2020.06.25
新型コロナで変わる「法人営業」のあり方|前田ヒロ

新型コロナで変わる「法人営業」のあり方|前田ヒロ

進むリモートワーク、とくに変わったのが法人営業、いわゆるBtoBのセールスのあり方だ。オンラインでの商談、プロモーションなどにどう対応していくか? SaaSスタートアップに特化したVC 前田ヒロさんと考えた。

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全3本立てでお送りいたします。
【1】コロナショックで勝つSaaS、3つの条件|前田ヒロ
【2】新型コロナで変わる「法人営業」のあり方|前田ヒロ
【3】「SaaSにしか投資しない」と決めた日、あるVCの志|前田ヒロ

オンラインでの営業をいかに成功させるか。

今回の新型コロナウイルス感染の防止を受けて、BtoB、とくにセールスでいうとどういった変化が起きているのでしょうか?

まずあらゆる領域で進んでいるのがオンライン化ですよね。たとえば、デリバリーもそうですし、コーチング、フィットネスもZoomを通して行われるようになりました。これはBtoB、法人営業でも同様だと思っています。わかりやすいところでいえば、オンライン商談です。あとはオフラインのイベントも、ウェビナー、ストリーミングに変わってきています。

とくにオンラインでの営業活動でポイントとなるのは?

これまで以上に「共感」が重要だと思います。顧客に寄り添い、状況を把握していく。いま考えていること、悩んでいること、進めている取り組み、すべて把握する。その上で正しい提案をし、商談を進める。より本質的な提案が求められていくのではないでしょうか。

今まではKPIが「数」だったりしたと思います。たとえば、商談件数など。もちろん「数」も重要ですが、今はとにかく「質」が重要です。適正なタイミングで顧客と接点を持ち、適正な訴求で話を進めていく。顧客は資料請求なのか、ウェビナーなのか、メルマガなのか、広告なのか、LPを見たのか。どういった行動をとり、いかにして商談が発生したか。事細かに把握した上で進めていくことが重要になってくると思います。

共感をしたり、把握をする…とくにオンラインでは難易度が高いと感じます。どうすればうまくできるのでしょうか。

まずはとにかく「タッチポイント」を増やすことかなと考えています。今までは1回の営業電話をかけ、商談につなげて進めていたとして。そうではなく、まずはウェビナーに参加してもらい、いきなり営業をかけない。2回目、3回目のタッチポイント、たとえば、ホワイトペーパーのダウンロード、メルマガなどでどんどん「あたため」ていくことがポイントになるのではないでしょうか。

タッチポイントを増やし、「この人、このサービスが言っていることは信用できる」と信頼関係を築いていく。SaaS企業のブランドへの信頼ができた状態をつくる。そうすれば、あたたたまった状態で商談に入れますし、過去に接点があったことを思い出してもらえるはずです。

売れないなら、変わる勇気を

いかに顧客にタッチポイントを増やしても、提供しているサービスでは、顧客の課題が解決できない、ソリューションできないこともあります。そういった時にできることは?

適応能力とスピードが求められます。

もし仮に今あるプロダクトと、その訴求が今の時代に刺さらないなら、変えないといけない。どう変えるのか。カスタマーサクセスチーム、営業チーム、そしてプロダクトチームが連携し合わないといけません。なぜ解約するのか?なぜ商談が成立しないのか?ディスカッションする。もし今の時代にそぐわないなら、どうすれば今の時代に刺さるのか、早く決めないといけません。

チームを横断したとき、それぞれがKPIを持ち、組織がバラバラの方向を向いている…というのはあるあるだと思います。どうすれば1つのゴールに向かえる組織になるのでしょうか。

色んな要素が必要ですよね。1つできるのは、向かっている方向を一緒にすること。そのために「連携しないと達成できないKPIを設定する」が挙げられます。もちろんOKRでもいい。どんなフレームワークでもいいのですが、連携力を高めたいチーム、部署は目標設定の仕方で強制的に連携を高めることができるはずです。

もうひとつは、「課題を放置しない文化を作ること」。良くない例として、お互いに愚痴を言うけど、誰も何も解決しない、という状態。これは一番良くない文化です。

何か違和感を感じた時、課題だと思った時、誰かが必ずボールを拾う。そういった文化が必要だと思っていて。これはトップダウンでやっていかないといけません。

マネジメントのあり方にも強く関係していると思います。マネージャー層、リーダー層、経営層が課題に対し、すぐに取り組んでいるか。それを根付かせられるか。誰かをアサインするのか、それとも自分たちが手を動かすのか。また、どういう行動が評価されるのか、どういう結果を出せば給料が上がるのか。

メンバーたちはリーダーの背中を見ながら仕事をしていくもの。まさにリーダーシップが求められていくと思います。



全3本立てでお送りいたします。
【1】コロナショックで勝つSaaS、3つの条件|前田ヒロ
【2】新型コロナで変わる「法人営業」のあり方|前田ヒロ
【3】「SaaSにしか投資しない」と決めた日、あるVCの志|前田ヒロ

※本記事は、6月8日に実施した公開取材『コロナ時代を生き抜く方法』を編集したものです。公開取材の模様はYouTubeチャンネル「キャリアハック」でもご覧いただけます

【ダイジェスト版(5分)はこちら】

【ノーカット版(62分)はこちら】


取材 / 文 = 白石勝也


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