2020.07.09
集中力はつくれる。テレワークで活躍するための必勝法|井上一鷹

集中力はつくれる。テレワークで活躍するための必勝法|井上一鷹

リモートワーク・テレワークでの仕事も当たり前になる時代。いかにパフォーマンスを最大化し、活躍できるか。気持ちよく働き、且つ成果を出していくために。「集中力」のプロフェッショナル、井上一鷹さんにテレワーク必勝法を伺った。

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全3本立てでお送りいたします。
【1】「テレワークがつらい…」の正体、そして対処法|井上一鷹
【2】集中力はつくれる。テレワークで活躍するための必勝法|井上一鷹
【3】「何でやってるんだろう」は危険信号。やりたいことで人生を埋め尽くす、井上一鷹のキャリア論

【プロフィール】井上 一鷹|ジンズ Think Lab Gエグゼクティブディレクター 兼 Think Lab取締役
慶應義塾大学理工学部卒業後、戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトルに入社し、事業戦略、技術経営戦略、人事組織戦略に携わる。2012年、ジェイアイエヌに入社。社長室、商品企画グループマネジャー、R&D室マネジャーを経て現職。「集中」を測るアイウェア「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」のプロジェクトリーダー。株式会社Think Labを立ち上げ、取締役へ就任。算数オリンピックではアジア4位、数学オリンピックでは日本のファイナリストになった経験を持つ。著作に『集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方』がある。

家が「働く場所」に向かないワケ

まず物理的な話になりますが、「家」でテレワークしても、集中力が続かない、ということがよくあります。

当たり前ですが、そもそも「家」は多くの人にとって仕事をする場所ではありませんでしたよね。急激にリモートワーク・テレワークが進んだことで、「家」には6つの役割が押し込められている、と僕は捉えています。

+++ note『【62,000字】 コロナが変える働き方〜集中のプロ井上一鷹が語る〜【最新版をWeb全文公開】』より

この図は、縦軸が「物理空間」、横軸が「社会空間」を表しています。

物理空間には「オフィス」と「家」があり、社会空間には「リアルパブリック」「プライベート」「バーチャルパブリック」があります。

ざっくりですが、職場での人間関係、家族との人間関係、ひとりの時間、SNS上の関係性・やりとり、社内外での関係性・やりとり…このあたりが全て「家」という物理空間1つに押し込められている。

本質的につらいのは、この6つの中で1つたりとも捨てられないこと。1つの場所に集めることで失われた機能は、オンとオフを切り替えるしかない。ただ、役割、ロールを切り替える装置がなく、しんどさになっているんです。

たとえば、会社に行く時代は電車に乗り、少し歩き、エレベーターに乗る。通勤の時間をかけて切り替えていたわけです。今は1秒ですからね。

効率化された世界、効率化されてもロボットではないので、0から1に瞬時には立ち上がらないですよね。

文豪が温泉宿に籠ったように、自分だけのサードプレイスを

対処のひとつは「家」のなかでも、働く場所を分ける、が考えられますね。

そうですね。ただ、ソロワーキングスペース『Think Lab』を作っている身としては、サードプレイスに行くのが一番正しいと思っています(笑)たとえば、一人暮らしだとそもそも家が狭い、ワンルームということもあります。

ですので、明治や大正の文豪も、温泉宿に籠ったりするじゃないですか。似たような場所を、身近に持てるといいのではないか、と。

僕は「市中の山居」という言葉を使っているのですが、人口密度が高い都市の中に、豊かな市中の中に山小屋みたいなものを作っているのが『Think Lab』です。

そういったところに籠もる。誰からも干渉されずに、ゆとりがあり、揺らぎがあり、1人になる。これはすごく価値があるものになるはずです。

デジタル化すれば、1箇所で仕事をする理由はほぼなくなります。「今日はいつもの電車と逆走してみよう」という感覚で働いた方がいいものが生まれるはず。ウイルス感染のリスクさえ減らすことができれば、さまざまな場所で働いてみた方がいいと考えています。

+++ 「緊急事態宣言が終わったことにより、"非日常を感じながら仕事をしたい"という人がThink Labを使ってくださっていて。今後は合宿もできるようにしていきます」



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「オン」に入るためのルーティンをつくる

働く場所を変える、はひとつですね。その他にも集中力を高める方法があれば教えて下さい。

今後、働き方において最も大切な能力は「切り替え」だと思います。「オン」のスイッチをいかに入れられるか、ライフハックしないと勝負にならない時代が来ると考えていて。

・どう仕事に入っていくか
・どう「夢中」の状態がつくれるか

この「きっかけ」を自分なりにつくることがおすすめです。

これは僕なりの考え、方法ですが、「嗅覚」と「触覚」が重要だと捉えています。たとえば、

・アロマを焚く
・ベランダに出て風を浴びる
・外を歩く

とか。僕は1日に4回お風呂に入っていて、スイッチなんですよね。自分をマネジメントするためのスイッチをつくる。いくつか種類があればあるほどいい。いわゆるルーティンですね。

「視覚」や「聴覚」だとどうでしょうか?

人間はとくに「目」と「耳」を使って仕事をしており、常に刺激を受けていますよね。常に使っている「視覚」と「聴覚」だと切り替えが上手くできないと個人的には感じますね。

ちなみに何かを食べるなど「味覚」もスイッチにできますが、太るのでヘルスケア的におすすめできません(笑)

+++

ビジネスの「ドーピング」したもん勝ち

これまでルーティンなど特に意識したことがありませんでした。

アスリートの世界だと、ルーティンは当たり前にありますが、オフィスワーカーで意識している人は少ない。

アスリートの世界だと、野球ならヒットが打てたか、サッカーならゴールを決めたか、結果が全て。自分を最高の状態に持っていく、管理していくことが必須です。

いかにパフォーマンスを最大化できるか。プロフェッショナルであることに何ら変わりはありません。

「頭で考えること」の評価軸がなく、評価も半年、1年後にわかる。結果が曖昧。だからやらない。それはプロフェッショナリズムは低いんですよ。ビジネスの世界でも、パフォーマンスにこだわるなら、プロとしてやれることは全てやるべきですよね。

これまではオフィスに集まり、みんなが同じ椅子、机、パソコンで仕事していました。みんなが同じバットを使っていたような状態なので。差別化はそこまでできませんでした。

ですが、これからテレワークを中心とするならば、どんなバットを使ってもいいし、どんな形でドーピングしてもいい。同期が信じられないドーピングをして、成長してしまう可能性もあるわけです。

たとえば、Zoomで話している時に、高性能のマイクを持っている人、そうでない人では発言力が違う。ネット環境が整っている人と、整っていない人ではコミュニケーションのスムーズさが違う。そういうことに向き合わないといけない。

勝ち負けではないですが、「自分がしたい仕事」ができなくなります。いかにビジネスのドーピングができるか、リテラシーを強くしていくべきです。

余談ですが、僕が一番びっくりしたビジネスドーピングは、1日4回寝る人です(笑)彼は「起きてから2時間後が最も集中できる時間」と決めていて。起きた瞬間から2~4時間がすごくアウトプットの質が高いそうで。「1日1回の寝起きでは足りないから4回寝て、集中の時間を4回作り出す」と。このハックはやばいですよね。

その他、議事録、説明資料、日報など「何を書くか」によってデバイスを変える人もいました。スマホという「ひとつの箱」で処理しようとすると、脳みそは混乱してしまう。いま自分が「何モード」か、遊びなのか、仕事なのか。仕事のなかでもタスク処理か、クリエイティブか。話だけだとストイックに聞こえますが、選択やハックを楽しんでいる。自分の能力をどう引き出すことができるか。

デバイス選び、気持ちの切り替えのドーピングでキャリアをハックする。今までのテクニカルなスキルと同じくらい価値になる。その点、世の中が考えきっていないから、突き抜けたら意外と唯一無二の存在になりやすいと思っています。

あなたはオンラインで「話しかけられやすい人」ですか?

もうひとつ、オンラインコミュニケーションがメインになり「気軽に声をかける」が減ってしまいました。社内外での関係も希薄になっていく気がして…

そうですね。ただ、人と人とのコミュニケーションの本質はそこまで変わらないはず。では、Zoomを使ってどうコミュニケーションを活発にしていくか。

無目的にしゃべることも、意図的にZoomでやれるし、違和感なくできると思っているんです。Zoom飲みとまでいかなくても。

僕の場合は、会社にいた時より、今の方がよくオンラインで話しかけてもらえるようになりました。とくに社外の人から。「少しテレカンしませんか?」みたいな。

むしろ社外の人とは会社だと雑談しにくかったけど、その枠組みを外すと、いろいろな知り合いとコミュニケーションがしやすくなりました。そこに自分のコミュニケーションリソースを広げていくチャンスだとも思っていて。それを楽しんだ方がいいですよね。

ただ、「決まった相手」と雑談はできますが、不確実なコミュニケーションは、オンラインだとほとんどない。リアルなオフィスだと「この人としゃべるつもりはなかったけど話してみたら発見や情報が得られた」ということがあります。

偶然の出会いはあった方がいい。これに関してはリアルがやはり強い。そこにだけはオフィスに行く理由があるので、リアルの「役割」として残すべきですね。

撮影:栗原洋平


文 = 白石勝也
取材 = 平野潤


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