2013.06.07
教えてHACK GIRL!WEBデザイナー女子に学ぶ、ロールモデルにしばられないキャリアの作り方。

教えてHACK GIRL!WEBデザイナー女子に学ぶ、ロールモデルにしばられないキャリアの作り方。

激動のWEB・IT・ゲーム業界で、女性クリエイター・エンジニアはいかにキャリアを築いていくべきか。そのヒントを求め、新卒入社1年目から、新規事業の立ち上げに携わったセプテーニの土田あゆみさんを直撃。目標の存在をあえて作らず、自分らしさにこだわる、彼女のキャリア観とは?

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入社半年で新規事業の立ち上げに挑んだ、HACK GIRLの今。

激動のWEB・IT・ゲーム業界で働く女性クリエイター・エンジニアを応援する、“HACK GIRL”企画第3弾。

今回登場するのは、セプテーニで活躍するWEBデザイナーの土田あゆみさん。新卒入社から半年で、新規事業の開発・育成を行なう「(株)セプテーニ・ベンチャーズ」へ。学生同士が気軽に「モノ」や 「スキル」の取引きができる大学生向けフリマアプリ「Cluecoo(クルックー)」を立ち上げた経歴の持ち主だ。

残念ながらCluecooは今年の3月にサービスを終了してしまったが、現在は新たなWEBサービスの立ち上げメンバーとして、日々奮闘しているという。

新規事業に携わる一年前までは、大学でビジュアルデザインを専攻していた土田さん。WEB業界の門を叩き、圧倒的なスピードでキャリアを重ねている彼女は、どんな仕事観を持ち、どんなキャリアビジョンを描いているのだろうか?

自らアポをとりまくり、“スタートアップ人脈”を構築。

― まず、土田さんの経歴を教えてください。


学生時代は、筑波大学でビジュアルデザインを専攻していました。卒業後に新卒でセプテーニに入社し、配属はクリエイティブ部。最初はバナー広告やLPをデザインしていました。

その半年後に、新規事業に携わることになり、スマートフォンアプリ「Cluecoo」のデザインや企画を経験。今は事業開発本部で、新たなサービスのUIデザインを担当しています。



― めまぐるしい環境の変化ですね。正直、大変だったのでは?


学生時代はアートに振り切っていて、絵を描いてばかりでしたからね。「バナーって何?」「LPって何?」という状態からのスタート(笑)ネット広告のクリエイティブ制作からクライアント対応、企画書の作り方まで、メンターに手とり足とり教えてもらって、見よう見まねでやっていました。

それで3ヶ月ほどたって、「先輩がいないほうが自由にできる!」と思って(笑)一人立ちさせてもらい、クライアントをいくつか担当しました。


― アグレッシブですね(笑)そして、そのわずか半年後に、今度は新規事業の立ち上げに携わることになったと。


半年もすると、もっと面白いことをやりたい!という想いがどんどん強くなっていったんです。クライアントの要望を形にするということも面白かったのですが、“0を1にする”仕事がしたいと思うようになってきて。

そんなとき、同期の一人が新規事業開発に立候補したんですね。セプテーニグループには、「ひねらん課」という社内ベンチャー制度があるんですが、彼がそれに手を挙げて、新しいWEBサービスを立ち上げようとしていました。

で、私がそのデザインを手伝っていたのですが、「どうせだったら一緒に企画からやっていこう」という話になって。入社一年目の二人で、まったく経験のない“WEBサービスの企画”にチャレンジすることになったんです。

本当に何の経験もないところからのスタートで、そもそも大前提として、それまで、スマートフォンアプリのデザインをしたことすらなかったんですよね。ユーザーとしても、ネイティブアプリを頻繁に使っているほうでもなくて。「アプリってどうやって作るの!?」みたいな状態でした(笑)

社内にはアプリをつくっている先輩や、質問できる人もそう多くはいない。「このままじゃダメだ!」と思って、人気アプリのUIデザインを参考にしたり、個人的にアポイントをとって、外部のスタートアップの方々とつながっていきました。


― それはすごい!


スタートアップの方々は、皆さんとてもオープンな方ばかりです。あちらとしても情報交換ができるということで、気軽に会っていただけましたね。いろんな人にたくさんアドバイスをいただき、さまざまな人を紹介していただきました。

WEBサービスを、“ユーザー”として使えているか?

― 新しい挑戦の連続で、かなりのハードワークが続いているのでは?


そうですね、クリエイティブ部で広告制作に携わっていたときは、自分の満足いくモノができるまで時間を忘れて仕事していました。

WEBサービスの企画に携わるようになってからもそうですね。新規事業って終わりがないんです。だから、とにかく何かやっていないと不安で(笑)

ただ、まったく苦ではなかったんですよね。WEBサービスをつくることが純粋に楽しく、趣味と同じような感覚になっていて。好きなことに没頭するという目線に立つことで、仕事に対する向き合い方が変わっていったような気がします。


― とはいえ、それではなかなかインプットの時間がとれないのでは?


そうなんですよ!なので、今はなるべく早く会社を出るようにしています。定時にあがることも多いですね。

デザインの仕事って、アイデアやひらめきがすごく大切です。だからこそ感性を磨くことが必要だと思うんですが、PCのモニターの前に座っているだけではやっぱりダメ。今は、一日のうちにどれだけ多くのことを体験するかが大切だと考えるようになりました。

例えばイラストを一枚描くにしても、PCの前で考えたもの、電車の中で考えたもの、寝る前に考えたもの、スタバで考えたもの…アイデアの方向性は、それぞれ全部ちがってきますからね。


― それは、Cluecooの立ち上げを通じて得られた気付きですか?


そうですね。立ち上げのときは一日のほとんどをPCの前で過ごしていましたが、それはもしかしたら良くなかったのかもしれないと思っています。

例えば、学生時代から好きで、よく利用しているクックパッド。以前は「今日は何をつくろうかな?」とユーザーとして純粋な気持ちで見ることができていましたが、いつの間にか「このユーザービリティいいな」というように、作り手側の視点で見てしまうようになった自分に気がついたんです。



サービスを使ってくださるのは、あくまで一般のユーザーの方。作り手は、むしろユーザーの感覚や視点をきちんと知る必要があります。だから今は、ユーザーの目線になれる経験や体験をもっともっと増やしたいと思っています。


― そのほかに心掛けていることは?


アナログなモノに触れることも大切だと思っています。映画を観にいったり書店にいったりして、そこで気になったことや面白いと感じたことをメモしたりしています。雑誌を買って、気になった記事をスクラップしたりもしますね。


― アナログな体験を大切にするワケは?


一つは、WEB以外のもののほうがユーザーとして素直に見ることができるので、ユーザー目線を養うためにやっているというのがあります。

それから、映画でも本でもパッと目に留まるもの、惹かれるものには何らかの要素があって、その要素ってWEBサービスにも共通するものだと思うんです。いつかWEBデザインの役に立つかも、という目的でやっている面もあります。ヒントはWEB以外のところにたくさん落ちていたりするんです。そういう意味でいうと、仕事とプライベートって分けられるものではなくて、常につながっているものなんだと思います。

ロールモデルを持たないことで際立つ、“自分らしさ”。

― キャリアのロールモデルとしている、目標の女性は?


うーん、誰だろう…。正直、いないかもしれません。

もちろん、この人すごい!かっこいい!という方はたくさんいます。でも、考え方や働き方、身をおいている環境は、人それぞれです。違う人間が同じことをやって、同じ結果を出るとは思えません。

それに、考え方は常に変化するものです。今の私はこういうふうに考えていますけど、もしかすると1年後には正反対の思考になっているかもしれません。特定の誰かをロールモデルとして目指しても、その考え方にずっと共感し続けられるとは思えないんですよね。なので、「自分はこういうモノが作りたい!」「こんなことがやりたい!」という自分の中から出た、独自の気持ちや考えを大事にしたいと考えています。


― 自分の直感を信じるということですね。


ロールモデルにしたいと思うような人ですから、当然、自分より優秀です。そんな人と自分を比べてしまうと、だんだん自分の潜在意識がにごってきて、自分が本当は何をしたいのか、分からなくなってくることも多いと思います。

そういう感覚に振り回されることも大切だと思うし、そこでいろいろな気付きが得られるとも思います。ですが、私自身は、自分がもともと持っている潜在意識を崩さないでいたいです。

キャリアのロールモデルというのを抜きにして、憧れている方をあげるとすれば、コム・デ・ギャルソンの川久保玲さんですかね。私がロールモデルにできるレベルではないですけど、あの方の反骨精神は、特に見習いたいと思っています。

「ギャルソンらしくないことは、例え儲けられるとしても一切やらない」という、独自のスタンスが本当にかっこいいです。ポリシーを持つことの重要性を、強く感じさせてくれる存在ですね。


― 最後に、土田さんと同じくWEB・IT業界で働いている女性クリエイターに向けて、これからの自分のキャリアを考える上で、何かアドバイスをいただけますか?


自分がやりたいこと、楽しい、面白いと思えることに挑戦してほしいです。誰かにやらされている仕事ほど、つまらないモノはないですし、やらされていると感じた瞬間、仕事は苦になってしまいます。

たしかにこの業界は忙しいです。でも、WEBの世界ほど面白いモノってなかなかないと思います。私自身、ビジュアルデザインという異分野から入ってきた人間なのでよく分かるのですが、WEBはとにかく新しくて、やればやるほど面白い。トレンドも流動的で、次のクリエイティブやサービスがどんどん生まれてくる。

目的がお金や利益などでなく、楽しむことやワクワクする事である限り、挑戦に「失敗」は訪れないと思っています。私はそこにどんな結果があったとしても、「楽しむ」という意味では絶対に成功し続けたい。今も楽しんでいるので、そういう意味では「成功」だと思っています。今よりさらに楽しむために、よりワクワクするために挑戦していってほしいです。


― 今日はありがとうございました!



(おわり)


[取材・構成]梁取義宣 [文]後藤亮輔


編集 = CAREER HACK


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