老若男女問わずライブコマースをやっています。

2つめは「技術革新」。たとえば配信中に、5分間だけ使えるクーポンを出したり。「3.2.1!今から売ります!」とイベントのように盛り上げたり。技術革新によって、より視聴者と一体となって盛り上がるライブ配信が可能となっています。

3つは「マーケティングで積極活用」されていること。これはテレビCMでもいえることで、コンバージョンレートの計測は普通の広告では難しいんです。それがライブコマースだと、リンクをはりつければそこからどんどん売れ、効果測定もできる。だからこそ、マーケティングとしてもコンバージョンレートに則った予算が組みやすいんです。広告主からしても割が合うし、説明がしやすくなる。マーケティングツールとして認識されたことで、ライブコマースが盛り上がっています。

コロナによって、加熱した中国のライブコマース市場。今後さらに市場として拡大していくはずです。


編集 = 平野潤
取材 / 文 = 木村翠


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